Wisdom Found
作品名「Wisdom Found」
これはフィクションであり、現実に有り得たかもしれない世界である。
時は2000年代電脳技術と工学技術が発達した世界。とある科学者2人によってその2つの技術が進歩した。人はスマホを持たず腕にリストバンドのような形をした機械で会話をしたり時間の確認をしている。車は鍵の代わりに持ち主の脳に埋め込められているナノチップでロックを解除出来る。そんな電脳技術と工学技術が発達した世界だ。人々いや世界はそれに『依存』している。
2002年01月10日14:25 アメリカ軍の戦艦から未確認の人工島が確認されたとCIAに報告が来た。
そこには『HEX』のデイビッド・A・ブルクの目撃情報あった。それと同時に大きな機械?兵器なモノが動いていたとの報告もあった。
先に『HEX』というのはこの世界で6人しか存在しない特殊部隊である。一般の兵士より秀でた能力があり、数々の作戦を成功に導いている特殊部隊だ。しかし、そんな彼らだったがその特殊部隊は今や解散している。原因は不明だが今は無き特殊部隊である。その後、彼らの情報は誰も知らないという。
そして今その『HEX』のデイビッド・A・ブルクが目撃された。何故こんな南太平洋に人工島を作り巨大な兵器?があり、消息不明のデイビッドがいるのか不思議しか浮かばなかった。
その時だった。巨大な兵器から大型のミサイルが発射された。発射された方角からすると狙いはアメリカ合衆国だと分かった。戦艦内は慌ただしく荒れ始めた。急ぎCIAに報告し、あの巨大な兵器を核兵器と認定した。
後日、アメリカ軍で優れた兵士を直ちに集めた。大人数では作戦が敵に勘づかれてしまうリスクがあるため、少人数での作戦が最適だと判断された。本作戦の目的はデイビッド・A・ブルクの拘束と核兵器の破壊である。そして作戦の指揮は聡明と噂の大佐が務める。大佐の指示のもとアメリカ軍で優れた兵士を選び抜き、特殊部隊を作った。部隊名「STG」。そしてこの作戦は単独潜入で行う事となった。その単独潜入する人物こそが本作の主人公ジャックだった。彼は『HEX』の中でも人間味があり、アメリカ軍と唯一友好関係を築いている。そんな『HEX』の人間がこの任務を承諾してくれた。この任務においても多大なる活躍を見せてくれるだろう。そしてこの任務においてウィリアム大佐だけでは難しいと判断しサポートを3人付けることにした。
「武器」の専門家。コードネームはウィーバー
「電脳と工学」の専門家。コードネームはエミュ
「医療」の専門家。コードネームはヘレン
この4人で本作戦のバックアップをする。
作戦での連絡手段は無線で行う。今の最新技術の道具では無線を傍受される可能性があるためアナログの無線で連絡をとることにした。着々と準備を進め、作戦の決行日は01月25日なった。
2002年01月25日9:45 作戦決行日
飛行機ではレーダーに探知される可能性があるため、潜水艦で近づくことにした。そこから魚雷型ポットを発射して島の沖まで送り出す。この寸法で島に潜り込む。
大佐「今回の任務はデイビッド・A・ブルクの身柄拘束と核兵器の破壊だ」
「CIAの情報だとデイビッドは今テスタ・コルポという名前で活動している」
「場所は南太平洋の人工島。その島は人工衛星から観測出来ない未知の島だ。海兵隊からの情報だとその人工島には自然の木々が生い茂っていたそうだ。我々が知らない間にそこは大分前からあったと推測される」
「いいか?ジャック。本作戦は全世界の命運がかかってると言っても過言ではない。」
ジャック「ああ、分かってる」
「しかし、まさかあのデイビッドが生きていたとはな…」
大佐「確か君は1度デイビッドとやり合っていたな」
「あの日からやつの消息は不明になっていた」
ジャック「何故今頃現れたんだ」
「3年前の『平和なき負の遺産』以来だ」
大佐「君にとっては因縁の相手だ」
「1度闘った相手だとしても油断はするなよ」
ジャック「ああ、分かってる」
「しかし、あの時の奴はどこか変だった…」
大佐「どうしてそんな事が分かる?」
隊員「目標地点に到着!」
「大佐!指示を!」
2人が話していると隊員から目標地点に到着したと報告が入った。
大佐「了解だ」
「よし、ジャック配置に着くんだ。これより作戦を開始するぞ」
大佐の合図で魚雷型ポットが発射する。計画通りに事が進み、しばらく時間が経過した。島の沖に着いた。浜辺に立ち目標の島に着いた報告の無線を取る。
人工島浜辺
ジャック「大佐。無事目標の島に辿り着いた」
大佐「OKだ」
「上手く行って良かったよ」
「そういえば、君のコードネームを言ってなかったな」
「本作戦の君のコードネームはヴィルガだ」
「由来は神話上の人物ギルガメッシュから取ってきた」
アッカド語でギルガメッシュはビルガメスと言うらしい。流石にギルガメッシュでは安直過ぎると思ったのかアッカド語に訳しこの「ヴィルガ」と言う名前になった。
ジャック「ギルガメッシュ…神殺し(ヴィルガ)か」
「仲間と共に神を退治した人物」
「なかなか悪くない」
悪くないと思ったジャック。
大佐「そうか、気に入ってくれて良かったよ」
「君が言うには『神に選ばれた異才達(HEX)』というのは、確か君を含め6人の天才が居たはずだ。今回のターゲットのデイビッドも同じだ」
「その6人のミドルネームにはそれぞれのアルファベットA~Fが入っている。それで順位を決めたんだっだな?」
「順位が高ければ高いほど神に最も近い存在として能力が認められる」
少し重たい声で大佐は言う。
ヴィルガ「ああ、その通りだ…」
大佐「そして彼のミドルネームはAだ」
ヴィルガ「・・・」
大佐「…そして君のミドルネームはFだ」
「こう言っちゃなんだがこの作戦はとても厳しい戦いになる。幾らヤツと君の戦闘技術が同じぐらいでも強敵には変わりない」
「それは君も自覚しているはずだ」
「それにデイビッドの下には『dono dal cielo』という精鋭部隊がいる」
ヴィルガ「ドゥノ...?なんだそれは?」
少し引っかかりヴィルガは大佐に質問した。
それもそうだ。明らかにアメリカの言語では無いと分かったためヴィルガは大佐に聞き返す。
大佐「dono dal cieloだ」
「イタリア語で天から授かった資という意味になるらしい」
ヴィルガ「まるで自分が神にでもなったかのような名前だな」
バカにしたようにヴィルガは呟いた。
大佐「…話を戻すと。そのために我々4人のサポートを付けたんだ」
「君は電脳や工学には詳しく無いだろ?」
「それにテスタ・コルポがいるんだ。もしかしたら最先端の武器を使ってくるかもしれない」
「そこでだ。ヴィルガ、君に彼らを紹介しよう」
不安を取り除くかのように大佐はヴィルガに救いの手が差し伸べた。
無線が変わる
ウィーバー「よう。俺は武器系統の専門家ウィーバーだ。よろしくな」
「あんたには説明しなくても良いと思うが。万が一何か分からない武器や道具があればいつでも無線をしてくれ。頑張れよ兄弟」
感じの良い男の声だ。こいつが居ると周りは笑顔になるような明るい奴だ。
無線が変わる
エミュ「ん"ん“。私は電脳技術・工学技術の専門家エミュよ。よろしくね」
「大佐からは聞いてるわ。電脳や見たことの無い機械があればいつでも聞いて。応援してる」
礼儀正しい女性の声だ。この人の声を聞くと少し背筋がピンと伸びてしまうような緊張感ある人だ。
無線が変わる
ヘレン「えっと、私は医療専門のヘレンよ」
「私はあなたの体に埋め込められてるナノチップで身体の状態や体調を管理してるわ。何か身体に異変が起きたら無線して」
「それとあと私が記録係を担当するわ。記録したい時があればいつでも無線してね。それじゃ頑張って!!」
少しおっとりとした優しい女性の声だ。この人と喋って居ると何だか落ち着いた気分になる。
無線が変わる
大佐「以上の3名だ。自分一人で頑張ろうとするなよ」
「私も君の進行のサポートをする。何をすればいいか分からなくなったら私に無線をしてくれ」
以上各3名の紹介が終わり最後に大佐の仕事内容を伝える。
ヴィルガ「ああ、分かった」
「それでは作戦を開始する」
少し不安を抱きつつも長年の経験を経ているヴィルガはその不安をかき消すように自信を取り戻し作戦に挑むのであった。
浜辺
森林部
無線をとる
ヴィルガ「大佐、武器を持った兵士がいる。どうする?」
今回は隠密任務なので敵対している兵士をどう処理するかを大佐に聞く。
大佐「そうだな...あまり目立ちたくは無いな。ここは隠密に済ませよう」
「武器はちゃんと装備してるか?」
大佐はそう言いヴィルガに装備をしているか確認をとる。
ヴィルガ「ああ、もちろんだ」
ヴィルガはそう言いながら左太ももにあるガンホルダーに手を当てる。
大佐「もし、やむを得ない時は使うといい」
少し隠密とはかけ離れるが大佐も少し沈んだ声で言う。
ヴィルガ「了解だ。しかし武器の扱いが分からない」
大佐「なんだと!?」
何を言うかと思って驚く大佐。
ヴィルガ「違う。初心に帰るのも良いと思ったんだ」
「教えてくれないか?」
大佐「あーなるほど。OKだ」
「では、武器専門のウィーバーに任せよう」
大佐も軍人で武器の知識はある。しかし、専門家を採用した意味が無いので武器専門のウィーバーに頼むことにした。
ヴィルガ「ああ、頼む」
ウィーバー「了解だ。大佐」
「あんたのその初心を忘れない気持ち最高にイカしてるぜ!これは銃達も喜んでるだろうな!!」
物凄く高いテンションでヴィルガを褒めるウィーバー。とてもうるさい。
ウィーバー「まず武器だが太もも、腰、背中のガンホルダーに取り付けてくれ。太もものはHG用だ。RVも入るぞ。腰のガンホルダーはARやSGが取り付けれる優れ物だ。そして背中のガンホルダーはLMGやSRなんかを装備できるぞ」
「次は携行品だ。携行品は左の4つのポーチに入れる事が出来る。しかし数には限りがあるんだ」
「これはゲームじゃないからな無限には入れられないんだ」
「次は武器の扱いについてだ。銃を構える時は少し前傾姿勢を取るんだ。前に重心を保てば銃の反動を抑えられるぞ」
「撃つ時だがトリガーを引く時は指の腹で引くのが基本だ。誤って指先や関節でトリガーを引くんじゃないぞ?」
「最後に、マガジン交換についてだ。腰のベルトに予備マガジンを装備しているよな。掌をマガジンボトムに押し付けマガジンをしっかり握る。そして人差し指をマガジンの前面に置くんだ。」
「これで良いか?」
武器の説明を終えたウィーバー最後にヴィルガにこれで良かったかと聞く。
ヴィルガ「ああ、助かった」
ウィーバー「そうか、そりゃ良かった」
「んじゃ頑張ってな!」
ヴィルガ「言われなくてもな」
「作戦に戻る」
森林
街前
ヴィルガ「!?」
ナニかを見て驚くヴィルガ。
無線をとる
ヴィルガ「大佐。こんな人工島に街があるぞ」
戸惑った様子で大佐に報告する。
大佐「おそらくテスタ・コルポが計画の一環で作ったのだろう」
ヴィルガ「なんで、また街を作ったんだ。それに民間人も居る」
大佐「んー、何らかの理由があるんだろう」
「そうだな。街に忍び込んでテスタ・コルポの情報を集めてみるとしよう。出来る限り目立つ行動は避けるんだ」
大佐にもテスタ・コルポの計画には意味不明と思っている。しかし、今はそんな事を考えている暇は無い。こちらはこちらの動きをする為、まずはその街でテスタ・コルポもといデイビッドの情報を集めることにした。
ヴィルガ「了解だ」
街前
街中
ヴィルガ(?なんだ?)
(白衣を来たヤツがいるな...)
(どうしてこんな所に?)
白衣の男「テスタ・コルポが来てから…」
ヴィルガ(!?)
(今テスタ・コルポと言ったか?!)
