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「これより魔女掃討作戦を実行する!魔女たちがこの国への侵略を計画していると情報が入った!これは明らかな反逆罪である!各隊すみやかに行動に移るように!以上だ!」


宮殿の広場にシノマリア公国の騎士、数千が集められ総司令官から命令が下った。


「おいおいマジかよ。大規模な収集がかかったと思えばこれか。お前は知っていたのか?」


同僚のマルスは愚痴をこぼしている。


「俺も初耳だ」


これでも俺は1つの団を任されている騎士団長だ。大規模な作戦であれば通常は前もって団長が集まり、作戦を練る。


よほど危険な状態か、もしくは何か裏があるのだろう。


「おい、アラン。さっさとこっちに来い」


朱騎士団の騎士団長ベルトランが呼んでいる。ここにはいま「朱」と「碧」、それに俺たち「翠」が集められた。


自分の部隊に山に入る遠征の準備を命じ、ベルトランとクロヴィスのところへ行く。


「んで、どうする」


「どうするも何も説明が少なすぎます。これでは作戦なんて組めませんよ」


クロヴィスが怒るのも無理はない。相手が危険だということもあるが、魔女といえども人間だ。正当な理由がなければ、戦う士気も下がってしまう。


「総司令官の命令は絶対だ。魔女が侵略してくるっていうんだ。やるしかないだろ」


侵略も何も魔女の村はこの国にあるんだがな。しかも昔から国とは繋がっているとかいうし、魔女の力で国が大きくなったとも言われている。もしかするも、国と仲違いでもしたのかもしれない。


いや、それは大いにあり得る。先代の君主が急死し、息子のエアハルトが君主になってから隣国との交易が急に止まったり、遠方の領土では暴動が起きたりしているのだ。


エアハルト公は若いうえに傲慢で、正直なところ国を導けるような存在ではないと思っている。


「分かっていますよ。しかし侵略してくるというならなおのこと、警戒しないとこちらがやられます。貴方はどう思いますかアラン?」


魔女は魔術を使う。火や水、風など自然の力を自由に扱う力を持っているのだ。


「総司令官の様子からして、よほど緊急なんだろう。だったらもう行き当たりばったりで行くしかないんじゃないか?」


悠長に作戦を組めるのなら、通常通りまずは団長が集められるはずだ。魔女とは戦ったことはないが、いま集められた3騎士団はトライナイツと呼ばれる上位の団だ。なんとかなるだろう。


「おし!アランよく言った!俺はお前のそういうとこ好きだぞ」


ベルトランはさっさと自分の団に戻り山に侵攻する号令をかけている。


「アラン、私は貴方を恨むことになるかも知れません。貴方がたは魔女をなめすぎです。我々がこの作戦に失敗すれば国が終わりますよ!」


「クロヴィスは魔女と戦ったことがあるのか?」


「ありませんが、魔女については多くの記録が残っています。それは我々がいかに肉体を極め、技術を磨いても到底及ばない力です」


トライナイツに属する騎士の多くは、肉体を極限まで鍛え上げ、それぞれが得意な武器を極めた達人ばかりである。


「それは誤った選択をしたかもな。悪かった」


「今更です。生きて帰れたら、お詫びに酒でも奢ってください」


「ああ、良い店探しておく」


この時の俺は分かっていなかった。この先に地獄が待っているなんて。








「いいかい、ロア。この試練が終わればすべてマナを扱えるようになる。死ぬんじゃないよ」


「はい…おししょうさま」


ロアと呼ばれた少女は山に大きく開いた洞窟へと潜っていく。そこは外の光も届かない真っ暗闇。闇のマナを扱えるようにならない限り、そこからは逃げ出すことも出来ない。待つのは死のみである。


