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対峙②

 「___其処で、何をしているのですか。」

物音1つ立てず、風の囁きと共に、目の前に少女が現れた。此処は多重結界の中、其れに少女が立っている方向には森の中でも特に大きな魔族の町がある。魔族が多く住んでいる分魔獣も多く出現する、人間にとっては超危険地帯だ。其れなのに...

「失礼、わたくし共は王立騎士団第一部隊の者です。魔獣の民間人襲撃の報告が相次ぎ、討伐に参った次第です。」

自己紹介と目的を言って、其の場を去ろうとすると…

「此処の子たちは意味もなく人間なんて襲わないわよ?」

そう、少女が言った。初めは、何を言っているのか分からなかった。

 彼女が、

「おいで、───」人には聞こえない、人ならざる者たちの言葉。其れは、()()()()語感だった。

 彼女の言葉に反応し、影が大きな、其れこそ魔獣と同じ程の大きさだ。

 案の定、影からはトップクラスで危険な魔獣、ダークウルフが出てきた。黒毛に包まれた獣は、彼女の体に擦り寄りながら、此方には魔気を放って威嚇してきた。

 私が連れる隊員は、本来隊長クラスと一緒に居た方が良い新人だ。初めての魔獣討伐で、先程からビビり散らかしていた。恐らく、目の前の彼女を『魔族』だと、確信したのだろう。

 だが、私の後ろからは、草の踏む音は疎か、新人4人の浅く荒い呼吸音すら聞こえない。

 (ビビってるにしては静かだな…)違和感に視線を後ろへ回す。

 生い茂る雑草たちの上に、肉塊にくかいとなり、最早原形の分からない、彼ら()()()()()が落ちていた。

「ほら、私が命令したから───は彼らを食べたの。ね?御理解頂けたかしら」

 ━━此れ以上は危険だ━━ 直感的にそう感じ、私は転移魔法を発動した。

 彼女の雰囲気が、昔の友人に似ているのは、きっと気の所為なんだろう。


 転移先は団長のいる、魔族街から最も離れた地点に立てられた天幕だった。団長に、魔族が街から出てきている事、魔獣使い(テイマー)が「人間を襲わせていない」と言っている事、その他にも先の会話で起こったことを事細かに説明した。

「___という事は、今此の隊の総勢は11人と2人になったという訳だな。」

「うん、あの魔獣使いの言っていたことが本当なら、先に此方側が魔族狩り、又は魔獣狩りをしてることになるね。魔獣が主人も連れず群れ単体で動き出すなら、魔獣狩りで子供でも狩ってしまったのかもね。黒狼ブラックウルフの子供の毛皮は貴重な天然シルバー色だからね。」

「だな、1度近隣の村で狩猟者を探すか。」

「それが良いと思う。今の儘だと無意味に人が減る一方だし。」

私と団長の間で話が纏まったところで、隊長が帰ってきた。

「すまない、4匹見つけたが逃してしまった。」

隊長のグループに大きな傷も欠員も見受けられず安心した。

 団長との話を隊長にし、許可を得て通信用魔道具で天幕に全員招集した。

「魔獣の討伐依頼が来るとき、近隣の村の者が違法狩猟をした可能性が高い事が分かった。よって、現時点をもって討伐を中止し、違反者を探し、首都の警備局迄引っ張っていくこととする。もしも集団だった場合、又は銃などで反抗したり、逃亡を図った場合のみ対象への攻撃を許可する。」

「ただし、他の住民に被害が及ばぬ様細心の注意を払え。」

 私の言葉に、団長が付け足す。

 言ってて思ったが、反抗してこない限りは『任意同行』という事になる。ならば、魔道具ででも一度警備局へ、事件の可能性が高い事を報告し、『強制連行』の許可を貰った方が早い気がする。

 確認、取ってみるかぁ…

皆が作戦を練り、聞く中、私は足早に魔道具を取りに天幕を出た。

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