(後を追うべきか大佐と話し合うか)
思わぬ名前を聞いたヴィルガは急いで大佐に報告する。
無線をとる
ヴィルガ「大佐。怪しい白衣の男を見つけた」
「それにテスタ・コルポと呟いていた」
「もしかしたらテスタ・コルポの情報を知っているかもしれない」
大佐「ちょっと待った」
しかし、大佐はその報告をとめる。
ヴィルガ「どうしたんだ大佐?急に」
大佐「ヴィルガもしかしてそいつは…そうだ!シャハト博士じゃないか?」
大佐が反応する。
ヴィルガ「何故分かるんだ?」
何故この現場に居ないのにどうして分かるのか聞くヴィルガ。
大佐「ああ、それはだな」
「君のナノチップを介してこちらと情報を共有しているんだ」
「今君が見ている光景や聞いている音をリアルタイムでこちらも確認している」
「その場に居なくとも君の置かれている状況が分かるというわけだ」
今の技術は進歩していると言わんばかりに大佐は教えてくれた。早く教えて欲しい。
ヴィルガ「なるほど…」
「今の軍事技術は凄いんだな」
「ところで大佐。そのシャハト?博士と知り合いなのか?」
ヴィルガはあまりその手の話には興味がないため、大佐に知り合いかどうか聞く。
大佐「知り合いというわけではないがシャハト博士という男はこの時代を作った科学者の2人のうち1人だよ」
「ノーベル化学賞を受賞している」
ヴィルガ「それは凄いな」
「しかし、どうしてそんなヤツがここに居るんだ?」
確かにそうだ。どうしてそんな奴がテスタ・コルポがいる人工島に居るのか不思議に思うのも無理は無い。
大佐「分からない…がもしかしたらテスタ・コルポと関係しているかもしれない」
大佐にもそれは詳しくは知らないようだ。
だが、大佐はテスタ・コルポと何らかの関係あると考えた。何か思い当たる節があるのだろう。
ヴィルガ「どうしてそう思うんだ?」
どうしてそう思うか聞くヴィルガ。
大佐「実はシャハト博士は数ヶ月前から行方不明者として報じられていたんだ。突然姿を消したとか」
「おかしいと思わないか?テスタ・コルポが居る人工島にその行方不明者が居るというのは」
大佐はシャハト博士の失踪を知っていたからこそ来る確信だった。
ヴィルガ「確かに。何か関係しているかもな」
大佐「そうだろ?」
「だからヴィルガ。気付かれずにシャハト博士と接触してくれ」
ヴィルガ「了解だ」
街中
人気のない場所に出る。
シャハト博士「久しぶりの外の空気だぁ!!」
「けど、何で外出許可が出たんだろう?」
体を伸ばすシャハト博士。
ヴィルガ「おい、そこの白衣を着た男少し話をしないか?」
シャハト博士「!?これは!?」
「ってあれ?君のその格好…」
「もしかしてここの人じゃない?…か」
「良かったぁ」
感情豊かな人間だ。
ヴィルガ「すまないが…少し話をだな」
シャハト博士「あ、ああ。ごめんごめん」
「話ってなんだい?」
ヴィルガ「デイ…テスタ・コルポについて話がしたいんだが」
シャハト博士「テスタ・コルポだって!?」
「なんで君がテスタ・コルポを知っているんだい?!」
驚くシャハト博士。
ヴィルガ「さっき君がぶつぶつ呟いてるのが聞こえてな」
「まさか君の口からテスタ・コルポという名前が出てくるとは思わなかったよ」
「それで君の後をついてきたって訳だ」
シャハト博士「なる…ほど」
鳩が豆鉄砲を食らったかのように唖然としている。
ヴィルガ「率直に言うが」
「俺はテスタ・コルポの計画を阻止しに来た」
シャハト博士「え?君1人だけでかい?」
ヴィルガ「そうだが?」
「何か問題があるのか?」
シャハト博士「問題大アリだよ!軍で調べたかもしれないけどテスタ・コルポという男は『HEX(呪い持ち)』だ。しかもミドルネームにAが入ってる」
「そんな化け物を君一人で止められるはずが無いよ…」
次第に声が小さくなるシャハト。
ヴィルガ「アンタ『HEX(呪い持ち)』に詳しいんだな」
シャハト博士「まあね…」
「・・・?君もしかして?いや、でも…」
ヴィルガ「どうしたんだ?」
シャハト博士「思い出した!ジャック・F・エバースだ!?」
大きい声で名前を言うシャハト博士。
ヴィルガ「!?何故俺の名前を!?」[銃向ける]
シャハト博士「し、調べたんだ『神に選ばれた異才達(HEX)』を。あとその瞳テスタ・コルポと同じだ。でも君のミドルネームはFだろ…。ん?待てよ?ひょっとしたら…」
ヴィルガ「なんだ?」
シャハト博士「もしかしたら止めれるかもしれない…」[小声]
ヴィルガ「急にどうしたんだ?」
何を言ってるか聞き取れず聞くヴィルガ。
シャハト博士「ごめんごめん」
「ねえ、君と連絡を取りたいんだけど良いかな?」
「君と僕の目的は同じなんだ。だから協力したいと思ってね」
ヴィルガ「ちょっと待て。まずは大佐に報告させてくれ」
「良いよ」
無線を取る
ヴィルガ「大佐。無事シャハト博士と接触した」
大佐「OKだ。こちらからも確認出来ている」
ヴィルガ「そうか、なら話が早いな」
「大佐。このシャハト博士と連絡を取っても良いと思うか?」
大佐「そうだな…」
「もしかしたらテスタ・コルポの居場所を知っているかもしれない。核兵器の場所もな」
「・・・」
「ヴィルガ。シャハト博士と連絡を取った方が色々と都合が良いかもしれん。こちらにもメリットがあるように交渉しよう」
大佐は悩んだ末ヴィルガにこちらが有利になるよう交渉しろと頼んだ。
ヴィルガ「ああ、了解だ」
無線を切る
ヴィルガ「シャハトと言ったな?」
シャハト博士「そうだけど…どうだった?」
少し不安げなシャハト博士。
ヴィルガ「アンタと連絡をとろうと思ってな」
シャハト博士「ほんとかい!?じゃあさっそくーー」
こんな見ず知らずの人を受け入れてくれて驚いているシャハト。しかし、そこでヴィルガが口を挟む。
「ただし!」
シャハト博士「!?ただし?」
2度驚くシャハト。
ヴィルガ「こちらにも情報を共有して貰うぞ。俺はこの地図にも載っていない人工島を詳しく知らないんだ」
「そこでだ。俺はテスタ・コルポの計画を止める。アンタは俺にこの島の情報を教える。人や街についてもだ」
「その条件の上で連絡を取ろう」
シャハト博士「なんだ…そんな事かぁ」
「全然良いよ。むしろこっちが協力したいくらいだ!」
「この島の…『ディアンシ』の情報を全て教えるよ!」
「この世界の命運が掛かってるんだからね!」
「あと、姉さんの為にも…」[小声]
ヴィルガ「?…OKだ。じゃあ交渉成立だな」
「俺の名前(コードネー厶)なんだが」
「ヴィルガって呼んでくれ」
無事交渉が成功したことで本作戦での自分のコードネームを教える。
シャハト博士「?…あー!OKだよ!ヴィルガ」
「改めて、僕の名前はシャハト。シャハト・ローレンスだ。スウィット(甘美)って呼んで」
最初は疑問が浮かんだが、場合が場合だったため状況をすぐ飲み込んだシャハト。自分もその一員だと思ったのかシャハトのあだ名「スウィット」という名前で呼んで欲しいと答えた。
ヴィルガ「ああ、よろしくな。スウィット」
「早速だが。テスタ・コルポの居場所を知りたい」
スウィット「いいよ。テスタ・コルポはこの島の中心部に居るんだ」
「あそこに大きい建物が見えるだろ?」
「そこで実験や核兵器の調整をしているんだ」
交渉通りテスタ・コルポの情報を伝える。そして連絡手段を取る
「っと。そういえば連絡を取るんだったね」
「少し待ってね」
シャハトはそう言いながら手元でナニか動かしている。傍から見たらまるでパントマイムをしているような事をしている。
「よしこれで良いね」
「今から君のチップに送るね」
ヴィルガの頭の方にそのナニかをそっと押すような素振りをした。
その瞬間ヴィルガの視界の中にシャハトのコード?の様なものが見えた。
ヴィルガ「これはなんだ?!」
「何をしたんだ!?」
スウィット「あーこれは僕と姉さんで作った連絡ツールみたいなものさ。他にも色んな機能はあるんだけど」
「その名もインディグレ・リーバー」
「意味は現実世界と電脳世界の統合だよ」
「とりあえず、これを使って送っているんだ」
するとスウィットの手元からホログラム?のような物が出てきた。
ヴィルガ「・・・」
何が何だが全く理解出来ないヴィルガ。
スウィット「最初はこんなモノは見えないよ」
「これは僕達姉弟しか管理してないからね」
「認めた人にしか渡していないんだ」
ヴィルガ「な、なるほど…」
「しかし、これでどう連絡とるんだ?」
スウィット「百聞は一見にしかずって言うからね」
「試し心の中でスウィットに無線って思ってご覧?」
ヴィル「あ、ああ」
(スウィットに無線)
(これで上手く無線出来るのか?)
スウィット(それが出来てしまうんだよ。ヴィルガ君)
ヴィルガ(!?)
スウィット(そう念じれば連絡が出来るんだ。言わばテレパシーみたいなものだね。外部にも聞かれる心配もないしね)
「こうやって会話しながらでも」(繋がったままなんだ)
(あとこれは、君の無線の人達にも使えるよ)
(ゲームみたいなご都合は一切ないよ)
(これは君のチップ以外にも無線にも干渉出来るんだ。機械で出来た物だったら全てに適用されるんだ)
(けど、ジャミング機能が搭載されている物には使えないんだ)
(最後にこのインディグレ・リーバーは僕達姉弟にしか他者に共有することは出来ないよ)
(無闇に渡されたら困るからね)
(無線を切りたい時は終わりたい切りたいで念じれば切れるよ)
ヴィルガ「これは凄いな…」
スウィット「ふふ、もっと褒めてくれてもいいんだよ!」
「これは僕が発明したのさ!!姉さんにはこのIRの調整をしてもらってこれが完成したんだ!」
「凄いでしょ!!」
ヴィルガ「あ、ああ凄いな。よく出来てる」
「しかし、あれだな君は大分キャラが変わるんだな」
スウィット「ああ、ごめんごめん。取り乱しちゃったね」
ヴィルガ「・・・」
「そういえば、君はこれからどうするんだ?」
スウィット「そうだね、僕は一旦基地に戻るよ」
「報告したい人が居るんだ」
ヴィルガ「!誰だそいつは?」
スウィット「違うよ!僕の姉さんに報告したいんだ」
「「ようやくここから抜け出せるよ」って」
ヴィルガ「そうか」
スウィット「ヴィルガ…その…いいかな?」
ヴィルガ「どうした?」
スウィット「・・・」
「姉さんを助けて欲しいんだ」
ヴィルガ「捕まってるのか?」
スウィット「ううん、捕まってるというか隔離されているんだ。逃げられないように」
「そこで姉さんは日々研究や実験をさせられている」
「いいかな?ヴィルガ」
ヴィルガ「…仕方ない。その依頼も込みでやろう」
「だがスウィット。その分の働きをしてくれるんだったらな」
スウィット「!?ありがとう!ヴィルガ!」
「僕頑張るよ!!」
「それじゃ、早速」
「テスタ・コルポのデータを送っておくよ。そこに姉さんも居るはずだ」
ヴィルガ「ああ、助かる」
スウィット「頑張ってね!ヴィルガ」
「僕全力でサポートするよ!」
ヴィルガ「OKだ」
「それでは作戦を再開する」
人気のない場所
街の北門にて
ヴィルガ(なんだ?1人だけ今までの兵士とは違うな)
(?…もしやあれが大佐が言っていた『dono dal cielo』か?)
(大佐に聞いてみるか)
無線をとる
ヴィルガ「大佐。あれがテスタ・コルポ率いる『dono dal cielo』か?」
大佐「ああ、そうだ」
「あの男の名はポルソ・オッキオ」
「どうやらテスタ・コルポの右腕らしい」
ヴィルガ「なに?アイツの右腕だと!?」
大佐「そうだ。ここは戦闘を避けた方がいい」
「他のルートもあるはずだ。スウィットから貰ったデータを元に進行してくれ」
ヴィルガ「ああ、分かった」
(アイツの右腕だと…)
街の北門
・
・
・
ディアンシ森林部
ヴィルガ「!?」
「誰だ!!」[大声]
ポルソ「俺か?俺はポルソ・オッキオだ!」[大声]
「なにやら妙な気配がしてな!」[大声]
「姿を現せ!」[大声]
ヴィルガ(まずいな)
(ここで姿を現したら戦闘は避けられない)
(大人しく退くべきか?)
大佐「その男はポルソ・オッキオ」[思い出す]
「どうやらテスタ・コルポの右腕らしい」[思い出す]
ヴィルガ(あいつ(デイビッド)の右腕か...気になるな)
(少し試して見るか)
姿を現す
ヴィルガ「悪いな!少し道に迷ってしまってな!」[大声]
「家に帰ーー」
バアァンッ[銃声]
ポルソ「ハハッ!こんな所に遭難者が居ると思うか?」
[大声]
「とんだマヌケな遭難者だ!」[大声]
「お前は門をくぐる際にIDを提示したか?」[大声]
「お前のようなマヌケな男のIDは確認されていない!」[大声]
「よってお前を射殺する!」[大声]
ポルソ・オッキオ戦 開始
・
・
・
ポルソ・オッキオ戦 終了
ポルソ「なかなかやるじゃないか?」
「軍の者か?」
ヴィルガ「さあな!」
バァンッ![銃声]
ポルソ「ぐはッ!…」
「ぐっ…。?…よく見たらお前」
「『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』じゃないか」
ヴィルガ「流石はテスタ・コルポ(デイビッド)の右腕だ」
「よく知っているな」
バァンッ![銃声]
ポルソ「おっと!?」[避ける]
「流石に『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』といえど侮れないな」
「まあいい。私にはまだ"やるべきこと"があるからな」
「ここは大人しく退くとしよう」
「じゃあな。ジャック・F・エバース!」
「レヒトラオート!!」[さよなら意]
ヴィルガ(?…ヘブライ語?)