少女はいつも通り只そこに在ることにした。試練の時はいつもそうしてきた。


「我が身を捨て、1つになりなさい」


これが少女の師匠の口癖だった。少女は素直にその言葉を受け止め、これまでもいくつもの試練を乗り越えてきた。


滝壺での試練も、溶岩湖での試練も、渓谷での試練も、普段の修行をどれだけこなしていようと試練で死んでしまう仲間は多い。


次に少女が太陽の光を浴びたのは10日後であった。身体は衰弱していたが、死ぬことはない。水のマナに呼びかけ水を創り出すとそれをゆっくりと飲む。


「……」


少女はすぐに山の異変を感じ取る。魔女たちは自然に流れるマナを読み、扱うことが出来るのだ。


しかし少女の身体は思うように動かない。山の実りを口にし身体の回復を待ちながら、ゆっくりと村への道のりを進んでいった。







「くそ…」


クロヴィスの言ったとおりだった。数千にものぼる騎士をたった数十人の魔女たちで簡単に蹂躙していった。


それはあまりにも一方的で、奇襲をかけたはずの俺達はすぐに撤退を余儀なくされた。


しかし、山は魔女の縄張り。逃げ道などなく、俺たちは散り散りに逃げることしか出来なかった。


そこからはさらに最悪だった。


近くの洞窟へ逃げていた戦えない子どもや老人を見つけたのだ。そして彼らを人質にすることになった。


苦肉の策だった。こんなの絶対に騎士のやり方ではない。今回の命令は掃討で、1人残らず皆殺しにする必要がある。人質が助かる道などないのに、人質を盾にに魔女たちを殺していく。


数千の騎士はすでに数百にまで減っていた。そこら中に死体が積み重なっている。やらなければ、俺たちがやられていたのは間違いない。


だが他の道があったのではと、どうしても考えてしまう。


生き残った騎士は皆、トライナイツの中でも強者だったがこの状況に気が触れたように自害するものまで現れた。


そこは紛れもない地獄だった。この地獄の3日間はのちに「血が降る3日間」と呼ばれるようになる。


正義の分からない虐殺が終わり怪我をしたものは帰還させ、残りの者は死者の処分にあたっていた。


誰もが無言で死体を運び、数十体を運び終わると火をつけ燃やす。それの繰り返しだ。


「クロヴィス、お前の忠告を聞くべきだった」


「今更です。それに私たちにはこの選択肢しかありませんでした。今は生き残れたことに感謝しておきます」


「それもそうだな」


「アラン団長、失礼します!生き残りの魔女が現れました!」


部下のひとりが走ってきて告げる。


「分かったすぐに行く」


「アラン、私もいきます」


クロヴィスが心配してついてきてくれる。


部下について行くと、少女が騎士に囲まれて立っていた。顔色は悪くやつれており、立っているのがやっとのように見える。他の魔女たちが着ていたものと同じ黒いローブをまとっている。


「まだいたとはな、どこに隠れていたんだ?」


くそ、子供だ。そのまま隠れていればよかったものを、なぜ出てきた。


「…」


だんまりか。もう家族も友人も死んだはずだ。1人残されるのも可哀想だろう。殺したほうがコイツの為になる。


「お前も死んでもらうぞ」


剣を抜き少女の首筋へ狙いを定める。


「…」


少女の灰色の瞳が俺の目を捉える。「早く殺さないと殺せなくなる。」そう直感し剣を振り下ろす。




「アラン」


「分かっている!」


俺の振り下ろした剣は彼女の首筋で止まっている。


「私が代わります」


クロヴィスは細くとがった剣を抜き、構えた。


「…」


「ッ!?」


「クロヴィス!!!大丈夫か!貴様何をした!!?」


剣を構えたクロヴィスは、膝がガクリと落ち剣を落とした。口元からは血が流れいる。


「アラン、彼女は何もしてません。私も長くはないですね。最後の仕事をしなければなりません」


そう言いクロヴィスは立ち上がり剣を構え直す。


魔女たちは毒を撒き、一斉に騎士を殺した。きっとクロヴィスもそれを吸ってしまっていたのだ。


「動くなッ!!!!」


少女が動いたことに騎士が反応し、腹部に剣を突き刺す。


「ん…」


少女は一瞬表情を変えたが、左手で腹部を押さえただけで気にすることなく動こうとする。


「動くなと言っている!!」


「待て。様子を見るんだ」


騎士を静止する。コイツは何をするつもりだ?


