─ 作者: ︎ 暗晦の中で咲く白百合 溶け出す体は夜半の底へと幽し 叢雲に昇る泡沫は残滓の記憶に罅を刻む 〝脳排泄〟 現を喪った曼荼羅から生まれ出た異物 伽羅漂いし煙霧に朽ちる自我 静かに死にゆく花弁は時を静寂に食む 顔を覆う白黒の靄 孤独の惨禍に喜怒哀楽散ぎ 美醜を口に含み触れる名も無き傷跡 流した涙の数など既に忘れた 自他境界の狭間で響く胎動 茫然自失で齎される空虚に吐息混じらせ 夢寐の底へと揺蕩い堕ち沈み 光失った眼(まなこ)を開き応える 「私は此処にいる」