(イスラエルの人種か?)
(いや、まずは大佐に報告するべきだ)
無線をとる
ヴィルガ「大佐。ポルソ・オッキオと接触してしまった」
大佐「ヴィルガ……まあ仕方ない」
「我々の存在がバレた以上、敵は警戒態勢に入るだろう」
「この任務だが…極めて困難を要する事になる」
「くれぐれも見つからないように行動してくれ」
ヴィルガ「すまない…了解した」
ディアンシ森林
基地前
ヴィルガ「!?」
(デイビット!!)
(?周りにいるのは…)
(ポルソ・オッキオと…誰だ?他に3人)
(あいつらも『dono dal cielo』なのか?)
(スウィットに聞いてみるか)
無線をとる
ヴィルガ「スウィット聞こえるか?」
スウィット「聞こえるよ。どうしたんだい?ヴィルガ」
ヴィルガ「聞きたいことがあるんだが」
「『dono dal cielo』っていうのは何人所属しているんだ?」
スウィット「『dono dal cielo』は全員で4人居る」
「早撃ちのガンマン。テスタ・コルポの右腕にして天資のリーダー。ポルソ・オッキオ」
「数々の地下格闘技で無敗を誇ったチャンピオン。マノ・ガンバ」
「世界一と噂されている謎多きハッカー。ナゾ・リングア」
「今回の核兵器実験の指揮担当をしている天才工学者。ディート・スパッラ」
「この4人が『dono dal cielo』だよ」
ヴィルガ「かなり厄介そうだな」
「すまない。助かった」
スウィット「大丈夫だよ。ヴィルガの方こそ大丈夫かい?」
ヴィルガ「ああ、大丈夫だ」
「気にするな」
スウィット「そっか」
「でも、あまり『dono dal cielo』を見くびらない方が良いよ」
ヴィルガ「もちろんだ。デイビッド(HEX)と同じ気迫が体中にひしひしと伝わってくるのを感じる」
「やつら一体何者なんだ?」
スウィット「ごめん。僕もあまり詳しく無くて」
「テスタ・コルポの側近部隊という事だけは間違いないよ」
「なにか人より卓越した能力があるかもしれない」
「充分気をつけてね!」
ヴィルガ「ああ」
基地前
基地潜入
大佐から無線がなる
大佐「無事潜入出来たようだな」
ヴィルガ「ああ、しかし潜入出来たのは良いんだが何処に行けばテスタ・コルポに会えるんだ」
大佐「そうだな。シャハト博士にテスタ・コルポの居場所データを新しくして貰おう」
「スウィットに無線を繋げてくれ」
スウィットに無線
スウィット「どうしたんだい?ヴィルガ」
ヴィルガ「無事テスタ・コルポの基地に着いたんだが」
「テスタ・コルポの居場所データを更新してくれないか?」
スウィット「あー!良いよ!」
「今からテスタ・コルポのデータを更新しておくね」
ヴィルガ「助かる」
[データ更新]
スウィット「テスタ・コルポの居場所なんだけど」
「普段テスタ・コルポは自室にいるんだ。その部屋に入るには特別なカードキーが必要でね」
「でも、そのカードキー。実はスペアがあって」
「そのスペアを持っているのがポルソ・オッキオなんだ」
「まずはポルソ・オッキオからスペアを奪い取る事が最優先だよ!」
「多分だけどポルソ・オッキオは実験ルームに居るはずだ」
「君の存在がバレた以上、核兵器を見張っているんだと思う」
ヴィルガ「そうか、分かった」
スウィット「実験ルームは東棟の倉庫だよ」
ヴィルガ「すまない。助かる」
無線を切る
ヴィルガ「・・・」[身構える]
「これよりテスタ・コルポの暗殺。核兵器の破壊。シャハト博士の姉救出を始める」
基地中
基地中
ヴィルガ「ここに来て行き止まりか」
「仕方ない。引き返すか」
行き止まりが続き引き返そうとする。
無線がなる
スウィット「待ってヴィルガ!」
ヴィルガ「なんだスウィット?」
「そんな慌てて」
スウィット「今ヴィルガが居る場所にはホログラムがあるんだ」
ヴィルガ「ホログラム?」
「なんだ?何かまずいのか?」
スウィット「非常にまずいよ!」
「ここのホログラムには偽の壁や偽の通路。そして本来居ないはずの兵士が居るんだ」
ヴィルガ「!?」
「なんでそんなのがあるんだ?」
スウィット「多分ナゾ・リングアの仕業だと思う」
「ここでヴィルガを足止めさせる為にね」
ヴィルガ「なに!?」
「俺は一刻も早くあいつ(テスタ・コルポ)の所にーー」
スウィット「落ち着いてヴィルガ」
「僕が渡したIRを起動するんだ」
ヴィルガ「あ、ああ」
ブォン[効果音]
視界が少し青くなる
ヴィルガ「な、何だこれは!?」
「壁が…壁が無くなったぞ!?」
目の前の壁が一瞬にして無くなった。
スウィット「これはねヴィルガの視覚に干渉して本当の通路を映しているんだ」
ヴィルガ「なるほど」
「これで本当の道を辿っていけば良いんだな」
スウィット「うん」
「でも、長くは使ってはいられないよ」
「脳に影響があるんだ」
「休み休み使うといいよ」
ヴィルガ「あ、ああ…分かった」
スウィット「あと、ホログラムで投影されている兵士には気をつけて」
「僕の方でも兵士のデータは掴めなくて」
「だから、音を鳴らして判断するといいよ」
「ごめんね。ヴィルガ」
ヴィルガ「大丈夫だ。充分助かってるさ」
スウィット「ほんとかい?ありがとう」
「それじゃ頑張ってね」
ヴィルガ「ああ」
無線を切る
基地中
・
・
・
広いルーム
ヴィルガ(やけに広い空間だな…)
(何も無い…)
ナゾ「お前か…ポルソ・オッキオが言っていた男は」
「よくここまで辿り着いたな」
ヴィルガ「誰だ?!」[構える]
ナゾ「俺はナゾ・リングア」
「テスタ・コルポ様の情報を司る者だ」
ヴィルガ「天から授かった資とは聞いていたがまさか天の使いのほうだったとはな」
「馬鹿馬鹿しい」
ナゾ「ふっ笑いたければ笑え!しかし…」
「我々は"dono dal cielo(天から授かった資)"だ!!」
「あんなファンシーな奴らとは違う!」
ヴィルガ「さあどうだろうな」
「所詮お前たちは天の使いには変わりないだろ?」
ナゾ「ふん、いいだろう」
「お前はこの世界(空間)の真実には辿り着けないのだからな!!」
ヴィルガ「!?」[銃を構える]
ナゾ・リングア戦 開始
・
・
・
ナゾ・リングア戦 第2
ナゾ「ぐぁっ!」
「流石は…テスタ・コルポ様と同じ『新たなる天地創造計画』の人間だ…」
ドクンッ![心臓音]
ナゾ「っと…少し本領を発揮するかな」
ヴィルガ「?まだ何か隠しているのか」
ドクンッ![心臓音]
ナゾ?「ふふ…少々あなたをナメてましたよ」
ヴィルガ(?…雰囲気が変わった?)
ナゾ?「改めてご挨拶を」
「私の名前はオブザレヴ・フィクス」
「幻術師を生業としています」
「おや?少し戸惑っているようですね」
「ナゾ・リングアとは仮の名前であり仮の姿です」
「私オブザレヴは、これからあなたに「天国と地獄(天地)」をお見せする者です」
オブザレヴ(ナゾ・リングア)戦 開始
・
・
・
オブザレヴ(ナゾ・リングア)戦 終了
オブザレヴ「ぐぁぁぁッ!!」
ヴィルガ「ホロ…グラムといい幻術といい…厄介なやつだった…」
「…?なん…だ?視界…が…」グラッ
「く…そっ…」バタンッ
オブザレヴ「ようやく眠りにつきましたか」
「『HEX(呪い持ち)』と言うのはーー全くーー」
とある収容所
ヴィルガ「!?」
「ここは…」
「確か…俺はオブザレヴを倒して…」
無線がなる
ヘレン「大丈夫?!ヴィルガ!」
ヴィルガ(ああ、なんとかな)
(少し頭が痛むだけだ…)
ヘレン「今あなたの状態を見てるけど、とても酷い状態だわ…」
「身体には問題ないんだけれど精神への負荷が凄いの」
ヴィルガ(大丈夫だ。それぐらいなんとでもなる)
ヘレン「ヴィルガ!あなたのためを思って言っているの!!」
「なるべくあのIRを使うのはやめなさい」
「いいわね?」
ヴィルガ「わかった…」
ヘレン「素直でよろしい」
無線が切れる
扉が開く音がした。ヴィルガは音の方に顔を向けた。すると目の前に今回のターゲットが現れた。
???「ようやく目が覚めたか『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』よ」
ヴィルガ「!?その声は!」
「デイビッド!!」
デイビッド「ハッハッハッハッハッ!!」
「久しぶりだなジャック。3年ぶりの再会だなぁ...」
「元気にしてたか?」
ヴィルガ「・・・」[睨む]
デイビッド「今はそんなことどうでもいいか」
「俺が聞きたいのは……」
「どうやってここの場所がわかった?」
「誰の命令でここへ来たんだ?」
「国か?それともーー」
ヴィルガ「!?」
「あの人は関係ない!!」
デイビッド「そうかそうか」
「じゃあ…目的はなんだ?何しにここへ来た?」
「俺の暗殺か?もしくは核兵器の破壊か?」
ヴィルガ「・・・」
デイビッド「正解は…そのどちらも…だろ?」
ヴィルガ「・・・!」
デイビッド「ふん…そこで大人しくしているといい」
「もうじきあれが完成するんだ」
「我々人類の『始祖の知恵(Wisdom Found)』…ウィスダムファウンドがな!」
ヴィルガ「ウィスダム…ファウンド?」
デイビッド「ああ、今開発している核兵器さ」
ヴィルガ「なにっ!?」
デイビッド「ジャック?お前は大人しくウィスダムファウンドの審判が下るのを待てばいいんだよ」
ヴィルガ「…っ!黙れっ!」
「大体お前は神にでもなったつもりか!!」
デイビッド「"神にでも"?違うな」
「私こそが神なんだよ。ジャック」
「知ってるだろ?俺のミドルネームを?」
「俺のミドルネームはAだ」
「「神に最も近い存在」なんだ」
「分かるか?その意味が」
煽り立てように言うデイビッド。
ヴィルガ「・・・」[睨む]
デイビッド「私は気づいたんだ」
「今の世界は古臭く(old)全く刺激的ではない事に。退屈だったんだ…」
「なら私が…私が『未来の世界(WoF)』を作れば良いと思ったんだ!」
「どうだ?良い考えだろう?!」
ヴィルガ「そんな物作ったって世界は変わらない!!」
「俺達がそうだったように世界は簡単には変わらないんだ!」
「均衡を保とうとするんだ」
「何故!何故お前がーー」
扉が開く
ポルソ「テスタ・コルポ様」
デイビッド「?どうしたオッキオ」
ポルソ「ディート・スパッラから伝言です」
「エア・"ローレンス"が逃亡しました」
ヴィルガ(エア・ローレンス…?"ローレンス"!)
(スウィットが言っていた姉か!)
デイビッド「なに!?あの女…」
「おい!そこの警備員あいつをしっかり見張っておけ!」
警備員「は!はいっ!」
デイビッド「行くぞオッキオ」
ポルソ「はっ!」
扉が閉まる
ヴィルガ(なぜスウィットの姉が逃亡したんだ?)
(確か隔離されているんじゃなかったのか?)
