第三章 (1) 新入り→憂鬱
小雨が霧のように降っていた。
今日は雨天活動中止…にはならなかった。
緑テントの中、全員集合している。そして皆テントの真ん中辺りに注目している。視線の先には……第二の迷い人(女)。
何故こんな状況になったかというと、時は3時間前、午前8時にさかのぼる…
今日は雨。さすがに奴等も大人しく…
「「たのもーっ!」」「ペコリッ」
ならなかった。逆に元気がいつもの3割増だ。 寝起きの頭じゃついていけない。
輝のメイクを進めながら凛が叫ぶ。
「駄弁るぞー!」
「「おー!!」」
「…おー」
やっと頭が回り始めた。【wi○dowsの起動音】
「今日の輝の設定は?」
先日のハンターモードが脳裏に浮かんだ。
「安心せぇ。普通の女子高生や。」
「今日は大丈夫だよ!この前はゴメンね。遊、仁。」
「よっしゃぁ!駄弁るぜ!」
「仁、いきなりどうした!?」
出会った頃の、のんびりとした彼はもういない。確かに今の輝は可愛いが…
「よっしゃぁ!俺も駄弁るぜ!」
…元気に言ってみたが、内容は不健康極まりない。
「おいそこのアホ共。少しは落ち着かんかい(怒)」
「「すいませんでした!」」
凄い剣幕だった。関西弁で怖さプラスα!
「そうだよ、特に仁。今日は唯一特技を見せてない仁の絵を見せる為に集まったんだよ?」
「仁の絵?」
そういえば絵師志望だっけ。
「そうだよー。見たい?」
「いや、別に」
「そんなに即答しなくても!」
「『見たい?』なんて聞いた仁が悪い。そんなん特に見たくもないに決まっとるやん。」
「私も今のは仁が悪いと思う。」
「最近、僕アウェイ過ぎない!?」
「「「だって、仁だもん」」」
「う、うわぁぁぁっ(泣)」
さすがに可哀想になってきた。
「仁、早く絵見せろ。」
「あれだけイジッといて!?何、ホントは見たいの?」
「いや、同情しただけ」
「もう、それでいいや…」
そして5分後…
「チッ、うまい…!!」
大雑把な筆使いだが、ポイントはしっかりおさえてる。
「オタクに誉められるのは嬉しいなー。」
グサッ【効果は抜群だーっ!】
改めて人にオタクと呼ばれると傷つく。仕返しのつもりだろうか?
「確かにうまいですね。でも服のシワが多すぎるかな?ココとココは省いた方が良いと思うよ。」
言われてみれば確かに……ってあれ?今の声、誰のだ?
皆一斉に後ろを向く。そこにいたのは…女の子?
短めの茶髪、死んでいる目。オーラでわかるが、俺と同種族だ!
「ん?どうしたの皆して私を見て。見とれた?」
うっわぁ、ウゼェ。
「誰やねんアンタ?」
凛は全く動じてない。
「私?私は尾西実夏。知らないとは言わせないよ、そこの君!」
ビシィッと俺を指差す実夏。
「俺っすか?」
知り合いにこんな奴いたかな?ん、でもなんか見覚えが……
「…全員初対面だがな!」
…コイツのウザさ、計り知れねぇ。
「ミカ。家、親は?」
凛が聞く。この質問はまさか…スカ○トアタック!
「家には帰りたくない!あとご飯をください。」
…『無い』じゃなくて『帰りたくない』か。凛はどうするんだろう?
「飯とテントをやるから一緒に暮らせへん?」
特に変わらなかった。
「お前のスカウト基準は親と家の有無だけか!?」
「来る者拒まず、出ていく者は…。それがウチの、忍道や!」
「ナ○ト!?あと出ていく者は何!?」
「早、く…ご飯…」
バタリッ
実夏は予想以上に弱ってたらしく、力尽きた。
そして、今に至る…
「カツ丼!」
見事にメニューを当てながら起きた。
凛はカツ丼を差し出しながら自己紹介する。
「おはようさん。ウチは難波凛。夢はメイクアップアーティストや!よろしく!」
「ぼくは久原仁。夢は絵師。よろしくー。」
「私は黄田輝。夢は声優。着替えてメイクすると性格が変わる照れ屋さんです。」
「俺は木々乃遊。夢なし。オタク。」
俺だけ夢無し!…惨めだ(泣)
「…ゴックン。名は名乗った。特徴、木々乃に同じ。」
これは…自己紹介と呼べるのか?
「これからよろしく。特に遊!」
「ん?あぁ、オタク同士仲良く…」
「アンタには、負けない!!」
「えっ、俺、敵扱い?」
「他の皆は仲良くしよ〜!」
「「「イエ〜!!」」」
なんだ、この疎外感?
空を仰ぐ。涙がこぼれないように…
こうして、またここに住人が増えた。
どうもカルタです。
なんと、ここにきて新キャラ登場です。
実夏がどんな過去を抱えているのか、お楽しみに!!
と、自分でハードル上げといて、勝手に萎えてるカルタでした。




