植物に愛されし御方 ウッディール視点
連日投稿だー!
祝十話!
私の名はウッディール、つい先ほどウッダオルテと共に生まれた存在。
私達は樹精霊という精霊の一種らしい。
生まれた際に世界から与えられた知識にそうあった。
私たちの名は目の前のハイエルフ……いや、本当にハイエルフか?
ハイエルフにしては神力を微かに持っている気もするが……それは今は関係ないだろう。
そのハイエルフに名を与えられたらしい。
ただ、名付けによる契約がない。
与えられた知識には、魂のない存在に名を与えると強制的に契約が結ばれるとあった。
しかし、結ばれていないということは魂があるということだが……これも今はどうでもいい。
今重要なのは、目の前にいるハイエルフの役に立ちたいという思い。
これは私だけではなくウッダオルテやこれから生まれようとしている樹精霊達、さらには周囲の植物達も思っているようだ。
特に植物達から私たちに嫉妬を感じる視線を向けてきているから間違いないだろう。
待つことしかできない植物達と違って私達は動けるのだから早めに動いた方がいい。
同じ事を考えていたであろうウッダオルテと同時に歩き出しハイエルフの前につき、片膝をついて跪く。
「え、えっと……」
目線を少し上げると困惑しているのが分かった。
何を話せばいいのか分からないといった様子だ。
いきなり跪かれたのだから無理もないだろう。
ならば私が一番気になることを聞こう。
「1つ、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「え、あ、うん、いいよ」
私の言葉に戸惑いながらも返してくれた。
少し周りからの視線に圧があるが気にしないでおこう。
「貴女様の御名前を教えて頂けますでしょうか?」
「……私は大森桜だよ」
私が質問した後、数秒の間を開けて答えてくれた。
何故数秒の間があったのかは分からないが御名前を知ることができた。
サクラ様……植物に愛されし御方、ああ、やはりこの想いは抑えきれない。
今すぐにでも忠誠を誓いたい、私の全てをもって役に立ちたい。
もう言ってしまおうか……そうしよう。
否定されたらどうしようか……いや、今はそんなことを考えるな。
否定や拒絶を恐れるな。
「サクラ様」
「なに?」
いざ言おうと思うと緊張する。
一度、深呼吸をして……よし。
「私、ウッディールは貴女様に以後永遠の忠誠を捧げます」
「え!?」
「ずるいぞウッディール!
サクラ様、このウッダオルテも永遠の忠誠を捧げます」
「え?え!?」
さっきよりも混乱しているようだ。
しかしウッダオルテめ、自分が先に言えばよかったのにずるいなどと……少しムカつくな。
そう思いウッダオルテを目線だけ向けて睨むとウッダオルテも同じように睨み返してくる。
「んんっ」
しばらく睨みあっているとサクラ様が咳ばらいをし、私たちは我に返り睨みあうのをやめサクラ様の方を見る。
我々の忠誠に対しての返事だろうか。
それか私達だけで睨みあっていて自分の存在が無視されたことに対する怒りか、
出来れば前者であってほしい。
そう思いながらサクラ様の言葉を待つ。
「えっと、二人……というか皆の忠誠はちゃんと受け取るね」
その言葉を聞いた私達はしばらく嬉しくて固まった。
忠誠を受け取る、つまり仕えることを許されたということ。
生まれたばかりだが、これが人生で一番嬉しい瞬間だろう。
いや、サクラ様のことで一番嬉しい瞬間は更新されていくだろうから一番は使わないでおこう。
それでも嬉しいものは嬉しい。
ふとサクラ様を見ると私達を見て微笑んでいた。
何かあったのかと思い恐る恐る聞いてみる。
「あの、何かありましたか?」
「何もないよ。
ただ、嬉しそうだな~って」
「そんなに分かりやすかったでしょうか」
「うん、だって顔がすごいにやけてるもん」
それを聞いて顔を触ると確かに口角が上がっていた。
「それに幸せオーラが見えてるし」
「幸せオーラですか?」
「わらちゃんから教えてもらったものなんだけど、生物が幸福を感じているときに見えるオーラなんだって」
「そうなのですか」
そのような単語は与えられた知識にはないし説明を聞いてもよくわからなかったが、サクラ様が楽しそうだから関係ない。
「それじゃあ、そろそろここの案内をしたいんだけどいいかな?」
「はい、かまいません」
「ウッダオルテもいい?」
「……はっ、はい!」
どうやらウッダオルテはサクラ様に声を掛けられるまで嬉しさで固まっていたようだ。
その気持ちは分からなくもない。
サクラ様はウッダオルテの返事を聞くと歩き出し私達はついていく。
そこから、屋敷の中や畑を案内され、最後に、「家があった方がいいよね」ということで私達樹精霊の家、いや寮のようなものを建ててくださった。
その後は、屋敷で料理をサクラ様から教わりながら作り、お風呂に入り、私とウッダオルテは寮に戻り、自身の部屋を整えて眠りについた。
そして、日はまだ出ていない真夜中、突如聞こえた鈴の音で目を覚ました。
鈴の音の出所を探るために窓の外を覗くと、サクラ様と禍々しくも神々しい三人が対面していた。




