わらちゃんの加護の力と増えたウッディール?
しばらくの間わらちゃんの頭を撫でながら、今の話を簡単に整理する。
てらちゃん達がこっちの世界に来たのは、急に居なくなった私を探しに来たから。
だけど、無意識にわらちゃんの力を使ったって……いつ使ったんだろう。
「ねえ、わらちゃん。
さっきわらちゃんの力を使ったって言ってたけど、いつ使ったかわかる?」
「……じかんはわからない。
だけど、つかったのはわかる。
わたしのちからつかうと、すずのおときこえる」
鈴の音……もしかして、ウッディール達が生まれた時かな?
「わたしのあげたちからは、じぶんにとっていいことがおこる」
あ、もしかして、あの時リエちゃんが心当たりがあるって言ってたのってわらちゃんの力?
『まあ、そうね。
何かしらの力は働いていると思っていたわ』
そうなんだ。
「あら、加護について話しちゃったの?」
「……うん」
「もしかしてダメだったの?」
「いいえ、そんなことはないわ。
ただ、私達が与えたものについても教えた方がいいかと思っただけよ」
「てらちゃん達も何かくれてたの?」
「ええ、だけどこの話はまたあとでね。
今は、彼女の相手をしてあげて」
てらちゃんの言葉に疑問を感じていると、よみちゃんの後ろの方に、ウッディールがこっちに歩いてきているのが見えた。
ウッディールは、てらちゃんたちを気にせず私のところに来て。
「サクラ様、朝食の準備が出来ましたので呼びにまいりました」
「ありがとう。
てらちゃん達はどうする?」
「そうね~、私達はそこの子とお話したいから、桜は先に行っててもらえる?」
「え?うん、わかった。
あ、ウッディールのこといじめないでね?」
「分かっているわよ」
その言葉を聞いた後、四人を置いて屋敷に戻っていく。
屋敷の中に入るといい匂いが漂ってくる。
その匂いを追ってキッチンに入ると、ウッディールが料理を作っていた。
あれ?ウッディールってさっき呼びに来てまだ畑の方に居なかったっけ?
その私の心の声が聞こえたのか、ウッディールは鍋を中身をかき混ぜながら振り向いた。
「あ、サクラ様、おはようございます」
「あ、うん、おはよう。
ウッディールって瞬間移動って出来るの?」
「瞬間移動ですか?
そうですね……出来なくもないですが今は難しいですね。
しかし、何故そのようなことを?」
そう言いながらウッディールは再び鍋に向き合う。
「さっき私を呼びに来て向こうに残ったのに、キッチンにいたから気になって」
私のその言葉にウッディールは動きを止めて振り向く。
「少しお待ちを、本当に私でしたか?」
「え?うん、ウッディールだったけど」
「……私はずっと調理場で朝食を作っていたので、先ほど今日初めてサクラ様にお会いしました。
ですので、サクラ様をお呼びしたウッディールは私ではありません」
「え!?じゃあ、朝起きたときに扉の前に居て挨拶してくれたウッディールも!?」
「はい、それも私ではありません」
じゃあ私が会ったウッディールは誰?
リエちゃんは分かる?
『一人目は分からないけれど、今目の前にいるウッディールと、さっきサクラを呼びに来たウッディールは見た目も、魔力も、気配も、繋がりさえも同じもの。
違いなんて無かったわ。
だからこそ、かなり絞れるわ。
それほど完璧に他者を模倣できる存在なんてそう相違ないもの』
確かに!
でも、私の知ってる人にはいないかな~。
『私も仮面の愚者しか思い浮かばないわね』
仮面の愚者って?
『ああ、サクラは知らなかったわね。
仮面の愚者と言うのはね────』
そうリエちゃんが話そうとしたとき、外から大きな衝撃音が聞こえてきた。
何!?今の音!?
畑の方からじゃなかったからてらちゃん達じゃないと思うけど……だとしたらウッダオルテ?
とりあえず気になる。
そう思い、キッチンから出ようとしたらウッディールに止められる。
「お待ちくださいサクラ様、御一人では危険かもしれませんので私も行きます」
別に私一人でも大丈夫だと思うけど……。
『彼女も貴女が心配だから言っているのよ』
それは分かってるよ。
ウッディールが火を消し包丁をしまって私のほうに歩いてくる。
そして、ウッディールと一緒に早足で玄関に向かい開けると、右腕を巨大な木の腕に変えたウッダオルテと空中に浮いて頭に葉っぱを乗せたウッディールがピリピリとした空気の中で向き合っていた。




