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なんでここに居るの?

 朝、部屋の窓から差し込む日差しが私の顔を照らし、目を覚める。

 まだ眠くて重い瞼を少しこすりながら起き上がり、腕を上げて体を伸ばす。


「ん~、よし」


 そうした後、顔を洗いに外に出るために、布団から出て部屋の扉を開ける。


「おはようございます」


「あ、うん、おはよう」


 びっくりした。

 扉を開けたら、目の前にウッディールが居たんだから。

 しかも、開けた瞬間に挨拶してきたし。

 でも、ウッディールだけなんだ。

 扉の前にいたのは何かあったからなのかな?


「どうしたの?扉の前に居て。

 何かあった?」


「いえ、特に何もありません。

 ただ、私がウッダオルテよりも先にご挨拶をしたかっただけです」


 少し恥ずかしそうに答えてくれた。


「そっか。

 でも、扉の前に居るのはやめてね?

 びっくりするから」


「かしこまりました」


 と、頭を下げてから二階に向かっていった。

 それを見送った後、玄関の扉を開けて畑に向かった。

 そこで顔を洗うために水魔法を想像し、名前を呟く。


「”水玉(アクア)”」


 すると、光の粒子が魔法陣の形になり、消える。

 そして、サッカーボールくらいの水球が現れた。

 ふよふよと浮いているそれに手を入れ水をすくい、顔を洗う。

 二、三回繰り返した後、濡れた顔を拭くためにタオルを想像する。

 光の粒子が集まってタオルの形となり、伸ばしている私の手の上にぽすっと落ちる。

 フワフワモコモコのタオルで顔を拭いていると、足音が聞こえた。

 顔をタオルから話して聞こえた方を向くと、ウッダオルテが桶を片手にこっちに来ていた。


 何で桶を持ってるんだろう?


「おはようございます、サクラ様」


「うん、おはよう。

 その桶どうしたの?」


「これは、そこにある水球をいただこうかと持ってきたものです」


「これを?いいけど……何に使うの?」


「これから生まれるであろう同胞たちに与えようかと」


「それなら後で私が行くよ?」


「いえいえ、それには及びません。

 同胞のことですから我々にお任せを」


「わかった、じゃあお願いね」


 そう言いながら水球を移動させ、今は両手で持っている桶の中に入れて操作をやめる。

 支えを失い、球の形を保てなくなった水球は、一気に崩れ、桶の半分くらいを満たす。

 そして、ウッダオルテは「ありがとうございます」と頭を下げてから去っていった。

 残った私は畑の方を向き魔法を唱える。


 ”妖精からの恵みの雨(フェアリー・レイン)


 すると、白い雲が畑の上に現れ、そこから、小粒の雨がやさしく降ってきた。

 妖精からの恵みの雨(フェアリー・レイン)は、植物の成長を促す効果がある。

 リエちゃんが言うには、そのおかげで大体一か月くらいで収穫できるまで育つらしい。


 そういえば、今日はまだリエちゃんの声を聴いてないな。


『ん?あら、おはようサクラ』


 あ、リエちゃんおはよう。


 これが噂をすればかな?


『ごめんなさいね?

 ちょっと私にしかできない仕事を終わらせに行ってたのよ』


 ううん、全然大丈夫だよ!

 リエちゃんもお仕事お疲れ様。


『ふふっ、ありがとう。

 でも、実はまだ仕事は終わってないのよね』


 そうなの?


『ええ、ちなみに貴女にも関係があることなの』


 私に?

 すごく気になる。

 仕事の内容を教えてもらうのって出来る?


『ええ、いいわよ。

 と、言っても悪い内容じゃないわ』


 それは良かった。

 もし私が知らず知らずのうちに何かやってたらリエちゃんに申し訳ないし。


『もし、そういうのがあったら真っ先に注意に行くから大丈夫よ』


 それはそれで申し訳ないけど……。

 じゃあ、私に関係することって?


『実はね、貴女にお客さんが来てるのよ』


 お客さん?どんな人なの?


『それはすぐにわかるわ』


 そういわれ、どんな人なのか考えていると、後ろから肩をつつかれ後ろに振り返る。


「ん?……わっ」


 すると、一瞬燃えているような真っ赤な髪が見えたが次の瞬間には、思いっきり強く、だけどやさしく抱きしめられた。


「久しぶりね、桜!」


「え、えーと」


 少し混乱していると、私を抱きしめている人の後ろにいた二人の女性が私を抱きしめている女性を引きはがし、怒っていた。

 そんな光景を見て私はさらに混乱していた。


 え、あの三人って……。

 いやいや、ありえない。

 だって、そんなはずは……。

 でも、私があの三人を見間違えたことなんてない。

 でも、だとしたら────


「────なんでここに居るの?」


 と、思わず心の中で考えていたことをつぶやいてしまうほどに。

 そのつぶやきが聞こえたのか、三人は口を閉じ、私のことを見つめてきた。

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