・
・
・
・
・
???「ヴィルガ聞こえる?」[小声]
ヴィルガ「?その声は」[小声]
スウィット「僕だよスウィットだよ」[小声]
ヴィルガ「スウィット!どうしてここに?」[小声]
スウィット「君を助けに来たんだよ」[小声]
ヴィルガ「?ここには警備があったはず」[小声]
スウィット「はは。これだよ」[小声]
ブォン[効果音]
ヴィルガ「あの兵士はホログラムだったのか!?」[小声]
スウィット「ふふ。凄いだろ!」[小声]
ヴィルガ「ふん。全くだ」[小声]
スウィット「・・・」
ヴィルガ「おい?どうしたんだ?」[小声]
スウィット「いや、初めてヴィルガが笑ったなって」[小声]
ヴィルガ「俺をなんだと思ってるんだ」[小声]
「俺だってお前と同じ人間だぞ?」[小声]
「面白い時に笑わないと損した気分になるからな」[小声]
スウィット「ふふ」
ヴィルガ「ふん」
ヴィルガ・スウィット「「あははははは」」
・
・
・
ヴィルガ「どうしてここに居ると分かったんだ」
スウィット「それは、君が収容所に運ばれるのを見たんだ」
「カメラをハッキングしてね」
ヴィルガ「なるほど。君はハッキングも出来るのか」
スウィット「うん。あともう一個用があって来たんだ」
「君のIRを改良してハッキング能力とホログラムの機能を付与させておいたよ。」
「これでカメラをハッキングしたり自由にホログラムを出せるようにしといた」
「あとは脳への負担をかけないようにもね」
ヴィルガ「それは助かるな」
スウィット「良いよ。これも姉さんのためだからね」
ヴィルガ「そうだ!スウィット。お前の姉が逃亡したと聞いたんだが。大丈夫なのか?」
スウィット「大丈夫じゃないよ…」
「でも、その事についても伝えに来たんだ」
「僕の方でも色々と立て込んでいて」
「今姉さんのとこには行けないんだ」
「そこでヴィルガ。僕の代わりに姉さんと会ってくれないかな?」
ヴィルガ「ああ、それはいいんだが…」
「場所が分からない以上会うのに時間がかかるぞ」
スウィット「そこは、大丈夫だよ」
「姉さんはきっとあの場所にいる…」[小声]
「姉さんの居場所のデータを送っておくね」
ヴィルガ「?…助かる」
スウィット「そうだ。姉さんと会う時の合言葉を教えるよ」
ヴィルガ「合言葉?」
スウィット「そう合言葉」
「姉さんは疑心暗鬼だからね」
「これを言えば信用してくれるはず」
「合言葉は『私達には明日(未来)がある』」
「もし、姉さんに合言葉を聞かれたらさっき言った言葉を言って」
ヴィルガ「分かった」
「それとあと一つ聞いてもいいか?」
スウィット「いいよ」
ヴィルガ「ウィスダムファウンドについてだ」
スウィット「ウィスダムファウンドを知っているのかい?!」
ヴィルガ「ああ」
「さっきテスタ・コルポから聞いたんだ」
「ウィスダムファウンドというのはどういう兵器なんだ?」
スウィット「ウィスダムファウンドは正確に言うと兵器じゃないんだ」
「ウィスダムファウンドってのは『始祖の知恵』というチップに入ってるデータのことさ」
「多分だけどテスタ・コルポが言っていたのはWoF。ウォフのことだよ」
「ヴィルガが止めようとしている核兵器の名前さ」
ヴィルガ「なるほど...」
「じゃあ、そのWoFってのはなんだ?」
スウィット「二足歩行型核兵器さ」
「簡単に言うと映画やアニメみたいなロボットだ」
「背中には弾道ミサイルが搭載されていてね」
「8000kmから離れた場所からでも正確に目標地点に落とせるんだ」
ヴィルガ「8000kmだと!?」
「ここからアメリカまで届くぞ!」
「奴らの狙いはアメリカなのか?!」
スウィット「それはまだ分からない。でも可能性としては充分にありえる話だ」
ヴィルガ「クソッ!」
スウィット「ヴィルガ。WoFの性能はそれだけじゃないんだ。話を続けるよ」
ヴィルガ「ああ...」
スウィット「移動型核兵器って言ったの覚えてる?」
「その名の通り移動するんだ」
「水陸をね」
「速度はあまり速くは無いけど」
「その分装甲が頑丈なんだ」
ヴィルガ「なるほどな」
「移動型兵器としては充分過ぎるな」
スウィット「そうだね」
「WoFは移動に長け国一つ落とす力を保有しているんだ」
「おまけに重機関銃やどんな装甲でも溶かしてしまうレーザーも付いてる」
「カメラも最新鋭のものが施されていて」
「ちょっとした動き・熱・明るさに反応するんだ」
ヴィルガ「かなり戦闘向けにも作られているんだな」
スウィット「大丈夫だよヴィルガ」
「勝ち目は充分にあるさ」
「なぜなら、姉さんがその鍵を握っているんだ」
ヴィルガ「本当か?!」
スウィット「そうだよ」
「だからヴィルガ」
「一刻も早く姉さんと会って欲しいんだ」
ヴィルガ「そうだな」
「引き止めてすまないな」
「それじゃ行ってくる」
スウィット「うん、幸運を祈るよ」
収容所
とある湖
ヴィルガ(ここかスウィットに送られた場所は)
パキッ![小枝を踏む音]
???「誰!?」
ヴィルガ「!?」[構える]
エア「あなた!テスタ・コルポの…」
「いや…違うわね。ごめんなさい」
ヴィルガ「分かるのか?」
エア「分かるわよ。ずっとあの場所(研究所)に居るんだから」
ヴィルガ「すまない…」
エア「大丈夫よ」
「ところであなたは何者なの?」
「こんな所にいるってことはただの一般人じゃないんでしょ?」
ヴィルガ「そうだな」
「俺はあんたの弟に頼まれてここに来たんだ」
エア「!?あの子に?」
「でも、怪しいわね」
「合言葉は?」
ヴィルガ「合言葉は…私達には明日(未来)がある」
エア「…そ。シャハトの仲間なのね」
ヴィルガ「俺はエア・ローレンスあんたを助けに来た」
エア「!?あなたが私を助けに来た人だったの?!」
ヴィルガ「聞いてないのか?」
エア「詳しくはね。ただ「ここから抜け出せるよ」としか聞けなかったから」
「そうなのね…良かった…」
「ねぇ、私からも1ついいかしら?」
ヴィルガ「何だ?」
エア「依頼よ」
ヴィルガ「依頼?」
エア「そう、依頼」
「依頼内容は…」
「今テスタ・コルポが開発している核兵器」
「ウィスダムファウンド…WoFの破壊よ」
ヴィルガ「いいだろう」
エア「やけにすんなり受けてくれるのね」
ヴィルガ「まあな」
「しかし、何故俺に頼むんだ?」
「自分達でも出来たはずだ」
エア「それは...」
「私達姉弟が核兵器を造らされているからよ」
「テスタ・コルポによってね」
「もしバレてしまったら私達は殺されてしまうわ」
ヴィルガ「そうなのか」
エア「ええ、そうよ」
ヴィルガ「じゃあ何故ここにいるんだ?」
エア「テスタ・コルポに騙されたの」
顔をうつむき小声で言うエア。
ヴィルガ「何だって?」
エア「騙されたの。テスタ・コルポにね」
・
・
・
エア「最初は「世界を良くするために手を貸して欲しい」とテスタ・コルポからお願いされたの」
「その時私は何も疑わずそれを承諾してしまった」
「けど…シャハトだけはずっとテスタ・コルポに対して疑いの目で見ていたの」
「それなのに…私は…」
「弟の…シャハトの言うことも聞かず…」
「でも!私の…私達の力(知恵)で世界が良くなるって思ったら是が非でも協力したいってなってたの」
「けれど、それも時間の問題だったわ」
「いつしか私達は異変に気づいた」
「世界を良くするなんて全くの嘘だった。本当は世界を脅かす兵器を造らされていたんだ…ってね」
「ほんと馬鹿よね。天才科学者が聞いて呆れるわ」
「それに…自分の弟を信じてあげられなかった」
「弟よりも自分の…私利私欲のために…」
・
・
・
ヴィルガ「そんなに自分を責める必要は無い」
「大事なのはそこからどう自分が乗り越えられるかだ」
「俺達人間っていうのは臆病で儚い生き物だ。しかし、君は…君達は世界を良くしたいと思い願っての行動だったんだろ?」
「自分自身が思った"正しい道"をそのまま歩み続ければいい」
「どんな明日(未来)にも希望はあるんだ」
「悪いのは君達姉弟じゃない。騙したあいつ(テスタ・コルポ)だ」
「そんな物(核兵器)俺が全て壊してやる」
「不安がる事は無い」
「必ず君達姉弟をあいつ(デイビット)の手から救い出してやる」
エア「そうよ…ね。ありがと」
「少し気が晴れたわ」
ヴィルガ「そうか」
エア「少し時間をちょうだい」
「気持ちを落ち着かせたいわ」
・
・
・
エア「はぁ…良いわよ」
ヴィルガ「もう大丈夫なのか?」
エア「ええ、いいわよ」
「早速本題に入るわね」
「核兵器の事なんだけどーー」
???「おい!!」
「貴様らここで何をしている!!」
エア「まずい。マノ・ガンバよ」
「1番めんどくさいやつが来た」
「早くここから離れましょう」
ヴィルガ「あ、ああ」
マノ「おい!?待った待った」
「俺はそこにいる女には興味は無い」
エア「?じゃあ何しにここへ?」
マノ「俺はアイツと闘いにきたんだ」
ヴィルガ「なに?」
マノ「俺はな強い奴と闘いてぇんだ」
「ボスの話によるとお前…」
「戦闘技術はボス(テスタ・コルポ)と並ぶぐらい強ぇんだろ?」
ヴィルガ「・・・」
マノ「俺は1度ボスと闘ったが」
「結果は惨敗だった」
「あの日俺は初めて敗北を知ったんだ...」
「でもよぉ!敗北ってのも悪くねぇもんだなぁ!」
「俺より強ぇやつにやっと会えたんだ。この世界もまだ馬鹿に出来ねぇ!!」
「なぜってぇ!?それはよぉ」
「この俺がまだまだ強くなれる可能性があるって事だからだ!!」
「負けたら終わりだってぇ?違うなぁ!また闘って完膚無きまでに打ちのめせばいいだけのこと!!」
「だからよぉ、ここで俺と闘ってくんねぇかぁ?!!」
マノ・ガンバ戦 開始
・
・
・
マノ・ガンバ戦 第2
マノ「やるな…これが『HEX(呪い持ち)』か!」
「ふんっ!まだまだ俺をワクワクさせやがる!!」
「次は手加減無しでねじ伏せてやるよ!!!」
マノ・ガンバ戦第2
・
・
・
マノ・ガンバ戦 終了
マノ「…っが!」[倒れる]
ヴィルガ「マノ・ガンバと言ったな」
「お前は強い。俺達(HEX)を除けばこの全世界の誰よりもな」
「色んな流派を取り入れ(コピー)自分の物にし」
「そしてこの闘いでもお前は幾度となく成長を重ねた」
「あの日の敗北を知り、己の未熟さを知った」
「お前は生まれながらの才能を持ちながら努力を惜しまなかった」
「お前は戦士として人として見習うべき存在だ」
「もしお互い違う会い方をしていたら戦友として一緒に居ただろう」
マノ「ふん、そうか」
「あんたら『HEX(呪い持ち)』に褒めて貰えるたぁ光栄だな…」
「だがよぉ…俺は2度も負けちまったんだぁ」
「俺の存在意義がズタズタだぜ」
「だからよぉ」
「いっその事俺を殺してくれや…」
「このまま生きていくのは辛すぎる」
「情けは要らねぇ」
「俺を殺せ」
ヴィルガ「・・・そうか」
バァンッ![銃声]
エア「!?」
ヴィルガ「・・・」
マノ・ガンバへ死にゆく者に敬礼。
・
・
・
・
・
ヴィルガ「・・・」
エア「初めて目の前で人が死ぬところを見たわ」
「まだ体が震えてる」
「ダメね。私ったらこんな状況で」
ヴィルガ「いや、それが普通の反応だ」
「人が死ぬ所を目の前にして平静さを保っているヤツは人間じゃない」
「君は人間だ。無理にこっちに来る必要はない」
「これは俺達の抗えない仕事(運命)なんだ」
エア「そう…ね」
「はぁ…」
パン![頬を叩く]
「っ!...よし!」
「急だけど核兵器のことについて話して行くわよ」
ヴィルガ「あ、ああ」
エア「弟から聞いてるかもしれないけど」
「一応言っておくわ。私はWoFの破壊方法を知ってるの」
ヴィルガ「ああ、そう聞いてる」
エア「そう。じゃあ話が早いわね」
「一刻も早くWoFのところに行って欲しいの」
「もう最終調整まで時間がない」
「あなたシャハトの仲間なのよね?」
ヴィルガ「そうだが?」
エア「じゃあIRは渡されてる?」
ヴィルガ「これか?」
エア「そうそれ」
「じゃあ私のコードを送るわね」
「これで離れていてもWoFの事を教えれるわ」
ヴィルガ「助かる」
エア「大丈夫よこれぐらい」
「これが私の思った"正しい道"なんだから」
ヴィルガ「ふん、そうか」
エア「ふふ、そうよ」
「ここを真っ直ぐ行けば研究所に出るわ」
「そこにWoFがあるの」
「私のせいで多分警備が一層厳しくなってるはずよ」
「だから…充分気をつけてね」
ヴィルガ「心配はいらない」
「必ずWoFを破壊してやる」
とある湖
森林部
スウィットから無線が入る
スウィット「無事姉さんのとこに着けたようだね」
「良かったよ」
ヴィルガ「何故あの場所だと分かったんだ?」
スウィット「それはね」
「あの湖。昔住んでいた所に似ているんだ」
「小さい頃よく姉さんと遊んだんだ」
「その湖で」
「ところがある日、1人の男がいたんだ」
「僕達以外の人が居たのを見た事がなくて」
「でも、その男の人頬に大きな傷があって」
ヴィルガ「!?」
スウィット「どうしたんだい?」
ヴィルガ「いや、なんでもない」
「続けてくれ」
スウィット「うん...?」
「最初は怖い人だと思ったよ」
「そしたらその男の人が僕達に話し掛けて来たんだ」
「怖がらなくても大丈夫だよって」
「優しく声をかけてくれたんだ」
「すごい優しい人だったなぁ」
「名前は確か...」
ヴィルガ「レリオット・エバース」
スウィット「そう!レリオット・エバース!」
「って、もしかして知り合いかい?」
「というか、ヴィルガの親族だったりする?」
ヴィルガ「いや、俺には親はいない」
スウィット「じゃあ何で君と同じ名前なんだい?」
ヴィルガ「それは...俺を拾ってくれた人なんだ」
スウィット「なるほど...」
「どういう人だったか聞いてもいいかい?」
ヴィルガ「そうだな」
「あの人はとても優しく時には厳しく叱る人だった」
スウィット「いい人なんだね」
ヴィルガ「ああ」
「あの人は戦争の最中に俺を拾った男だ」
「お人好しにも程がある人だったよ」
「何も知らない俺に色々と教えてくれたりしてな」
「今思うとあの人は俺にとって先生であり親のような存在だった」
「俺の他にも子供が5人居たな」
「そいつらもあの人に救われたと言ってたな」
スウィット「もしかして...?」
ヴィルガ「ああ、スウィットが考えている通りだ」
「俺達HEXはそのレリオット・エバースに救われた連中なんだ」
「今回の目標デイビッドも居た」
スウィット「なんだって!?」
ヴィルガ「まあ、その頃のデイビッドはそこまで悪いやつではなかったんだがな...」
「しかし、ある日突然あの人が俺達の前から姿を消したんだ」
「その当時の俺はまだ青年で最初は何かの仕事で何処か行っているんだろうと思い込んでいた」
「時が経ち数日後、大勢の大人達が一斉に俺達の家に押し込んで来たんだ」
「何か人の様なもの抱えてな」
スウィット「!?」
「まさか...」
ヴィルガ「そうなんだ」
「あの人は死んでいた」
「姿を消してから1週間後にな」
「今でも俺はあの光景が頭から離れない...」
「...すまないな無駄話をしてしまった」
スウィット「そんな、大丈夫だよ」
「ヴィルガにも色々とあったんだね」
「でも、そうか」
「あのおじさんがHEXを立ち上げたなんて信じられないよ」
ヴィルガ「いや、厳密には違う」
「あの人が...レリオットが死んでからなんだ」
スウィット「!?」
「まさかとは思うけど」
「そのレリオットさんが邪魔でその大人達が消したって言うのかい?」
ヴィルガ「かもな」
「俺でさえ詳しい事は知らない」
「俺は今でもあいつらを憎んでる」
「レリオットが死んでからはとてつもない数の実験や訓練をさせられた」
「俺達もそこまで身体能力が低かった訳じゃない」
「レリオットから近接格闘術や銃の扱い、地形での正確な判断を軍人に並ぶぐらいの訓練を受けてきたんだ」
「しかし、奴らはそれじゃ物足りないと感じたんだろうな」
「そんな歳もまだ18やそこらの青年達に薬の投与や人体実験をするってことはな」
「本当にあの日々は地獄だったよ」
「"俺以外"の皆は壊れ始め、優しかった奴らも非道な人間に成り果てたんだ」
「挙句、俺達6人にアルファベットで順位を決め優劣まで付けてきた」
「仲の良かった奴らがそれをキッカケに争うようになったんだ。蹴落とし合うようにな」
「ムカつく連中だったよ。あいつらは」
「それで俺達『神に選ばれた異才達(HEX)』が誕生したんだ」
「10年前にな」
スウィット「そんな事が...」
ヴィルガ「まあな」
「俺の事は気にするな」
「俺はどうやら"神に最も遠く離れた存在"らしい」
「皮肉なんだろうけどな」
スウィット「そうだよ!」
ヴィルガ「!?」
スウィット「君は違うよ!人間なんだよ!!」
「人間らしくて何が悪いんだよ!」
「大体なんなんだよ神--」
ヴィルガ「ふん、それを言われたのは2度目だな」
スウィット「え?」
ヴィルガ「いや、何でもないさ」
「俺はまたいい奴に出会ったんだな」[小声]
スウィット「なんだって?ヴィルガ?」
ヴィルガ「ん"ん"。それじゃ作戦に戻る」
スウィット「ちょっと待ってよ!ヴィルガ!」
「なんて言ったんだい?!」
ヴィルガ「・・・」
スウィット「もう...分かったよ」
「頑張ってね」
森林部
研究所
ヴィルガ「!?」
(機械が警備しているだと?)