他の魔女たちに襲われた時はどこからともなく攻撃が降ってきた。子供のコイツにはまだそれが出来ないのか?


「アラン、油断してはダメです。彼女は紛れもなく魔女です」


「分かってる」


だが殺さなくていいのなら…そう心残りどこかで思ってしまう。もうすでに何人もの子供を殺したというのに虫のいい話だ。


少女は腹部から血を流しながら死体と瓦礫のなかをふらふらと歩いては何かを探しているようだ。


「お前、何を探している?」


もうここには何も残ってはいない。村も戦闘で破壊され見る影もない。


少女は住居のあった辺りの瓦礫を一つずつどかし始めた。


「これをどかすのか?」


大きめの瓦礫をどかしてやる。


「アラン!いい加減にしてください!」


クロヴィスが怒っている。当たり前だ。コイツは殺さなくてはいけない。


少女はまだひたすらに瓦礫をどかしている。傷も痛むだろう。いつまでも死を先延ばしにするのもよくはないと頭では分かっている。


「おい、悪いがそんなに待ってはいられない。そろそろ死んでもらう」


少女はスッとこちらを向くと、そのままクロヴィスに視線を移し、また瓦礫をどかし始めた。


「もういい私がやります。アランはどいてください」


クロヴィスは瓦礫をどかす少女の背中に剣を向ける。


剣を振り下ろすのと、少女が何かを取り出したのはほぼ同時だった。


だがクロヴィスは何かを手に取った少女を警戒し、すぐに距離をとる。


少女の手には小瓶が握られていた。剣を向けるクロヴィスに警戒することもなく近づき、小瓶を地面に置くと、また瓦礫をどかし始める。


「何だこれは」


15㎝ほどの土器のような瓶に蓋がしてある。


「開けないほうがいいです。毒かもしれない」


その言葉を聞いてか、少女はまたゆっくりと近づいてくる。俺の手から瓶を取ると、蓋を開け少し飲んでみせる。


そして蓋を閉めるとまたクロヴィスの足元へ置き、瓦礫の山にふらふらと戻っていった。


「飲めと言ってるのか?まさか解毒薬とか?」


明らかにこれをクロヴィスに渡している。俺ではない。


「そんなわけが……私を助ける理由がありません。私たちは彼女の家族を殺しているのですよ」


一瞬だけ瓦礫をどかす少女の手が止まる。攻撃してくるかと警戒したが、そんな素振りは見せない。


「飲んでみたらどうだ?魔女の毒はどのみち解毒出来ないんだ。死ぬ前に賭けてみたらどうだ?」


少女は明らかに飲んでいた。だがそれだけではもちろん信用は出来ない。だけど何となく。ただ何となく、俺たちを殺そうとしているようには見えない。それだけの理由だ。


「アラン。これで死んだら私は本当に貴方を恨むでしょうね」


「どうぞお好きなように」


クロヴィスはひとくち口に流し込む。


「うっ…ゲホッゲホッ!ゲホッ!」


急に咳き込みだし、小瓶が地面に落ちて割れる。中からこぼれ出た液体は、緑まじりの黒い液体だった。


「クロヴィス!!!!」


やはり毒だったのか?俺の見当違いか?


