すれ違い
フローライト第九十四話。
夏休みも終わり新学期も始まった頃、美園は朔と一緒に利成の家に来ていた。いつもの仕事部屋に通されて並んで座っていのは、前に美園が思いついたMVのことで相談に来ていたからだ。
朔をMVに出すと言う案が美園の所属事務所に言ったところ、許可が下りなかったのだ。
「色々曲のイメージから朔を出したいって言ったのに、話もあまり聞いてくれないってひどいでしょ?」
美園は憤慨していた。朔の写真を見せたらにべもなく却下されたのだ。
「同じ学校の男子なんてダメだって。同じ事務所の子でそういう子ならいくらでもいるからって」
「そうか」と利成が特に表情も変えずに言う。
朔は黙って明希が出してくれたコーヒーを飲んでいた。
「利成さん、朔と組めって言ったでしょ?私はMVしかないと思ったんだよ」
「そうだね、MVはいい考えだと思うよ」と利成もコーヒーに口をつけた。
「でしょ?」
「美園・・・」と朔が口を開いた。美園が朔の方を見ると朔が言った。
「俺・・・出なくていい・・・」
「何でよ?」
「あまり出たくなかったから・・・」
「それってまた顔がどうとかいうんじゃないでしょうね?」
「・・・・・・」
「朔君、こないだの絵だけど、また前のお客さんが買ってくれたんだって?」
利成が言った。そうなのだ、あの後描いた水彩画も、また油絵の抽象画も売れていた。
「はい・・・」
「良かったね」と利成が言うと「ありがとうございます」と朔が頭を下げた。
「どう?絵には自信ついた?」
「え?・・・まあ・・・」
「でも最初はどうだった?」
「自信・・・なかったです」
「そうだね」と利成がまたコーヒーに口をつける。
「新しいことってまず頭が抵抗するからね。未知なる世界には何があるかわからないってネガティブなブレーキがかかるんだよ」
「はぁ・・・」と利成の言葉に曖昧に朔がうなずいた。
「利成さんが事務所に言ってよ。私じゃ無理だよ」
美園は言った。
「そうだね、でも、俺にも無理だよ」
「そんなことないでしょ?」
「美園の事務所と俺の方は別に関係ないからね」
「じゃあ、どうすればいい?」
「美園のチャンネルに必ずしも出なくてもいいんじゃない?」
利成がパソコンでユーチューブをつけた。
「今じゃ表現媒体なら山ほどあるよね?」とマウスを操作して美園のユーチューブをつけた。
「そうだけど」と美園はパソコンの画面を見た。
「朔君が自分独自でやって、それを美園が手伝ってもいいんだよ」
「つまり朔が何かしらの表現媒体に出て、それを私が手伝うってこと?」
「そうだよ」
「朔、チャンネル開設して自分が出るってどう?」
美園が聞くと、朔が驚いてから困った表情を見せた。
「俺・・・できないよ」
「だよね?利成さん、それがなかなか難しいから考えたことだったんだよ」
「難しいのは何で?」と利成が聞く。
「朔は出たがってないんだよ。だから私のチャンネルならって話になったの」
「そうか。ユーチューブじゃなくてもいいんじゃない?」
「じゃあ、何よ?」
「インスタでもいいし・・・明希の店のインスタでもいいしね」
「明希さんの?」
「そうだよ。自分で自分のチャンネルのハードルがそんなに高いなら、まず明希の店の宣伝がてら自分の絵のアピールをしてみたら?」
「おー・・・ナイスだよ。利成さん」と美園が言ったら利成が笑った。
「明希も最初は何にも出たがらなかったんだよ。俺が強制でインスタもやらせてね。毎日服装も髪型も変えて、店のアクセサリーをつけて写真をアップすれって」
「毎日?変えるの?」
「そうだよ」
「それはなかなかキツイよね?」
「そうだね。髪型のレパートリーがないって、後半は美容室にいちいち行ってたよ」
「えー毎日?」
「そうだね」
「やるね、明希さん」
「明希はやりたがってなかったけど、俺の言うことはその頃の明希の中では、絶対だったみたいだからね」