(まずいな…)
エミュに無線を入れる
ヴィルガ「エミュ」
エミュ「どうしたの?ヴィルガ」
ヴィルガ「あれはなんだ?」
エミュ「あれは……無人機ね」
「名前は『メクソル』機械兵よ」
「あのカメラ。どうやらサーモグラフィーが搭載されているわね」
「しかも、自動追尾も」
ヴィルガ「ここを通り抜けるには少々骨が折れるな」
エミュ「そうね」
「でも、安心して」
「あのカメラ"動いてるもの"にかなり敏感なの」
「だから、機械の前で空の弾倉を投げると良いわ」
「それを察知した所で後ろを通れるわ」
ヴィルガ「なるほど。助かる」
エミュ「そういえば左のポーチにウィルスを流す小型道具を入れておいたの」
「もし背後をとれたなら近づいて道具をかざしてみて」
「そしたら、ウィルスが無人機に転送され一時停止するわ」
「最後にあの無人機。多分銃は効かないと思う」
ヴィルガ「どうして分かるんだ?」
エミュ「憶測だけど、あの無人機。炭化ホウ素を使っていると思うの」
「生半端な銃で撃つとこっちの位置がバレて殺されてしまう」
「だから、あまり銃を使ってどうこうはやめといた方がいいわ」
「元々隠密任務なんだし…ね!」
ヴィルガ「そ、そうだな」
エミュ「それじゃ頑張って」
ヴィルガ「あ、ああ」
無線を切る
研究所前
・
・
・
研究所倉庫
扉が開く
ヴィルガ「これが…WoF…」
エアから無線がなる
エア「聞こえる?」
ヴィルガ「聞こえるぞ」
エア「そう。良かった」
「そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわね」
「なんて言うの?」
ヴィルガ「ヴィルガだ」
エア「ヴィルガね。ありがと」
「急だけど本題に入るわよヴィルガ」
「WoFにはね」
「操縦席にキーパスコードを入力する基盤があるの」
「そこにパスを入れて欲しくて」
「パスを入力し終えたらWoFの自爆装置が起動するわ」
「起動するまで約2時間ぐらいかかるの」
「自爆までに充分時間があるから余裕を持って逃げれるわ」
「最後にパスコードは『PEACE KEEPER』よ」
ヴィルガ「PEACE KEEPER(平和維持)か」
「了解だ」
エア「うん…」
ヴィルガ「どうしたんだ?」
エア「なんでもないわ」
「ただ、ようやく終わるって思っただけよ」
ヴィルガ「そうか」
エア「私は今からシャハトと合流して脱出の準備をするわ」
「だから…だからあなたも必ず生きてここを脱出しましょ」
ヴィルガ「勿論だ。必ず生きて帰る」
エア「信じてるわよ」
ヴィルガ「ああ」
WoF付近
???「そこの君ここで何をしている?」
ヴィルガ「誰だ!?」
???「驚かせてすまないな」
「先程マノ・ガンバの生体反応が途絶えてしまってな」
「何かあると思ってここへ来たんだ」
ヴィルガ「・・・」[身構える]
???「そういえば自己紹介がまだだったな」
「僕は『dono dal cielo』所属のディート・スパッラだ」
「今ここで死ぬ君には意味の無い挨拶だが」
「よろしく頼むよ」
ヴィルガ「なんだと!?」[銃口を向ける]
ディート「待て」
「僕は感謝しているんだ。余所者よ」
「あの男…マノ・ガンバが少々苦手でね」
「理解できなかったんだ。ヤツの思考回路が」
「でも、それが今スッキリしたんだ」
「これで邪魔されることなく研究に勤しめるよ」
「本当にありがとう」
ヴィルガ「!!」
「お前には人の心ってものがないのか!」
「仲間なんだろ?!」
「お前は天資の…仲間の死を喜ぶっていうのか?!」
ディート「その問いには理解できないな」
「例えば…」
「君にとって苦手な人間が居たとする。そしてそいつに不幸や災難に見舞われてしまう。そしたら君はどう思う?」
「単純に嬉しい気持ち愉悦感に浸るだろう」
「俗にその感情をシャーデンフロイデという」
「それと同じだ」
「何故わざわざ苦手な人間の不幸をいたわらないといけないんだ?」
「それが人間だからか」
「それが仲間だからか」
「それが道徳だからか」
「そんなものは至って関係ないはずだ」
「なぜなら、それは全て偽善だからだよ」
「所詮、人間というのは自分が大事なんだ」
「他所の目を気にして、人は偽善者になり変わり」
「人を騙し続け精神を安定させる」
「そんな愚行。僕には理解ができない」
ヴィルガ「そうか...さっき言ったことは撤回する」
「アンタは人の心が無いというより」
「人の…いや「人間の心」そのものって感じだ」
ディート「ふん、褒め言葉として受け取っておくよ」
「少し話しすぎたかな」
「テスタ・コルポ様から命令を受けていてね」
「ここで君を殺すように命じられているんだ」
「だから君には死んで貰うよ」
ディート・スパッラ戦 開始
・
・
・
ディート・スパッラ戦 終了
ディート「まさか…僕の強化外骨格をこうも意図も容易く」
「ハハ…やるね。僕の負け‐‐」
バァンッ![銃声]
ヴィルガ「!?」
ディート「あ…っ……」バタンッ
ヴィルガ「!!!!」[振り返る]
「デイビッドォォォォォ!!」
デイビッド「ジャァァック!!」
「遂にここまでやって来たんだな!!兄弟よ!!」
ヴィルガ「どうしてそこまで非道になれる!!見損なったぞ!」
「昔のお前は--!!」
バン![銃声]
デイビッド「まだそんな過去をひぎずっているのか?」
「だからお前は『HEXの落ちこぼれ(Faileder)』なんだ」
バン![銃声]
ヴィルガ「っ!?」
デイビッド「ふん。いい機会だ」
「お前に話してやろう」
・
・
・
デイビッド「俺はあの計画(HEX)によって力を手にした。絶対的な力をな」
「しかし、それはあくまでも計画の一部だった」
「俺はその力で何人もの命を奪っていき街や村、集落を消した」
「そんな恐怖の存在だった俺にも守りたい人間が出来たんだ」
「俺達『神に選ばれた異才達(HEX)』というのは人を殺すため国を滅ぼすために育てられて来た連中だ」
「そんな兵器の様に恐れられていた俺が初めて人から好意を寄せられた」
「そいつの名前はエリス」
「エリスは優しくこんな俺でも愛し慕ってくれた」
「そんな彼女に俺は次第に惚れていった」
「だか、ある日突然エリスは不慮の事故で命を落としてしまった…」
「その時の俺は一体何が起きたのか全く分からなかった」
「最愛の彼女を失い。帰るべき場所を失った」
「そしてまた俺は闇に戻った」
「そこからだ。俺の人生を大きく捻じ曲げたのは」
「彼女の死から3年後。俺は知った」
「お前達が言う『平和なき負の遺産』と同じ日にな」
「あれは不慮の事故ではなく軍の奴らが仕組んだ暗殺だったと」
「奴らは情報を揉み消し、嘘の情報を捏造していたんだ」
「俺はそれを知り軍の奴らを憎み恨み嫌った」
「そこで俺は誓ったんだ。軍の奴らに復讐するとな」
「今は亡き最愛の彼女のため」
「俺はそれを知ったあと軍の奴らに復讐するために隠密に計画を立て、この地図にも載らず衛星すら観測出来ない島を作り上げた」
「そこで俺は新核兵器「WoF」を製作することにした」
「この核兵器が俺の復讐の始まり(始祖)だと知らしめるためのな」
「そしてこの核兵器WoFには最大軍勢力を持っているロシア連邦国にも勝る力を持っている」
「今の時代...何で世界、人は動いていると思う?」
ヴィルガ「...!?まさか!」
デイビッド「そうだ。電脳技術...そして情報だ」
「それに今全人類には頭にナノチップが埋め込められ管理されている」
「生まれた赤子から長生きしている老人までもな」
「もし、そこに莫大なウィルスを流したらどうなると思う...?」
「答えは死だ」
「脳のナノチップを対象としそこに莫大なウィルスを流し込むんだ」
「するとナノチップが脳内で故障し始めるだろう。一見危なそうな匂いはしない」
「が、脳というのはとてつもなく繊細だ」
「ナノチップの故障により微かな火花が飛び散り脳に直接ダメージを与えてしまう。つまり脳出血を引き起こす」
「たちまち人々は嘔吐、体の痺れに襲われ...」
「時間が経つ頃には人は死んでいるという訳だ」
「いわばサイバーテロってやつだ」
・
・
・
デイビッド「しかしその機能はこのWoFには無い」
ヴィルガ「!?」
「一応聞くが何故付けなかった?」
デイビッド「言っただろう?俺は軍に復讐すると」
「そんなモノ(ウィルス)を使ってしまっては俺の復讐劇はあっさり終わってしまう」
「あいつらには絶望を感じて欲しいんだ」
「お前だって中身の無い映画は嫌だろう?」
「この復讐で大事なのは結果ではない。過程だ」
「あいつらにも俺と同じ灰色の世界を見てもらうためにな」
「オッキオ!」
ポルソ「はっ!」
ピッ[ボタンを押す音]
ダンダンダンダン[メクソルの足音]
タッタッタッ[兵士の足音]
大佐から無線が鳴る
大佐「ヴィルガ!」
「ここは一旦退くんだ!」
「もし、ここで君が倒れてしまったら誰もテスタ・コルポを止める事は出来ない!」
ヴィルガ「しかし...」
大佐「もう一度言うぞ。ここは一旦退くべきだ!」
ヴィルガ「あ、ああ...分かった」
無線が切れる
ヴィルガ(クソ!)
