切り株が変化します!
リエside
サクラが魔力を知覚し、操れるようになるのは予想していたし、その魔力が二種類なのも何となく分かっていた。
だけど、二種類どころじゃなくて五種類なのは予想していなかった。
通常、魔力は一人一種類。
だけどサクラの中には私が居るから合わせて二種類。
私以外にだれか中にいるわけでもない。
だとするならサクラは何かから力、加護を受けているとゆうこと。
加護を与えられるのは、神かそれに近しい力を持っている存在のみ。
そして加護は、お気に入りの存在につけるマーキングの様なもの。
あちら側からしたら私はそのお気に入りの存在を奪っていった存在。
無意識だろうけど加護の力を使ってしまった以上、どこにいるのかは気づかれているはず。
最悪の場合、世界同士の戦争になりかねない。
我ながらとんでもないことをしてしまったようね。
でも、所々に違和感があったのも事実。
とくに創造神の力を私が手伝うこともなく使いこなしていることは普通だったら有り得ない。
神の力を人間が扱うことは不可能だから。
それができている時点で神との関係を予想すべきだった。
はあ、色々と考えることが多いわね。
桜side
これが魔力?
『そうよ』
温かいもの、魔力を注がれた切り株は特に変化はないけど、もう注いでないはずなのに周りから魔力を吸い取ってる。
これは成功してるの?
『えぇ、してるわよ。
このまま集めた魔力を吸収し続けていれば、そのうち変化が訪れるわ。
すぐには起こらないから気長に待ちましょう』
わかった。
そうして切り株に背を向けた瞬間、変化が訪れた。
『これは……』
どうしたの?
『切り株に変化が起きているわ』
え!?
そうして振り返ると、一部の切り株がより一層魔力を吸い取り始めて、その魔力に包まれ大きくなっていってる。
『まさかこんなにも早く変化が訪れるとは……。
予想出来ていなかったわ』
普通はこんなに早くないの?
『えぇ、そうよ。
通常は早くても数日、遅くて数百年はかかるのよ。
変化までの日数は、与える魔力量と変化させる種類によって変化するの。
今回は特に時間がかかる種類で、サクラが与えた魔力量でも一週間はかかると予想していたけど、あの様子だとあと数分で終わりそうね』
そうなんだ。
でも、なんでそんなに早くなったんだろ?
『それはある程度予想出来ているわ』
そうなの?
『えぇ。
でも、この話はいったんお仕舞い。
終わりそうよ』
そう聞いて切り株を見てみると、2つ包んでいた魔力が人の形になっていって徐々に晴れていき、鈴の音と共にその姿を現した。