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幼馴染のきみと  作者: サワベリカ
7/20

第七話 屋上の女子会と、消したい証拠写真

激動の「ライバル撃退事件」から少し時間が経ち、日和と月菜は屋上の隅っこで、お弁当を広げていました。 風が心地よく吹き抜けますが、日和の頬はいまだに熱を持ったままです。


「……もう、月菜! 本当に、本当に、あんな写真見せるなんて信じられない!」


日和は卵焼きを口に放り込みながら、今日何度目かのアピールをしました。


「えー? でも、あの子の顔見た? 『え、このツンツン女、こんな可愛い顔して遙斗の袖掴むの!?』って、目が点になってたよ。最高にスカッとしたなぁ」


月菜は楽しそうに自分のお弁当の唐揚げを頬張り、スマホを操作し始めました。


「ちょっと! またその写真見てるでしょ! 消しなさいってば!」


「ダメ。これ、私のスマホの待ち受けにしたから。あ、あと『バカップルいちゃらぶ』フォルダにもバックアップとっておいたよ」


「そんなフォルダ作らないでよ! バカ月菜!」


日和は必死に手を伸ばしますが、月菜はひらりとかわして、ニヤニヤと日和を覗き込みました。


「でもさ、ひよちゃん。あの子が『私の方が遙斗さんを笑顔にできる!』って言った時、正直どう思った? 正直に、正直にー!」


月菜が指で日和の脇腹をツンツンと突きます。


「……っ、やめてよ! ……別に、どうも思わないわよ。ただ、あの子……遙斗のこと何も知らないくせに、勝手なこと言わないでって思っただけ」


日和はふいっと顔をそらしました。その耳が、お弁当の梅干しよりも赤くなっているのを、月菜は見逃しません。


「あー、それそれ! 『遙斗のことは、私しか知らないんだから!』っていう独占欲ね! 10年間の重みが出ちゃったねぇ、ひよちゃん」


「独占欲なんて……! 私はただ、あの子があんなバカ遙斗に騙されたら可哀想だと思っただけで……」


「えぇー? 騙されるって、遙斗が詐欺師みたいじゃない」


月菜がケラケラと笑うと、日和はさらに顔を赤くして言葉を重ねました。


「だって、あいつ、無自覚にああいうこと言うじゃない。あの子、本気にしてたみたいだし……。あんな無防備な笑顔に絆されて、勝手に期待して、結局最後に振られるなんて……ねぇ? 私みたいな被害者は、私一人で十分なのよ」


日和はふいっと顔をそらしました。その耳が、お弁当の梅干しよりも赤くなっているのを、月菜は見逃しません。


「はいはい。被害者ねぇ。でもその被害者さん、遙斗が『おれの隣はあいつにしか譲るつもりはない』って言った時、心臓止まりそうになったでしょ?」


「……っ!!」


図星でした。あの時、隠れていた樹の陰で、日和は本当に心臓が口から飛び出すかと思ったのです。 「バカ遙斗」と叫んで逃げ出したけれど、本当は、その場にへたり込んでしまうくらい嬉しかった。


「……あいつ、本当にバカなんだから。あんなこと、みんなの前で言うことないじゃない。……あの子が可哀想でしょ」


「あはは! まだそんなこと言ってる。でもね、ひよちゃん。あの後、遙斗がなんて言ったか知ってる?」


「え……?」


月菜は少しだけ声を落として、いたずらっぽくささやきました。


「『月菜、あの写真……あとで俺にも送っておいて』だってさ」


「………………はぁぁぁぁぁぁ!!???」


屋上に日和の絶叫が響き渡りました。


「ちょっと、送ったの!? 送っちゃったの!?」


「もちろん、速攻で送信完了。今頃、遙斗もそれ見てニヤニヤしてるんじゃない?」


「バカ! バカ遙斗! バカ月菜! もう知らないっ!!」


日和はお弁当をバタバタと片付けると、真っ赤な顔で立ち上がりました。 そんな日和の背中に、月菜の明るい笑い声が追いかけてきます。


「あ、ひよちゃん! 次のデートの時は、袖じゃなくて手を繋いでる写真撮らせてねー!」


「絶対撮らせないからぁぁ!!」


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