「うぇっ、ゲホッゲホッ。とてつもない味です。私は生きてますかアラン」


「ああ、今のとこはな。これから死ぬかも知れないが」


とりあえず死んではない。しかし毒だった場合、すぐに効くとは限らない。


「貴方は本当に心ない人間ですね」


「それで解毒薬なのか?」


「分かりません。それに飲めていない気がします」


すべて吐き出してしまいましたから。と少しだけ申し訳なさそうに言う。残りの分はすべて地面にこぼれてしまった。


「…」


コツン。


少女が新たな瓶をクロヴィスの前に置く。


「まさかこれをまた飲めと言うのですか?」


クロヴィスの顔は毒のせいか、味を思い出してか、青ざめている。


「クロヴィス団長、宜しければジャックで毒味を」


碧騎士団の一人がクロヴィスに進言しにくる。


「ジャックですか…まだ生きてますか?」


「はい。朦朧としてますが、まだ息はあります」


どうやら毒にやられた部下がいるようだ。


「飲ませて下さい。あまりの味に飛び起きるかもしれません」


碧の騎士はクロヴィスから瓶を受け取ると急いでどこかへ駆けていった。


「おい、お前が飲まなくていいのか?」


少女はまだ瓦礫をどかしているが、薬はあれが最後かも知れない。


「いいんですよ。部下の命のほうが大事です」


しばらくして、先ほど駆けていった騎士が戻ってきた。


「報告します!!!瀕死状態のジャックが回復しました!!!立ち上がることはまだ出来ませんが、意識もはっきりとし、身体を起こせるまでになっています!」


「そうですか。他にも毒でやられた者はいればこれを飲むように言いなさい」


そう言って少女が追加でもってきた瓶を渡す。


「しかし団長の分が…」


「私は先ほどので十分効いています。持っていきなさい」


「ありがとうございます!」


嘘だ。クロヴィスの毒は抜け切れてない。確かに少しは和らいだのかも知れないが、一口だけでは足りないはずだ。


少女にもっとくれるように頼めば…


「おいッ!!!大丈夫か!」


少女は瓦礫にぐったりと横たわっていた。ローブが黒いせいでよく見えなかったが、相当な出血量だ。まだ身体は小さい。このまま放置すれば確実に死ぬ。


一体俺は何をやってるんだ。コイツを殺しにきたのだから放置すれば良いだろうが。


「はあ……私の部下を助けてくれたお礼です」


クロヴィスはポーションを取り出し、少女に飲ませる。すぐに目を開け、灰色の瞳をきょろきょろさせ身体を起こした。


「傷が塞がったわけじゃない。じっとしているんだ」


「…」


相変わらず反応はない。そりゃ口なんかききたくないだろう。俺たちはこの子の家族を、村を潰したんだ。


「クロヴィス団長!瓦礫の中から新たに解毒薬を見つけました!早く飲んで下さい」


部下たちは少女の様子をみて、住居があった辺りの瓦礫をどかし解毒薬を探していたようだ。


毒で動けなくなっている者たちはまだまだいる。助ける方法があるのなら助けてやりたい。


「よかったなクロヴィス」


「アラン、目が笑っていますよ。私が薬を飲むのを楽しまないでください」


クロヴィスは鼻をつまみ、瓶を傾け一気に喉へと流し込む。


「おぇっ、うっ、ゲホッゲホッ」


「間違って吐くなよ」


「分かっています。それでアラン。これからどうするつもりです」


「どうするって?まだあと一日は処理に時間がかかるだろ」


「その後です。あの少女を殺すのですか?」


少女は瓦礫にもたれかかり、目をつむっている。寝てしまったようだ。


「お前がポーションを飲ませくせに」


「私は恩人に恩を返しただけです」


この村の者を全員殺せというのが司令官の命令だ。それに逆らったとなれば反逆罪で殺される。


「考えておく」


結論は後回しにして、とりあえずやることをやろう。片づけなきゃいけない死体はまだまだあるのだ。


そうしている間も一応少女を警戒していたが、ずっと眠ったままだった。あまりにも静かに寝ているので、死んでるのかと確認したくらいだ。


そうして結論が出ないまま朝になった。


