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幼馴染のきみと  作者: サワベリカ
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第三話 揺れる独占欲

放課後の廊下は、部活動に向かう生徒たちの活気で溢れていました。 日和(ひより)は、月菜(るな)と一緒に中庭を歩いていると、信じられない光景を目にします。


校門の近くで、遙斗(はると)が見知らぬ女子生徒に呼び止められていたのです。 相手は他校の制服を着た、可憐な雰囲気の女の子でした。


「……ねぇ、あれ。遙斗じゃない?」


月菜の言葉に、日和の心臓がドクンと大きく跳ね上がりました。


「……みたいね。別に、私には関係ないけど」


日和は努めて冷静に答えましたが、その視線は釘付けになっていました。 女の子は顔を真っ赤にしながら、遙斗に一通の手紙を差し出しています。 あれは、どう見ても「ラブレター」でした。


(……は? なにあれ。遙斗、あんな鼻の下伸ばして……!)


実際には、遙斗は困ったような顔で後頭部をかいているだけでした。 けれど、今の日の日和の目には、彼がデレデレしているようにしか見えませんでした。


「ひよちゃん、顔怖いよ? 行って阻止してこなくていいの?」


「……何で私が? 遙斗に誰か彼女ができれば、毎日『かわいい』なんて言われなくて済むし、せいせいするわ」


日和はわざと吐き捨てるように言うと、足早に昇降口へ向かいました。 けれど、心の中は嵐のようなざわつきで一杯でした。


(あんな子と付き合うの? ……あんなの、私との約束はどうなるのよ……っ!)


その時、後ろからバタバタと駆け寄ってくる足音が聞こえました。


「日和! 待ってよ、日和!」


遙斗が息を切らして追いついてきました。その手には、まだあのピンク色の封筒が握られています。


「……何よ。用があるなら、あの子のところに戻ればいいじゃない」


日和は立ち止まりもせず、冷たく言い放ちました。 遙斗は慌てて彼女の前に回り込み、行く手を塞ぎます。


「違うんだ、これ。断ったんだけど、どうしてもって渡されて……」


「別に、説明なんていらない。……どうせ遙斗のことだから、誰にでも優しいんでしょ? その封筒、大事に持ち歩けばいいじゃない。バカ遙斗!」


日和は遙斗の胸元を強く突き放しました。 突き放した手のひらに、彼の体温が伝わります。 あの日、桜の下で指切りをした時の、あの温かさと同じ……。


「日和。……おれが大事にしてるのは、あの日からずっと、一人だけだよ」


遙斗の声が、いつもより少し低く、真剣な響きを帯びました。 日和はその場に固まりました。 顔を見れば、またひどく真っ直ぐな目で自分を見つめているのが分かっていたからです。


「……っ、そんなの、知らない! どいて!」


日和は真っ赤になった顔を隠すように、遙斗の脇をすり抜けて走り出しました。


「……ひよちゃん、今のセリフは『脈あり』決定だね」


後ろで月菜がニヤニヤしながら呟いているのも聞こえないふりをして。 日和は、自分の胸の鼓動がうるさすぎて、今にも壊れてしまいそうでした。

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