(だが...一体どうすれば...)
あたりを見回す
(?あれは...)
(スウィット!?)
(エアと一緒じゃないのか?...)
(いや、今はそんな事はいい)
(スウィットのとこへ向かおう)
ダッ![走り出す]
デイビッド「ふっ。予想通り逃げたか」
「まだあいつを殺すなよ」
「あいつにはまだ確かめたい事があるんだ」
ポルソ「了解です。テスタ・コルポ様」
「お前達!配置に戻れ!」
兵士「は!」
ピピ[メクソルの反応音]
兵士とメクソルが戻る
デイビッド「あともう少しでウィスダムファウンドが完成する...」
「待っていろ...」
「"異端者のコード(役割)"を持つ男め...」
研究所倉庫
研究所出口
ヴィルガ「スウィット!」
スウィット「ヴィルガ静かに」[小声]
「こっちに来て」[小声]
ヴィルガ「あ、ああ」[小声]
・・・
スウィット「よし、追手は来てない見たいだね」
ヴィルガ「どうしてここに?」
「エアと合流する手はずだったろ」
スウィット「そうだけど」
「僕にはまだやるべき事があって」
「ヴィルガ。僕の研究室に行くんだ」
「そこにはWoFに対抗出来る装備がある」
「それを伝える為に来たんだ」
「あとこの鍵を渡す為にも」
ヴィルガ「なるほど。分かった」
「場所は?」
スウィット「この研究所の3階だよ」
ヴィルガ「そうか」
「スウィット最後に良いか?」
スウィット「なんだい?改まって」
ヴィルガ「スウィット」
「君は少し無茶をし過ぎだ」
「いつか自分の命を落とす事になるぞ」
「君は戦場で死ぬ人間じゃないんだ」
「あまり無理をするな」
スウィット「...そうだよね」
「ごめん...僕も役に立ちたくて」
「少し出過ぎたかも」
ヴィルガ「いや、良いんだ」
「君は俺の隣に立とうとしなくて良い」
「ただ、俺の背中を押して欲しいだけだ」
「だから無理にここに来る必要は無い」
「分かったか?」
スウィット「ヴィルガ...」
「分かったよ!」
「僕全力でバックアップするよ!」
「いや、僕と姉さんで!」
ヴィルガ「ああ、頼む」
スウィット「うん!」
「それじゃ今から姉さんと合流してくるね!」
ヴィルガ「ああ、気をつけてな」
スウィットが離れる
研究所外
・
・
・
研究所
大佐から無線が入る
大佐「ヴィルガ」
「何度もすまないな」
ヴィルガ「大丈夫だ。これぐらい慣れている」
「任務とは必ずしも上手く行くとは限らないからな」
大佐「そうか...」
「ヴィルガこれが最後のチャンスだ」
「これ以上失敗は出来ない」
「慎重に事を運んでくれ」
ヴィルガ「了解だ。大佐」
「次は必ず成功させる」
研究所
研究所3階 シャハト研究室
スウィットに無線を入れる
ヴィルガ「スウィット」
スウィット「良かった無事着いたんだね」
ヴィルガ「エアはそこに居るか?」
スウィット「いるよ」
エア「ヴィルガ...」
「シャハトから話を聞いたわ」
「失敗...したのね」
ヴィルガ「すまない」
「失敗してしまった」
エア「いいえ、大丈夫よ」
「まだWoFの破壊方法はあるから」
ヴィルガ「!?」
「まだ破壊方法があるのか!」
エア「ええ、そうよ」
「でも、これは少し手荒な方法になってしまうけど...」
「手順を教えるわ」
「まず...」
「WoFを起動させるの」
ヴィルガ「なんだって!?」
「WoFを起動ーー」
エア「話を最後まで聞いてヴィルガ」
「そこで私達がWoFに対してウィルスを流すの」
「私達が流すウィルスにはWoFを半永久的に停止させる事が出来る」
「でも、ウィルスを流し終えるまで時間がかかるの...」
ヴィルガ「なるほど」
「そこで俺が時間を稼ぐって訳か」
エア「そう...なるわね」
ヴィルガ「大丈夫だ」
「何とかしてみせるさ」
エア「!?」
「何を言ってるの!」
「あなただって人間なのよ!」
「いくら自分が特別な存在(HEX)だからと言って」
「あんな核兵器に自分は生き残れると思ってるの!」
ヴィルガ「ああ、勿論だ」
「皮肉だが」
「俺達HEXの抗えない"呪い(HEX)"のおかげでな」
「俺達は簡単には死ねないんだ」
「死ねない運命にあるんだ」
エア「そんな馬鹿げた話」
「信じろっていうの?」
ヴィルガ「・・・」
エア「...本当なの?」
ヴィルガ「そうだ」
エア「じゃあどうやってテスタ・コルポを倒すっていうの?」
「あいつも『HEX(呪い持ち)』なんでしょ?」
ヴィルガ「それは大丈夫だ」
「俺がいる限りな」
エア「どういう事?」
ヴィルガ「俺達HEXっていうのは『HEX(呪い持ち)』同士でようやく殺し合う事が出来るんだ」
「そう呪いを受けているからな」
「 "呪い(HEX)"を以て"呪い(HEX)"を解き放つ」
「振っても振り解けない宿命がな」
エア「信じられないわ...」
「まるで映画やアニメの世界だわ...」
ヴィルガ「無理もない」
「俺も最初は疑ったさ」
「銃に撃たれたとしても俺の体は平然と動く」
「これが俺達に与えられた"呪い(HEX)"なんだ」
「この瞳だってな...」
エア「もう、いいわ」
「ごめんなさい」
「余計な話をしてしまって...」
ヴィルガ「問題ない」
「改めて実感させられただけだ」
「しかし、俺も人間だ」
「大量に出血すれば死ぬ」
「脳や心臓を破壊されたら死ぬ」
「変わらないんだ。普通の人間とな」
「この"呪い(HEX)"のせいで俺達の命を繋げよう(continue)とするんだ」
「全く皮肉なものだよ」
スウィット「ヴィルガちょっといい?」
ヴィルガ「どうした?スウィット」
スウィット「そろそろ本題に入ろうかなってね」
ヴィルガ「ああ、そうだったな」
「エアにすまないと伝えてくれ」
「彼女には少し重すぎたかもしれない」
スウィット「ヴィルガって結構優しいよね」
「面倒見がいいって言うかさ」
「そんな所に姉さんはーー」
エア「シャハト!!」
スウィット「ああ、ごめんごめん」
「ちょっと姉さん!」
ヴィルガ「ふん、仲がいいんだな」
スウィット「今そんな風に見えるかい!?」
「ちょっと!姉さん悪かったって!」
ヴィルガ「・・・」
「で、スウィット」
「その本題っていうのは例の...WoFのあれか?」
スウィット「そうだよ」
「僕の実験ルームのロッカーに装備があるはずだ」
「それを着て欲しいんだ」
ロッカーに歩み寄る
ガチャ[開く音]
ヴィルガ「これか?」
スウィット「そう!それ!」
ヴィルガ「これを着るとどうなるんだ?」
スウィット「とりあえず着てみて」
ヴィルガ「あ、ああ」
スーツ装着
スウィット「着たね」
「首の横にあるタッチパネルを前にスワイプしてみて」
ヴィルガ「こ、こうか?」
キュイーン[起動音]
オールコネクト[アナウンス音声]
ヴィルガ「なんだこれは!」
「体に吸い付く感じ...いや馴染んでいると言った方が良いか」
「まるで元々俺の体の一部だったような感覚だ」
スウィット「これはねヴィルガ」
「リコンスーツといって」
「融和を意味してるんだ」
「それを着ると身体に干渉して飛躍的に身体能力が上がるんだ」
「そしてもう1つ」
「その場で匍匐や壁に張り付いてみて」
チューン[色質感のコピー音]
ヴィルガ「迷彩服にもなるのか!」
スウィット「そう!これでステルスミッションがスムーズに進むよ」
ヴィルガ「これはありがたい」
スウィット「あともう1つ」
「そこの横にある大きなロッカーがあるんだけど」
「開けて欲しいんだ」
ヴィルガ「ああ」
ガチャ[ロッカーを開ける音]
ヴィルガ「これは...」
スウィット「今ヴィルガの目の前にあるのは」
「対WoF用武器」
「SHAHALENS-SLAPだ」
「回転式の擲弾銃だよ」
「装弾数は6発」
「弾はそこの箱に入ってるよ」
「これを使ってWoFと戦うんだ」
「WoFの装甲でも少しダメージは入ると思う」
「少しは足止めが出来るはずだよ」
ヴィルガ「なるほど。助かるな」
「これがあればあの兵器を壊す事だって出来そうだな」
スウィット「ごめん。これはあくまで足止め程度にしか使えないんだ」
「弾がもう少しあれば出来たんだけどね」
ヴィルガ「そうなのか...」
スウィット「そんな落ち込まないでよ」
ヴィルガ「いや、落ち込んではないぞ」
「ただ俺の想像していたのとかなり違ってだなーー」
スウィット「それを落ち込んでるって言うんだよ!」
ヴィルガ「ああ、悪かった悪かった」
エアが入る
エア「お気楽な人ね」
ヴィルガ「なんだって?」
スウィット「これに関してはヴィルガが悪いよ」
ヴィルガ「あ、ああ」
「すまない」
スウィット「ん"ん"。とりあえずさっきの研究所倉庫に向かうんだ」
「もしかしたらWoFの最終調整を終えているかもしれない」
「だから急いで!」
ヴィルガ「了解だ」
研究所3階
研究所1階
オブザレヴ「まだ生きていたんですね」
「ジャック・F・エバース様」
ヴィルガ「オブザレヴ」
「何故ここに?」
オブザレヴ「そうですね。何やら強い気配を感じましてね」
「見た所あなたの潜在能力が引き出されているじゃないですか」
「正直驚きを隠しきれませんね」
「以前のあなたとはまるで見違えるように変わった」
「私事ながら少し高揚感を覚えてしまいました」
ヴィルガ「そうか、それは良かったよ」
(スウィットが作ったこのスーツ)
(それ程までに上がるのか)
「なら、俺と勝負してみるか?」
「今の俺なら楽しめるんだろ?」
「食べ頃の食い物は嫌いか?」
オブザレヴ「ふふ、良いでしょう」
「どれ程強くなったか試して見るのも私の務め」
「その挑発乗って差し上げますよ!」
ヴィルガ「そうこなくっちゃな!!」
「リベンジマッチと行こうか!」
オブザレヴ戦 開始
・
・
・
オブザレヴ戦 終了
オブザレヴ「やはり私の期待以上ですね」
「これがあなたが持つ本来の力...」
「もしかしたらあなたこそが本来あるべき器だったのかもしれない」
「"最後の1人(神為者)"として」
ヴィルガ「含みがある言い方だな」
「何か知っているのか?あの計画について」
オブザレヴ「それは"まだ"言えません」
「あなたにはこれから先色々なモノを見てもらうのですから」
「ただ強くなっただけでは誰も喜びません」
「人の上に立つということはそれ相応の能力・人格・経験が必要ですから」
「あなたにはまだそれがない」
「まだ教える義理が無いという事です」
ヴィルガ「なんだと!?」
オブザレヴ「私は"観測者"という"コード(役割)"がありますから」
「ここで私(観測者)とあなた(異端者)が同士討ちしてしまっては計画が失敗してしまう」
「申し訳ありませんがここは退くとします」
「それではまたどこかでお会いしましょう」
ヴィルガ「待て!!」
「どこまであの計画を知っているんだ?!!」
バン![銃声]
銃弾がすり抜ける
ヴィルガ「クソ!また幻覚か!」
「あの計画は終わったはずだ!!」
「答えろ!!」
・・・
ヴィルガ「クソォッ!!!」
大佐から無線が入る
大佐「ヴィルガ!」
「目的を見失うな!」
「今優先するべきはWoFの破壊だ!」
ヴィルガ「大佐すまない」
「取り乱してしまった」
「そうだな。今優先するべきなのはWoFの破壊だ」
大佐「そうだ」
「君が取り乱すのも無理はない」
「君にとって重要な話なのは分かる」
「が、今は世界の命運がかかってるんだ」
「それを忘れないで欲しい」
ヴィルガ「了解だ...大佐」
「これより作戦に戻る」
無線が切れる
研究所1階
・
・
・
研究所倉庫
ヴィルガ「警備がいない!?」
「罠か?」
「俺を誘き寄せるための」
「WoFは...まだ起動していないな」
「ふっ...これが最後の一仕事か」
「少し一服してから行くか」
すぅー[電子タバコを吸う]
はぁー[電子タバコを吐く]
・
・
・
ヴィルガ「よし、最高の調子だ」
無線を入れる
ヴィルガ「これより最後の仕上げにかかる」
無線を切る
ヴィルガ「多分罠なんだろうが警備が居ないとういうことはあのパスコードを入力出来るな」
「試してみるか」
WoFに近づく
ヴィルガ「本当に誰も居ないんだな...」
WoFの搭乗席に入る
ヴィルガ「これか自爆コードを入れる基盤は」
カタカタカタ[入力音]
ヴィルガ「こんなあっさり行くとはな」
ポチ[入力終了音]
WoFが起動します[アナウンス]
ヴィルガ「なんだと!?」
「WoFが起動した!?」
WoFから降りる
デイビッド「感謝するぞ!兄弟!!」