(”その頃”っていうのがちょっと哀愁だな・・・)と少し思う。
「そのうち、明希の中でもそういうのが当たり前になってね。出て当たり前。ここまでくれば後は自動的に動くよ」
「そうか・・・朔、それでもいい?」
美園が言うと朔が「・・・まあ・・・」と渋々と言った調子で言った。
「じゃあ、今度は明希さんに相談しよ」と美園は立ち上がった。
「今?」と朔が言う。
「今」と美園は答えて朔の手を握った。
「朔君、頑張って」と利成が言う。
「はい・・・」と朔が頭を下げた。
明希に相談すると「わーそれいいね」とすぐに賛成してくれた。
「今度から原画だけじゃなく、朔君の絵のポストカードとかも作りたいなって思ってたの」
明希が嬉しそうに言った。
「明希さん、昔毎日お店のためにインスタアップしてたって聞いたけど」
美園が言うと「あー利成に聞いたの?そうなんだよ。ほんと大変だった」と笑った。
「毎日服装も髪型も変えたって」
「そうだよ。毎日なんてレパートリーもなくなるでしょ?そういったら服は買って髪は美容室に行ってってね。大変だったけど、アップするたびに利成がものすごく褒めてくれるから・・・ついね」と明希が肩をすくめた。
「そうなんだ」
さすが利成さんだなと美園は思った。やれというだけではなく、一回一回褒めてたとは・・・。
「じゃあ、まず絵を描いてもらって、出来上がったらインスタアップしよう」と明希が笑顔を朔に向けて行った。
朔は少し困った顔をしていたが「はい・・・」と頷いていた。
それから二週間ほどで、明希が言っていたポストカードにできそうなイラストを朔が描いてきた。明希は「わ、可愛い」と喜んで、すぐにポストカードに作るねと言った。
そしてその後、新しく出した美園の歌が一気にチャートベストテンに入った。それと共に美園が急に忙しくなった。朔と会えるのが学校での時間、それもクラスが違うので休み時間に少し会えるかどうかとなった。
ラインは毎日していたものの、朔がまたよそよそしくなっていった。明希の話では、まだインスタでの宣伝を撮ってないという。ある日、とうとうラインをしても返信が来なくなった。
(朔・・・)
夜中に美園はスマホの表示を見つめながら、もうこれではダメだ、朔が遠のいてしまうと思った。
次の日学校での休み時間、美園は朔のクラスの入り口に立った。
「朔・・・対馬呼んで」と通りががった男子に言うとその男子が「対馬ー天城美園ちゃんが自らお前のことご指名だぞー」とからかい口調で呼んだ。美園がその男子を睨みつけると、「こわっ」と言ってその男子は行ってしまった。
朔が自分の席から立ち上がってこっちにきた。
「ちょっと来て」と美園が言うと、朔が「うん・・・」とトボトボとついてきた。
人気のあまりない廊下の隅まで行くと、美園は朔に向き合った。
「インスタ、まだ撮ってないんだって?」
「うん・・・」
「どうして?」
「・・・・・・」
「明希さんが待ってるよ」
「・・・・・・」
「朔?」
「ごめん・・・」
「何かあった?ラインも返信ないし」
「・・・・・・」
「また前みたい理由で返信くれないわけじゃないよね?」
「・・・・・・」
「朔って、何で黙ってるの?」
「ごめん・・・」
「ごめん、ごめんって・・・」と美園は朔を見つめた。朔はうつむいたまま何も言わない。これじゃあ、怒られている子供と一緒だ。
「朔、今日の夜うちに来て」と美園が言うと朔が「何で?」と聞いてきたので、美園は少しイラっとしてしまった。
「何でって?わかるよね?」
「・・・・・・」
その時休み時間の終了を知らせるチャイムが鳴った。生徒たちがバタバタと教室に戻って行くのを見て朔も戻ろうとした。その腕を美園はつかんだ。
「朔?私が帰ってなくても待ってて。咲良には言っとくから」
「・・・・・・」
「わかった?」
