綺麗な女性になりました!
姿を現したのは2人。
メイド服を着た女性と、執事服を着た女性。
2人とも髪と瞳の色が緑色だけど、メイド服の女性が左目を、執事服の女性が右目を前髪で隠してる。
だけど美人さんだし、お胸も大きい。
……ちょっとうらやましい。
えっと、リエちゃん。
この2人って……
『あの子達は樹精霊、植物系の最上位精霊よ。
でも、まだ不完全な存在ね』
そうなの?
『ええ。
精霊は名を与えなければ意思を持つのにすごく時間がかかるの。
名前を持たない精霊は数百年~数千年の間彷徨い続けやがて意思が生まれるのよ。
だからサクラが名前を付けてあげて』
私がつけるの?
うーん、どうせなら異世界っぽい名前にしたいな。
よし、決めた。
メイド服の女性がウッディールで、執事服の女性がウッダオルテっていう名前はどう?
『サクラがいいと思ったならいいんじゃない?』
そっかー、それで普通に呼べばいいのかな?
『いいえ、違うわ。
名を与えたい相手の体に触れて名を告げると与えられのよ』
そうなんだ。
じゃあ、早速。
そうして二人の方に行って、左手をメイド服の子の、右手を執事服の子の頬に当てて、名前を告げる。
「今からあなたたちに名前をあげるね。
メイド服のあなたはウッディール、執事服のあなたはウッダオルテ」
名前を告げたときに私の中から温かいものが抜けていくような感じがした。
頬から手を放しながら意識してみると、周りの温かいものが二人の体の中に入っていって、何かの形を作っていってる。
何かはわからないけど、不思議と悪いものではないと思う。
『これは……予想外ね』
何かが創られていることが?
『えぇ。
普通なら意思が芽生え、名付け親と繋がりが生まれるだけですぐ目を開けるはずなのよ。
だけど今、二人の中で魂が創られているのよ』
それは悪いことなの?
『良いか悪いかで言ったら断然良いことよ。
人工的に生み出された精霊達は魂を持たずに生まれ、名付け親との繋がりこそが魂の代わりと言えるのよ。
精霊の性格は名付け親の理想が反映されて、名付け親が死ぬと、名もなき精霊として意思を失い、長い時を経て魂を持ち、自然に生まれた精霊として再び意思が芽生えるの。
その際の性格は、意思を失う前とは異なることも多いのよ』
えっと、要するにどんな性格になるかわからないってこと?
『そんな感じね。
でも、一番は人工的に生み出された精霊ではなくなるということよ』
何が違うの?
『性格のこともあるけど、一番の違いは自由があるかね』
自由?
『人工的に生み出された精霊は繋がりが契約となって縛られる。
だけど自然に生まれた精霊は繋がりを持つことは出来るけど契約にはならないから縛られることはないのよ』
そうなんだ。
じゃあ、あの子たちが何をするかはあの子たちが決めるってことかー。
『そういうことよ』
そうやってリエちゃんと話してると温かいものが二人の中に入っていく量が段々と減っていって、ついには入っていかなくなった。
『もうそろそろ目覚めそうね』
楽しみだなぁ、どんな子たちなのか。
少しして魂の形が定まって二人が目を開く。
深い緑色の瞳で周囲を見回しこっちに近づいてきて片膝をついて跪く。
え!?
なんで跪くの!?