「俺達はWoFの起動コードを知らなくてな!」
ヴィルガ「なに!?」
「騙されたのか!」
デイビッド「そうだ!お前は騙されたんだよ!」
「その顔だ!その顔が見たかったんだ!」
「残念だったな!ジャック!」
「ハッハッハッ!」
無線が入る
ヴィルガ「エアか」
エア「ヴィルガ...ごめんなさい」
「私が教えたのは自爆コードじゃなくて本当はWoFを起動させるコードなの」
ヴィルガ「君は!君はあいつの味方なのか!!?」
エア「いいえ、それは違うわ」
ヴィルガ「じゃあ何故あいつに加担するような事をしたんだ!?」
「あの話は嘘なのか!?」
「あの涙も過去の話も!」
エア「それは本当の事よ...」
「けど、あの時はあーするしか無かったの!」
「あれが"正しい道"だと思ったの!!」
「私は弟を人質にされていたの!」
「あなたには言って無かったけど」
「あの子のナノチップには大量のウィルスが用意されているの...」
「もし私が裏切ったら弟は殺されてしまう」
「けど、ヤツはテスタ・コルポは条件を付けてきたの」
「弟シャハト・ローレンスを助けたかったら」
「この基地に潜入しているやつを引っ張りだしてこい」
「そしたらお前の弟を解放してやる。って」
ヴィルガ「全てあいつの手の内だったのか!」
「クソッ!まあ仕方ない」
「これは俺達の戦いだ」
「本当に君達姉弟を巻き込んですまない」
エア「大丈夫よ...」
「私こそごめんなさい」
「騙してしまって」
「けど、今の私はあなたの味方よ」
「多分だけどヤツの狙いはあなたよ!ヴィルガ」
「わざわざ私に起動コードを入力させなかったという事は」
「WoFの起動それと同時にあなたを始末することなの」
「だから絶対に死なないでね!」
「あなたには私とシャハトが付いてるわ」
ヴィルガ「ふっ、そうか」
「俺の方こそすまないな。疑ってしまって」
「スウィットのことは俺たちに任せろ」
「うちには腕利きの医療班がいるんだ」
「心配するな」
「で、例の"アレ"についてだが...本当か?」
エア「ふふ、本当よ」
「やる気なのね」
ヴィルガ「ああ、勿論だ」
「君達をここまで苦しませたんだ」
「その報いを受けてもらわないとな」
無線を切る
ヴィルガ「デイビッド!!」
「最後の戦い(クライマックス)と行こうか!」
デイビッド「そうかそうか」
「話は済んだようだな」
ヴィルガ「ああ」
「その前に、約束通りシャハト博士のウィルスを消してもらおうか」
デイビッド「ああ、良いだろう」
「もう奴らは用済みだからな」
「解放してやる」
「だか、しかし!」
「ここから逃げれたらの話だがな!!」
WoFに搭乗する
デイビッド「お望み通り叶えてやる!!3年前の決着をここでつけてやろう!」
WoF戦 開始
・
・
・
WoF戦 終了
デイビッド「クソッ!」
「何故だ!何故動かん!」
ヴィルガ「終わりだよテスタ・コルポ」
「いやデイビッド」
デイビッド「なんだと!?」
ヴィルガ「珍しいなお前がそんなに慌てるなんてな」
デイビッド「!?」
「ふ、ふふ、ふははははは」
「なーんてな」
ヴィルガ「まだ何かあるのか!?」
デイビッド「それは安心しろ」
「もうこの人工島にはこれと同じ核兵器はない」
WoFから降りる
デイビッド「が、この核兵器の『始祖の知恵』のデータが入ったチップがある」
「これがどういう意味か分かるか?」
ヴィルガ「!?」
デイビッド「そうだ!いつでも俺達はあの核兵器を量産出来るということだ!」
「もう忌々しい姉弟の手を借りずともな」
ヴィルガ「そのチップはどこにあるんだ?!!」
デイビッド「馬鹿かお前はそんな易々と答えるはずが無いだろう?」
「だが、これだけ教えてやる」
「あのチップ『始祖の知恵』には俺達と同じ"呪い"のようなモノを感じた」
「ジャック!!」
「いずれまたお前の前に現れるだろう!」
「その時が来るまでお前は大人しく待っていろ」
ヴィルガ「なるほど。それは良いな」
「向こうからやって来る訳か」
「面白い...そんな物俺が全部まとめてぶっ壊してやる!」
デイビッド「ははははは!!」
「流石は俺が唯一認めた男だ!」
ヴィルガ「?急にどうしたんだ?!」
デイビッド「お前は知らないだろうな」
「俺達『神に選ばれた異才達(HEX)』の本当の姿をな」
ヴィルガ「!?お前も知っているのか!」
「あの計画の事を!」
デイビッド「ふん、反応を見るに」
「ナゾ・リングア...いやオブザレヴから聞いたな」
ヴィルガ「ああ」
「だが、何故俺達と同じHEXが知っているんだ?」
デイビッド「これは"Aのコード"と"Bのコード"しか知らない」
「いわば1位と2位の特権の様なものだ」
ヴィルガ「俺達下位には関係ないと?家族だったのに」
デイビッド「昔はな」
「だが!今は違う!!」
「何故ならお前が--ッ!!」
「あ、ぐぁ!あぁぁ!」
「急に...!なんだ!!」
???「おっとデイビッド様少々お喋りが過ぎますよ」
ヴィルガ「この声は!?」
「オブザレヴ!」
(だが、何処にいるんだ?)
オブザレヴ「失礼しました」
「今貴方様方のナノチップに干渉させていただております」
「簡単に言うとジャック様の脳に直接私の言葉を送っているという仕掛けです」
ヴィルガ「"高みの見物"ってわけか!」
オブザレヴ「いえいえ、私はそれが"仕事"ですから」
「そのような事を言われても困ります」
「そうそう、今し方デイビッド様には脳に負荷を掛けさせてもらっています」
「色々と喋って貰っては計画に支障をきたしてしまいますからね」
デイビッド「分かった...今すぐ止めろ!オブザレヴ!!」
オブザレヴ「分かりました。デイビッド様」
デイビッド「はあ...はあ...」
オブザレヴ「今後とも計画のことは他言無用でお願いしますね」
「それではデイビッド様、ジャック様ごきげんよう」
デイビッド「はあ...」
「こんな感じに...俺達は管理...されているんだ」
ヴィルガ「・・・」
デイビッド「まあ、そういう事だ...っと」
「秘密を知りたければ俺を倒すんだな」
「ジャック・F・エバース!!」
ヴィルガ「言われなくてもな!」
「お前には色々と聞きたいことがあるからな!」
デイビッド「良いだろう俺を倒してみろ!兄弟!!」
「真剣勝負と行こうじゃないか!!!」
デイビッド(テスタ・コルポ)戦 開始
・
・
・
デイビッド(テスタ・コルポ)戦 終了
デイビッド「ぐはっ!」
ヴィルガ「うぐっ!」
ヴィルガ・デイビッド「「はあはあ...」」
デイビッド「流石は...俺が見込んだ兄弟だ...」バタンッ
ヴィルガ「約束通り...教えて貰うぞ...」
デイビッド「はぁ...はぁ...」
「ああ」
「何が聞きたい?何が知りたい?」
ヴィルガ「オブザレヴについてだ」
デイビッド「良いだろう教えてやる」
「・・・」
ヴィルガ「どうした?」
デイビッド「俺の脳に負荷が掛からないという事は教えても良いと言う事だな」
・
・
・
デイビッド「オブザレヴとは俺達HEXの"監視役(観測者)"だ」
「そして『新たなる天地創造計画』の立案者でもある」
ヴィルガ「なにっ!?」
デイビッド「奴、オブザレヴはレリオットの暗殺を企てた張本人だ」
「お前もうすうす勘づいていたはずだ」
「レリオットの死亡と奴らの計画についてな」
ヴィルガ「ああ...」
デイビッド「オブザレヴは、俺達を使って新人類という名の"神"を作る計画を立てたんだ。秘密裏にな」
「それがこの"呪い(HEX)"の始まり(始祖)だった」
「疑問には思わなかったか?何故俺達が選ばれたのか」
「理由はごく普通の事だった」
「俺達には身寄りという存在がいないかった分。実験体として色々と都合が良かったんだろう」
「科学者からしたら俺達は最高の実験体だったんだからな」
「しかし、その計画に邪魔が入ったんだ」
「全ての数値・情報を改竄されてな」
「その計画は、軍の者にも悟られること無く秘密裏に計画していたはずだった。」
「それなのに全ての俺達の情報が改竄されていた」
「それを目の当たりにしたオブザレヴは怒りと憎悪、同時に愉悦を感じたと言っていた」
「その後オブザレヴは情報を改竄した人物を追跡しながら計画を完全に修正していった」
「数日後、追跡が終わり改竄した人物が発覚した」
「その改竄した人物がレリオットだったんだ」
「まあ、あいつ(レリオット)からしたら俺達は息子の様な存在だったからな」
「俺達を守りたかったんだろう」
「あの馬鹿は...」
「そしてオブザレヴはレリオットの暗殺を提案した」
「改竄された日から数日が経ち、暗殺が実行された」
「レリオットは不慮の事故に装った暗殺によって死亡した」
「邪魔者を消したオブザレヴは遺体を抱えて俺達の前に現れた」
「新しい"保護者(創始者)"になるべくな」
「それからはお前も知っている通り俺達は実験漬けの日々が始まったわけだ」
「あいつが、オブザレヴがこの物語の黒幕だ」
・
・
・
ヴィルガ「なるほど」
「あいつが全ての元凶だったわけか」
デイビッド「そうだ」
「俺達HEXを"管理(観測者)"している」
「昔も今も、そしてこれからもな」
ヴィルガ「・・・」
「『始祖の知恵』を渡してもらうぞ」
「あとお前の身柄を拘束する」
デイビッド「殺さなくて良いのか?」
「俺を殺すのが目的じゃなかったのか?」
「なぜ殺さない?」
ヴィルガ「元々俺の目的はお前の身柄を拘束することだ」
「あと、お前からは聞きたいことが出来た」
「なおさら殺すよりも利用した方が良いと思ってな」
デイビッド「ふん、馬鹿馬鹿しい」
ヴィルガ「立て、デイビッド」
デイビッド「怪我人には丁重に扱えと習ったろ」
「あのバカ親父に」
立ち上がるデイビッド。
バンッ![銃声]
デイビッド「っ!!」
「ま…さか」
銃に撃たれるデイビッドが倒れる。
ヴィルガ「!?」
銃声の方に銃を向ける。
「お前は!?」
「ポルソ・オッキオ!」
「どうしてここに!?」
ポルソ「見て分からないか?」
「ジャック・F・エバース」
「いや、"異端者"よ」
「俺はその男を始末しに来たんだ」
ヴィルガ「なんだと!?」
ポルソ「あと、俺の名前はポルソ・オッキオではない」
「俺の名は、ジョセフ(神候補)・ケレット」
「お前達(HEX)と同じ"呪い持ち"だよ!」
ポチ[ボタンを押す音]
ダァァン[何処かで爆発する音]
グラグラグラグラ[島が揺れる音]
ヴィルガ「何をした!」
ジョセフ「ああ、これか?」
「これはこの人工島を沈める爆弾のリモコンだよ」
ヴィルガ「!?」
ジョセフ「この島はもって30分だな」
ヴィルガ「あた方も無く消すつもりか!」
ジョセフ「良いのか?そんな喋っている時間は無いぞ?」
ヴィルガ「ッ!」
「・・・」
「お前確か俺達(HEX)と同じと言ったな?」
ジョセフ「そうだが?」
「それがどうした?」
ヴィルガ「確かにお前からは俺達と同じ匂い(呪い)がしてな」
「またお前とは何処かで会うことになりそうだ!」
「その時は--」
ガタァン![建物が崩れ落ちる音]
ジョセフ「良いだろう」
「ジャック・F・エバース(異端者)」
「このジョセフ・ケレット(候補者)」
「必ずお前を討ち取ると約束しよう...」
大佐から無線が入る
大佐「無事任務は成功したようだな」
ヴィルガ「ああ、だが大佐」
「非常にまずいことになった」
大佐「大丈夫だ。私の指示を聞けば君は必ず生き残れる」
「ヴィルガ。君がこの人工島に向けて発射されたポッドを覚えているか?」
ヴィルガ「ああ、覚えている」
大佐「そのポッドには発信機が付いていてな」
「君がそのポッドに乗れば後で我々が君を回収する事が出来る」
「幸いにもあのポッドはとても丈夫だ」
「魚雷に撃たれない限り壊れることはない」
「すでに君のデータにポッドの場所を送っておいた」
ヴィルガ「助かるな」
「流石大佐だ」
大佐「当たり前だ」
「私を誰だと思っているんだ?」
「とりあえず、君は生きて帰って来るんだ」
「ローレンス姉弟はもうこの人工島から脱出している」
「あとは君だけだ」
「BADENDだけはやめてくれよ」
ヴィルガ「勿論だ」
「必ず生きて帰る」
人工島脱出
街
ヴィルガ「なに!?」
「あの民間人達...」
「全てアンドロイドだったのか!?」
「・・・」
「ふっ、なるほど」
「デイビッドのことだ」
「これを世界にばらまいて多発テロを引きこそうとしたわけか…」
グラ[人工島が傾く]