「ん・・・」
美園が手を離すと、朔はすぐに走って教室の方に行ってしまった。美園はその後ろ姿を見ながら、(これは本格的に何とかしなければ・・・)と思った。朔はいつもぎりぎりのところにいるのだ。このまま自分から離れてしまえば、朔はきっと一生自分をダメな奴だと思い続ける・・・。そんな気がした。
咲良にラインで朔のことを知らせておいた。咲良からはスタンプで「OK」とだけ返信がきた。
学校が終わってすぐに仕事場に行き、レッスンと取材、撮影などを済ませて帰路に着くと、もう夜の八時だった。スマホを取り出し家に電話した。
「もしもし?」と咲良が出る。
「朔、ちゃんと来た?」
「来てないよ。あんたが来るって言うからご飯も作ってあるのに」
「・・・わかった」とすぐに電話を切って朔にかけた。呼び出し音は鳴ってもすぐに留守電に切り替わる。数回かけると「おかけになった・・・」とアナウンスが流れた。
美園は踵を返し、反対方向の電車に乗った。もちろん朔を呼びに行くためだ。電車から降りて、暗い夜道を一人歩く。朔が目を開けてここにいる自分に気がついて欲しい・・・・そんな一心だった。
(やっぱり私、朔が好きなのかな・・・)
住宅街の一角の古い一軒家。そこが朔が両親と住む家だ。家の街灯がうっすらと点いている玄関のインターホンを押した。
「はい?」と朔の母親らしき声がインターホン越しに聞こえた。
「あの・・・夜分にすみません。私、朔君と同じ学校の天城と言います」と美園はインターホンに向かって言った。するとガタガタと音がしてドアが開いた。
「天城さん?・・・あ、朔の・・・」と朔の母親が言う。
「こんばんは。すみません、夜遅くに・・・朔君いいますか?」
「いますけど・・・ちょっと待ってくださいね」と朔の母親が階段の下から「朔ー」と呼ぶ。
ガタッとドアが開く音がして、階段を降りて来る足音がした。
「何?」と声が聞こえる。
「天城さんが来てるけど・・・」
「えっ?」と朔が玄関に来た。
「こんばんは」と美園はわざと丁寧に挨拶した。
「美園・・・どうしたの?」と朔が驚いた顔で言った。
「どうもしない。迎えに来たの」
「・・・・・・」
「今日、うちに来る約束でしょ?」
そう言うと朔の母親が朔の顔と美園の顔を見比べた。
「でも・・・」と朔がうつむく。
「待ってるから、用意してきて」
美園が言うと「朔?何かあるの?」と朔の母親が言った。その時リビングだと思われる一階の部屋から朔の父親が出てきた。
「何やってる?」と玄関に集まっている三人の顔を見ると、美園の顔を見て急に驚いたような顔をした。
「あんた、こないだの・・・」と言う。
「こんばんは。夜にすみません」と美園は頭を下げた。
「天城さんってこのお嬢さんなのよ」と朔の母親が言った。
「こないだの絵のか?」と朔の父親が言う。それから美園の方を見て「あんた、天城利成の孫か何かなんだって?」と言った。
「はい」と美園が答えると、「どおりで、あんなことしてるわけだ」と朔の父親が言った。
「あんなこととは何でしょうか?」とわかってはいたがわざと聞いた。
「あんなことだよ。朔と。うちに上がり込んで年頃の娘さんが。でも、天城利成の孫ならしょうがないな」
「どういう意味ですか?」と美園はあくまでも丁寧に聞いた。
「あの女たらしの孫だろ?だらしなくて当たり前だな」と言う。
(は?何、この人)と心の中で思ったけれど黙っていた。ここで問題を起こせば、本気で朔と会えなくなるので美園は我慢した。
「美園・・・準備してくる・・・待ってて」と朔が言った。
「お前、こんな時間からどこへ行く気だ?」と朔の父親が言う。
朔はそれを無視して二階に上がって行った。
「やれやれ、こんな夜中に娘が一人で男を迎えに来るとは・・・天城利成の家系は代々こういう風にだらしないのか・・・」とひとり言のように父親が言って、美園の身体を上から下までじろじろと見た。
