第15話 未来なんて
第十五話 未来なんて
愛留は自宅でのんびり過ごしていた。
「暴れん坊将軍、録画していたんだよね~♪」
自宅でテレビを観ていると、いつものように慎之介が部屋に落ちてくる。
「慎ちゃん、ちょうどいいタイミング! ちょうど暴れん坊将軍を観ようとしていたのよ」
愛留がテレビをつけると、音楽が流れてくる。
「愛留、上様って暴れん坊将軍と言われているのか?」
「そうね…… 創作モノで、実際には違っていたんだけど……」
愛留がタイムスリップをして吉宗に会ってきたことを話すと
「いいな~ 俺は遠くからでしか見たことがなくて……」 慎之介は目を輝かせている。
実際、慎之介は一般の武士であり、主の共で来ただけである。 慎之介の主の殿様でも数度しか拝謁していないと言う。
「そうね~ こうやって未来に語り継がれる将軍だったものね……」
愛留は少し自慢のような口調になっていた。
「そういえば、愛留の時代より先って……」 慎之介からすると現代は想像もつかないほど発展している。 この先はどうなるのか興味が沸いたようだ。
「なんだろう…… どうなるのやらね…… そうだ、未来博物館があるから行ってみない? 何か分かるかも」 愛留が言うと、慎之介の目が子供のようにキラキラしている。
(なんか子供みたい。 カワユイ……)
そして支度を済ませ、二人は未来博物館へ向かう…… 向かうのだが……
信号待ちをしていると、大きな犬がやってきて愛留に飛びついてくる。
「愛留―」 慎之介が愛留を庇うと、
“チリンッ―” いつものように鈴が鳴ってしまった。
そして二人がたどり着いた場所は
「いたた…… ここどこ?」 愛留がキョロキョロすると、慎之介が腰を押さえている。
(着地失敗したのね……)
「痛かったぞ、愛留……」 半泣きになっている慎之介。
「よしよし…… 甘い物でも買ってあげるから」 そう言って慰めていた。
「ここにタピオカ屋さんがあった…… って、クレープ屋さん? いつの間に……」
愛留が慎之介を連れて店の中に入ると店員はいなかった。
「奥かな? すみませーん」 愛留が声を掛けるが、奥からは返事がなく
『クスクス……』 と、笑い声だけが聞こえる。
(私、変なこと言ったかな?) 不思議そうな顔をしていると
「ここには店員は居ませんよ」 愛留と同じくらいの女子高生が話しかけてくる。
「すみません。 それだと会計とかは……」
「会計は網膜認証ですよ」
「私、現金しかないのですけど……」 愛留が言うと、女子高生は驚いて
「凄い! 現金なんですね。 よかったら見せてもらえますか? 最近は見てなくて……」
(えっ? 普通に現金を使うでしょ?) 愛留がキョトンとするが、
「ここ 奢りますから見せてくださいね」
女子高生がそう言って、普通の顔をして網膜認証で支払っていた。
そして三人で公園にやってくると
「じゃ、現金を見せてください」 女子高生がワクワクしている。
「はい。 これ……」
「うわ~ 凄い」 女子高生がはしゃいでいる。
(なんか話が噛み合わない……) 愛留が不思議そうにしている。
「愛留、どうなっているんだ?」 慎之介が愛留に袖を引っ張ると
「私の名前は小梅。 あなたたちは?」
「私は愛留。 隣は慎ちゃん」
「小梅ちゃんて可愛い名前ね」 愛留が嬉しそうに話すと
「今はね、昔っぽい名前かキラキラネームのどちらかなんだよ~」 小梅が嬉しそうに話す。
「そうなんだね。 ところで、今は何年? 私は2026年から来たのだけど……」
「そうなの? 今は2056年よ。 まさか30年も昔から来たの?」
「そうなんだ…… 慎ちゃんは、もっと前から……」 愛留のテンションが下がっていく。
(これじゃ、話が噛み合わない訳だ……)
そして三人が談笑していると
「そこを動くな! 銃刀法違反で逮捕する」 警察の声が聞こえてくる。
「まさか……?」 驚いていると慎之介はパトカーに乗せられてしまった。
「慎ちゃん―」 愛留は必死に叫ぶが警察は無視して慎之介を連れて行ってしまう。
(それにしても、パトカーの運転席に誰もいない)
この時代は車の運転も全自動。 愛留がさっき入ったクレープ屋もAIが全て管理していた。
「こんな時代だからね…… 働きたくても働けない人が多いんだ」 小梅が説明する。 少し上を見上げると至る所に防犯カメラが設置してあった。
(防犯には良いけど、プライベートなんてあったものじゃない……)
愛留が苦笑いをすると
「それより慎ちゃんを助けに行こうよ!」 小梅が叫ぶが
「だって逮捕されたんじゃ、助けも何も……」
「警察署に行って説明しようよ。 今じゃ人権とかウルサイ時代だからさ」 小梅は愛留の手を引いて警察署に向かった。
警察署に入ると、警官の格好をしたロボットが立っている。
「これもAIなの?」
「そう。 警察官や働ける人はAIを操作したりメンテナンスが出来る人ばかりなの……」
そして愛留がロボットに説明すると、胸に『TRUTH』と出てくる。 これは愛留の波動から本当と読み取ったようだ。
「これはね高性能のウソ発見器なの。 これから中で話を聞いてくれるからさ」 小梅が微笑むと、愛留と中に入って行こうとするが
「君はダメです。 身体にチップが入っている方は入れません」 警察に小梅が呼び止められてしまう。
チップが身体の中にあると脳を操作できるという心配がある為、ウソ発見器が誤作動を起こしてしまうようだ。 それで小梅は入れなかったのだ。
ウソ発見器にかけられた愛留が説明をすると
AIでは『TRUTH』と表示される。 そして慎之介は釈放されたのだ。
「小梅ちゃん、ありがとね……」 愛留と慎之介が礼を言うと
「ううん……楽しかったから♪ それで、どうやって帰るの?」
「それなんだけど…… 小梅ちゃんにぶつかっていい? そうしたら帰れると思うの」
「うん、いいよ! さぁ来い!」 小梅が構えると、愛留と慎之介は向かっていった。
「本当に消えた……」 小梅は驚いている。
「もし会えたら、40代の愛留に会えるんだね……」
そんな時、
「ここに来たら会えそうな気がして……」 小梅に話しかける女性が現れる。
「もしかして……」 小梅は驚いてしまう。
「懐かしいわね……」
「ううん、私にはさっきだったから……」
こうして二人は楽しい時間を過ごしていった。