ヴィルガ「っと!」
「沈むまでもう時間が無いか!」
「よし、ポッドまであともう少しだ」
「急ごう」
街
・
・
・
浜辺
ヴィルガ「はあ...はあ...」
「これで、ようやく終わるんだな」
ガチャ[開ける音]
ブロロロ[船の音]
ヴィルガ「?」
「あれはジョセフ・ケレット?」
「あいつも脱出したのか」
「悪運の強い奴め」
「?あれは...!?」
「デイビッドの遺体!?」
「どう--」
グラグラ[揺れる音]
ヴィルガ「まずい!」
ポッドに入る
ガチャ[閉める音]
ヴィルガ「よし...」
「ジョセフ・ケレット」
「あいつもオブザレヴに狂わされた男の1人」
「・・・?」
「待て、何故オブザレヴと同じ部隊に居たんだ?」
「奴は知っているのか?」
「いや、知っているはずだ」
「俺の事を"異端者"と呼んでいた」
「あいつも何かあるのか?」
「"コード(役割)"というのが...」
ダーンッ![ポッドと何かが衝突する音]
ヴィルガ「ぐぁっ!?」
「・・・」
気を失う
昔の記憶
レリオット「ジャック...」
「またデイビッドと喧嘩したのか」
ヴィルガ「だって、あいつが俺の物を横取りしたんだ!」
「悪いのはあいつだ!俺は悪くない!」
レリオット「そうか...」
「後でデイビッドにも言っておかなきゃな」
「けどな、ジャック喧嘩はしちゃダメだ」
「暴力なんて以ての外だ」
「俺達には"言葉"があるんだ」
「もしジャックがデイビッドに暴力を振るったなら」
「俺はお前を叱る。逆の場合でもな」
「けど、ちゃんと自分の意志を己の"言葉"で伝える事が出来たらジャックお前は一人前の男だ」
「分かったか?」
ヴィルガ「う、うん」
レリオット「んじゃ早速!デイビッドと仲直りするか!」
「行くぞ!ジャック!」
ヴィルガ「ちょっと!待ってよ!」
目を覚ます
ヴィルガ「レリオット...」
???「!?」
「ヴィルガ!」
ヴィルガ「ん…ここは?どこだ?」
???「ここはアメリカの軍事病棟だよ!」
ヴィルガ「...スウィット」
スウィット「心配したんだよ!君がポッドの中で気を失ってから10日が経ってるんだ!」
「ヴィルガが...うぅ...っく...」
ヴィルガ「心配かけてすまなかったな」
「ところでなんでここ(アメリカ)にスウィットが居るんだ?」
「お前の姉さんはどうしたんだ?」
スウィット「...んっ。いきなり目覚めて質問攻めかい?」
「まずは感動の再会だろ?...っく」涙を拭く
「全く忙しい人だよヴィルガは」
「僕達は今ウィリアム大佐に保護させてもらってるんだ」
「条件付きだけどね」
「保護させてもらう代わりにお前達2人には研究所の仕事を手伝ってくれってね」
ヴィルガ「大佐らしいな」
スウィット「そこに姉さんも居るんだ」
「今の姉さんはすごいイキイキしてるよ」
「あんな姉さんを見るのは久しぶりだよ」
「これも全部ヴィルガのお陰さ」
「ありがとね。ヴィルガ」
ヴィルガ「あ、ああ...」
スウィット「どうしたんだい?」
「そんな重たい表情してまだ身体が痛むのかい?」
ヴィルガ「いや...」
「そうじゃなくてな」
「あの計画について考えていたんだ」
スウィット「え?」
「あの計画は終わったはずだろ?」
「確か『新たなる地創造計画』だったよね?」
「でも、あの計画が終わったからこうして今ヴィルガが居るんだよね?」
「?もしかして...ヴィルガにも知らない隠された計画内容があったってこと?」
ヴィルガ「ああ、そうだ」
「スウィットは話が早くて助かるな」
「確かにあの計画は終わった」
「いや、正確に言うと終わったように見せていた。の方があってるな」
「裏でまだその計画は今も続いている」
「現にジョセフ・ケレットという男に会った」
スウィット「ジョセフ・ケレット?誰だいその人?」
ヴィルガ「ポルソ・オッキオだ」
「テスタ・コルポの右腕のな」
スウィット「なんだって!?」
ヴィルガ「奴もまた『新たなる天地創造計画』のメンバーだったんだ」
「それに俺よりも計画について詳しかった」
「まだまだ俺達の"呪い"は続くかもしれない」
「また"長い時間"に囚われそうだ...」
「ジョセフ・ケレット、オブザレヴ・フィクス」
「この2人が居る限りな」
スウィット「そんな事が...」
「・・・」
「でも!ヴィルガならきっと!」
「きっとこの"呪い"を断ち切る事だって出来るよ!」
ヴィルガ「ふん、そうだな」
(俺は1人じゃない...)
(今は心強い仲間がいる)
(そうだよな。レリオット...)
「ところでスウィッ--」
スウィット「あー!」
「もうこんな時間だ!」
「ごめん!ヴィルガ僕もう行くね」
「まだまだやる事が山積みでね」
ガラガラ[扉を開ける音]
「また落ち着いたら会いに行くよ!」
「ちゃんと安静にしててよ?」
「じゃあね!」
ガラガラ[扉を閉める音]
ヴィルガ「あ、ああ」
「これじゃどっちが忙しい人なのか分からないな」
・
・
・
喫煙所
ヴィルガ「ふぅ...」[煙を吐く]
???「怪我人がタバコ吸っていいのかしら?」
ヴィルガ「!?」
「お前は...エア」
エア「久しぶりね」
ヴィルガ「ああ、久しぶりだな」
「そっちはどうだ?上手くやってるか?」
エア「上手くやってるわよ」
「お陰様でね」
ヴィルガ「そうかそれは良かった」
「・・・」
エア「何?緊張してるの?」
ヴィルガ「まあな、君があまりにも綺麗でな」
「緊張しているかもしれない」
エア「ふっ、冗談よ」
「ねぇ」
「あの"言葉"覚えてる?」
ヴィルガ「!?」
ゴホゴホ[咳き込む]
エア「どうしたの?」
ヴィルガ「いや、何でもない」
「ただ昔のことを思い出しただけだ」
エア「なるほどね」
「ま、あなたの過去で何があったかは聞かないでおくわ」
「いずれあなたが話したくなった時に聞いてあげるわ」
ヴィルガ「すまない。助かる」
エア「・・・」
「それで覚えてる?あなたが私に言ったこと」
ヴィルガ「ああ」
「自分が思った"正しい道"を選択しろ。だろ?」
「覚えてるさ」
エア「そう、あなたのその言葉に私は救われたの」
ヴィルガ「ふん、俺はそんな大層な事は言っていない」
「それじゃ、俺はそろそろ戻ーー」
エア「待って!」
「まだ、あなたに伝えたい事があるの!」
ヴィルガ「なんだ?」
エア「弟をシャハトを助けてくれてありがとう」
「本当にあなたには感謝してもしきれないわ」
「シャハトの事なんだけど、もう大丈夫よ」
「あなた達の医療班が的確に処置してくれたの」
「ヘレン?さんだっけ?」
「あの人は凄いわ」
「シャハトの状態がみるみる良くなっていったの」
ヴィルガ「そうか、ヘレンも喜ぶだろう」
「それじゃあな」
「うぐっ!?」
エア「!?」
「ちょっと!どうしたの!?」
ヴィルガ「なーんてな」
エア「!!」
「ヴィルガ!...あなたねぇ」
ジャック「ジャックだ」
エア「?」
ジャック「俺の名前だ」
「本当のな」
エア「あっそ」
「じゃあね」
「ジャック」
ジャック「ああ」
「また何処かでな」
・
・
・
ホワイトハウス 大統領執務室前
ジャック「大佐」[小声]
「少々キツイんだが…」[小声]
大佐「仕方ないだろ!」[小声]
「君が軍服を忘れてくるからだ!」[小声]
「全く呆れた男だよ...」[小声]
「愛国心というものは無いのかね!」[小声]
「はぁ…これが世界の英雄とはな」[小声]
SP「そこ!何を喋っている!」
大佐「すいません」
「少し隣のやつが緊張していたもので」
ジャック「大佐お喋りは良くないな」[小声]
「大事な式を前に」[小声]
大佐「誰のせいだと思ってるんだ!」[小声]
「全く...」[小声]
「もうすぐ始まるぞ」
ジャック「そうだな」
大佐「おめでとう。ジャック」
「昔から君の面倒を見てきたが本当に大した功績を残してくれた」
「君は国(大統領)から認められた英雄になったんだ」
「胸を張って行ってくるといい」
ジャック「ああ」
ガチャ[扉が開く]
パチパチパチパチ[拍手]
パチパチパチパチ[拍手]
大統領「ジャック・F・エバース」
「会えて嬉しいよ」
ジャック「こちらこそお会いできて嬉しいです」
「クリストフ大統領」
大統領「君の話は聞いているよ」
「この国、いやこの世界を救ってくれて本当にありがとう」
ジャック「いえ、私は当然のことをしたまでです」
大統領「はは、そうかそうか」
「では、早速」
「君にこの勲章を与えようじゃないか」
「これはーー」
ジャック「すみませんクリストフ大統領」
大統領「?」
「どうしたんだね?急に」
ヴィルガ「いえ、私にはそれを与えられる資格はまだありません」
大統領「!?」
ジャック「なぜなら今もこの世界は見えない何かに恐怖させられているのです」
「私は私にしか出来ない責務(任務)がまだ残っています」
「なので、私にはその勲章を与えられるような資格は無いのです」
大統領「なんだそういう事だったのか」
「いや、こちらこそすまないね」
「君の気持ちも知らないで」
「この勲章は君の為に保管しておくよ」
ジャック「すみません。ありがとうございます」
大統領「ふふ、大丈夫だよこれぐらい」
コホン
「これよりジャック・F・エバースの解任式を執り行わせてもらう!」
大佐「!?」
大統領「安心したまえ」[小声]
「これは君にとっての解任式だ」[小声]
「軍を抜けた方が君も色々と動きやすいだろ?」[小声]
「勿論こちらからも支援はさせてくれ」[小声]
「期待しているぞジャック・F・エバース」[小声]
ジャック「クリストフ大統領...!」[小声]
「ありがとうございます」[小声]
大統領「今までこの国の為に忠義を尽くしてくれてありがとう」
「君のような男を手放すのは大変心苦しいが...」
「只今を持ってジャック・F・エバースは除隊することとする」
ジャック「はっ!」敬礼
大統領「これにてジャック・F・エバースの解任式を終了とする!」
大佐「待ってください!クリストフ大統領!」
「どうしてジャックを除隊させるんですか?!」
大統領「これは彼を思っての提案だ」
「分かってくれウィリアム大佐」
大佐「それは...どういうーー」
ジャック「大佐俺の事は気にしないでくれ」
「俺は、俺でやるべき事が沢山残っているんだ」
大佐「!!」
「まさか...」
ヴィルガ「ああ、そうだ」
「大佐の考えている通りだ」
大佐「なんだと!?」
ジャック「俺はこの"呪い(HEX)"を背負った以上終わらせなければならない事が出来たんだ」
「すまない大佐」
「突然で悪いが俺は軍を抜け一人で動くことにした」
「また何処かで会えたらいいな」
その場を去る
大佐「待て!待つんだジャック!」
ホワイトハウス 大統領執務室
とある無線記録
???「はい」
「そうです」
「無事『始祖の知恵』と『Aの遺体』を確保しました」
「しかし、今回の件で我々以外にも『始祖の知恵』を狙う者が出て来るでしょう」
「政府に然り...そうです」
「この『始祖の知恵』には国をいや世界を揺るがすことが出来る機密データが刻まれています」
「あの姉弟達の手によってね」
「よく働いてもらいましたよ」
「まさかあの二人も『コード(役割)』持ちだとは思いもしませんでしたがね」
「ふふ、そうですね」
「今頃政府も怯えているでしょう」
「『始祖の知恵』は今我々の手にあるのですからね」
「大慌てでしょう」
「そしてAの遺体についてなんですが...」
「はい...はい」
「綺麗に保管してあります」
「はい...」
「AのDNAを使うのですね」
「分かりました」
「彼はとても優秀でしたから」
「とてもよいモノが造れるでしょう」
「現にあのアンドロイドたちはそのために造られたのですからね」
「エクスマキナを…」
「はい...はい…」
「それともう1つ報告があります」
「例のFについてです」
「はい...そうです」
「どうやら彼は軍を除隊したようですね」
「今あの姉弟達と共に動いているそうです」
「我々の計画を阻止する気でいるのでしょう...」
「全く無謀な事をしますね彼は」
「その行動でさえ計画の一部に計算されているというのに」
「あまりにも不運な男だ」
「どうしますか?」
「まだ彼を泳がせますか?」
「はい...はい...」
「分かりました」
「また彼の身に変化があるかも知れませんからね」
「全ては私達の『ADAM』の為に」
「はい。次の目標は...」
「DとEの双子を狙います」
終わり