(うわっ・・・さむっ)
何だか心が凍りそうだった。
(これは絶対奏空はここに来れないな・・・)
朔が階段からダダダと降りてきた。それから靴を履く。
「何にもできないくせに、女に手を出すのは一人前だな、しかもあの天城利成の孫とはな」と朔の父親が朔を軽蔑したように言った。その間も朔の母親は何も言わない。ただその場にじっとしているだけだった。
「行こう」と朔が美園の腕をつかんだ。
美園は朔の母親にだけ頭を下げて朔と一緒に表に出た。表に出ると朔がつかんでいた手を離して先に歩き出した。
「朔・・・」と美園は走って朔の隣に並んで歩いた。朔は黙って歩いている。
「朔?」と美園はもう一度朔を呼んだ。
「変なこと言って・・・ごめん・・・」と朔が言った。
「何のこと?」
「父親・・・」
「あー、大丈夫よ。あのくらいは」
「・・・・・・」
「私の方こそ、ごめんね。夜に来ちゃって」
「俺が悪いから・・・」
「朔は悪くないよ」
「・・・・・・」
それから美園のマンションに着くまで朔は黙っていたので、美園もずっと黙っていた。
「ただいま」と玄関に入る。それから「朔も入って」と言った。
「あら?」と咲良が出てきて朔の方を見た。
「朔君、こんばんは。美園、あんたまさか無理矢理連れてきたの?」
「無理矢理じゃないよ」と美園は行ってまっすぐ自分の部屋に入った。鞄を置いて朔の目の前で制服を脱いだ。下着姿でクローゼットの中から着替えを出した。
Tシャツをくぐるといきなり朔が後ろから抱きしめてきた。
「美園・・ごめん・・・」と弱々しく朔が言う。
「何のこと?」
「さっき・・・」
「何?お父さんのこと?」
「ん・・・」
「だからあれくらい全然大丈夫よ。もっとひどいこといくらでもいわれたことあるから」
そう言ったら朔が美園から身体を離した。
「どんなこと?」
「んー・・・咲良が天城利成を誘惑して出来た子だとか・・・父親は誰だかわからないみたいなこととか・・・露骨ないじめとか、女子からの仲間外れ、もしくはその逆?やたら媚びて来る女子とか・・・」
「・・・・・・」
「一番大きかったのは、階段から突き落とされそうになったことかな・・・?さすがにあれはね、行き過ぎだろって、次の日からやられたらやり返すか、脅しをかけることにしたんだよ」
「脅し?」
「そう。カッターナイフで脅したら、咲良が学校に呼び出されてたよ」
「カッターナイフ?」
「うん、咲良のこと言ってきた女子にね。二度と言うなってカッターナイフ突きつけたら泣いちゃったんだよね」
「・・・・・・」
「それから大問題になっちゃって・・・私ね、今まで友達ってできたことないんだよ」
「美園が?」
「そう。気づいてなかった?私、女子とつるんでたこと一度もなかったでしょ?」
「・・・・・・」
「ま、いいんだけどね」と美園が短パンを履こうとしたら、朔がまた抱きしめてきた。
「朔、短パン履けないじゃん」
「俺だけ・・・一人だって思ってた・・・」
「でしょうね」
「美園にはあんないいお母さんとお父さんがいるし・・・天城さんだってすごいし・・・」
「利成さんだって色々あるよ。利成さんの絵みたらわかるでしょ?」
「・・・うん・・・」
「わかったらよけて」
そう言うと朔がよけたので美園が短パンを履こうと片足を上げたところで、朔が足に抱き着いてきた。
「わっ・・・」とバランスを崩して美園は床に尻もちをついてしまった。
「痛っ・・・」と言って朔を見ると、朔が美園の足にしがみついていた。
「朔、足は後にして。ご飯食べてないから食べてくるから。朔は食べたの?」
「・・・食べた・・・」
「咲良が朔の分も作ったってよ。少しも入らない?」
「・・・少しなら・・・」
「そう?じゃあ、リビングに行こう」
リビングに行くと、ダイニングテーブルの上に咲良がご飯を並べていた。