「アラン団長!クロヴィス団長!宮殿から伝令です!東のサキラス王国がここシノマリア公国へと侵攻中!至急、公都へ帰還せよとの命令!」


おいおいおい、ふざけるな!サキラス王国が侵攻中だと?!俺たちが魔女の村を焼いたから障害がなくなったってか。


「分かった、準備しろ」


心の中で悪態をつきながらも、部下に動揺をみせることはできない。


「はっ」


部下がさがっていく。


「くそっっ!!!!!」


クロヴィスが地面を思い切り殴る。何度も何度も拳を叩きつけ血が飛び散る。


「珍しいな。お前がそんなに怒るなんて」


「アラン、貴方も怒っているでしょう?手のひらに爪が食い込んでいますよ」


湧き上がる怒りを抑えようと自然に力が入っていたようだ。


本当は俺だって叫んで暴れまわりたいくらいだ。


俺たちが魔女を殺したのは正しかったのか?仲間が死んだのは本当に国の為だったのか?魔女たちの死は本当に必要だったのか?


「怒りを通り越すと、どうでもよくなるのかも知れないな」


奪ってしまった命も奪われた命も、もう戻っては来ない。


「全ての元凶はあの暗君です。私利私欲で私たちを動かし、人を殺させ、仲間も失った。彼奴のせいですよ!」


「クロヴィス、落ち着け。…それでお前はどうする?」


「それは私が貴方に聞いたことです。これからどうするのですか?」


「俺は…」


いろいろ考えてはみたが結局、答えは出ていなかった。だが今の伝令を聞いて心は決まった。


「俺はこのまま騎士をぬけて、アイツとどこか別の国で暮らす」


それもこれも少女の意思を確認しなければいけないが、ここにいればきっと殺される。公都にいても恐らく捕まってしまうだろう。


であればどこかもっと遠くへ逃げる必要がある。もうこんな国に忠誠などない。国の為にと思っていたことはただの人殺しだった。何の意味もない殺戮だったのだ。


国なんかより、目の前にいる少女を俺は守りたい。


「では私も貴方についていきます。こんな国の騎士はもうごめんです。部下には申し訳ないですが、私はここで死んだことにしてもらいます」


「おい、クロヴィス。本気か?」


「本気ですよ。貴方が彼女を置いてここを去ろうものなら、私は貴方を殺してでも連れ戻すところでした」


部下たちが山を下る準備を終え、集まってきた。


「聞いてくれ!俺は騎士を抜け、この魔女を連れて逃げることにした。今から俺は反逆者だ。お前たちが俺に剣を向けようと一向に構わない。ただ全力で抵抗させもらう」


部下たちの表情は変わらない。命令を待つ彼らの瞳は、いつも通りの決意に満ちた眼差しだ。


「アラン団長は生き残りの魔女と相打ち!これより副団長の俺が指揮をとる」


マルスは俺にウインクし、翠騎士団に号令をかける。


「早急に山を下り、騎士を脱退する者は相応の手続きを済ませ故郷に帰れ。それ以外の者は公都にてサキラス王国の侵攻に備える」


おいおいおい、それじゃあみんな辞める流れじゃないか。


「マルスそれはまずくないか?」


「マズイなんてことがあるか。マズイのはあの解毒薬だけで十分だぜ。国が先に俺たちを裏切ったんだ。国の為にかける命なんかもうねぇよ」


他の騎士たちもそうだそうだと言わんばかりに大きく頷いている。隣を見れば、どうやら碧騎士団も同じような流れになっているらしい。


「じゃ、アラン元気で。またな」


「おう、また会おう」


別れを告げるとマルスは隊を率いて、山を下りていく。碧騎士団もそれに続いた。


いつの間にか起きてきた少女も隊の後ろ姿を見つめている。


「…」


「お前も公都に行きたいか?お前がそうしたいってならそうするぞ」


「…」


「私たちもとりあえず別のルートから山を下りましょう。ここはまた戦場になります」


クロヴィスの言うとおりだ。早ければ5日後には東の兵はここに到達するだろう。


「ん?どうした?」


少女が祈るように胸の前で手で包み、山を下りていく騎士を見つめる。


「彼らの無事を祈ってくれてるのですか?貴方は本当にお人好しですね」

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