「あ、美園はご飯食べるんでしょ?朔君は?」
「朔は食べたけど、少しなら入るって」
「そう?良かった。じゃあ、少しと言わず食べてね」と咲良が朔に笑顔を向けた。
食事を取りながら朔に咲良が言った。
「最近、絵はどうなの?」
「・・・描いてます・・・」
「そうなんだ。明希さんが朔君が音沙汰ないって言ってたから」
「・・・すみません・・・」
「あ、全然いいんだよ。好きな時に描いて。締め切りがあるわけじゃないし」
「はい・・・」
「今日は泊まれるんでしょ?」と咲良が言うと朔が美園の方を見た。
「泊っていって。明日は学校は休みだし」
明日は祝日だった。
「うん・・・」と朔が言う。
シャワーをかけて部屋に戻ると、朔が電話をしていた。
「うん・・・」と時折り返事をするだけで特に朔からは言わない。「ん、わかった」と言って最後に電話を切っていた。
「うちから?」と美園が聞くと朔が「うん」と言う。
「何だって?」
「お父さんと話し合って欲しいって・・・」
「お母さんから?」
「そう・・・」
「朔は高校でたらどうするか決めた?」
美園は朔がベッドに背中をもたれて座っている隣に座った。
「・・・自衛隊行けって・・・」
「行くの?」
朔が首を振った。
「・・・朔・・・」と美園は朔の手を握った。
「私、歌なんてやめてもいいんだよ」
「やめるって?」
「朔が私が芸能界でやることで離れて行こうとするなら、私、歌なんてやめるよ」
「・・・俺のために?」
「そうだよ」
「・・・・・・」
「ねえ、大切なものって何?」
美園が聞くと朔が首を傾げた。
「前にも言ったけど、仕事が自分のステータスだったり、食べて行く為だったり・・・そんな風に自分を縛ることで、狭い世界に生きられるんだけど、私は地球からこぼれたいの」
「地球からこぼれる?」
「うん、この地球の中は特殊空間なのよ。しかも社会っていう人の頭の中の思考で更に特殊になっていて・・・でも、ま、そう悲観的になることでもないんだけどね。だけど、今地球がチェンジしようとしてる・・・だから朔も私と一緒にこぼれよう?」
「よく意味がわからない・・・」
「そうだよね」と美園は笑った。
「歌・・・やめないで・・・」
「やめなくていいの?朔、また私のこと無視するでしょ?」
「無視・・・しない」
「そう?ならいいけど」
美園が膝を立てると朔がそれをじっと見た。
「足、触る?」
「・・・それよりしたい・・・」
「アハハ・・・いいよ」と美園は立ち上がってベッドに入った。その後から朔が入って来る。上から口づけられてから首すじを舐めてくる。
「ちょっと、くすぐったい・・・」
美園が言うと、「美園も俺のこと舐めて」と朔が言う。
「いいけど、どこを?」
そう言ったら朔が少し顔を赤らめて「やっぱり、いい」と言った。
「・・・舐めてあげるよ」と美園は起き上がって朔のズボンに手をかけた。今日は朔は奏空のパジャマを借りている。「寝て」と美園が言うと朔が仰向けになった。
朔のすでに反応している部分を舌で舐めると、朔が「んん・・・」と少し呻いた。
「気持ちいい?」と美園が聞くと「ん・・・」と朔が言う。
「朔、今日は私が上になってあげるね」と美園は朔の上にまたがった。
朔の顔を見ながら身体を動かすと、朔も美園を見つめてきた。
「朔、あなたは素敵なんだからね」と美園が身体を動かしながら言うと、「ん・・・」といきなり朔が起き上がって美園を下にした。
「美園・・・」と名前を呼びながら朔が動く。
(やっぱ、名前呼ばないとダメなんだな・・・)と一人心で思う。
「美園・・・」とまた名前を呼んでくる朔が、美園は本当に愛しくなってきた。
(私、変だな・・・愛しいなんて・・・)
「美園・・・」
朔の声を聞きながら不思議な気持ちになる。
するから好きになる・・・本当かも・・・・・・。




