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誰もが憧れるこの異世界で、無力な俺は主人公になれない  作者: 赤め卵
二章 たった一つのきっかけで、物事は変わってゆく
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第43話 すれ違いと連鎖


 突然吹きつけた爆風に吹き飛ばされたかと思えば、少しの浮遊感に駆られる。

 

 一瞬のうちに地面から離れてしまったため、この状況の中ではどっちが上下かーーそもそもどこへ吹き飛んでいるのかすらわからない。


 それでも、風が立ち込めたのは前方からだった。

 状況から考えて、レイナが起こしたものだと思いたいがーー

実際のところは……わからない。


 直後、背中に衝撃が走りーー打撲したような嫌味が全身に広がっていく。

 どうにか葉を食いしばり痛みに耐えながら衝撃に身を任せていると、ようやく最後の衝撃が体を強く打ち付け、止まった。

 

 どうやら、爆風で吹き飛ばされ、この硬い地面の上で転がされていたらしい。

 おかげで全身が軋むように痛む。

 とがったものが刺さったりするよりかはマシなものの、痛みに慣ないためかろうじて動く部位を動かしてどうにか痛みを軽減しようとする。

 

 タンスの角に小指をぶつけたのと同じ感じだ。……現実は、もっと痛いけど。

 

 しばらく悶絶し、痛むところに手を当ててこらえていると、動かすことすらできなかった手足がようやく動くようになってきた。


 そこで、ようやく目を開く。


 ーーこの一瞬で、洞窟の景色は変わり果てていた。

 

 まず、目を開いたのに景色が見えない。


 どこかから当たるランタンの光のおかげで暗闇ではない事だけはわかるのだが、土煙が立ち込めているせいで、視界には濁った色の煙しか見えない。

 しかも、俺がどこへ飛ばされたのかもわからないままだ。


 この洞窟はかなり狭かったとはいえ、あのデカい口の手前に飛ばされたのか、それとも奥に飛ばされたのかで一気に状況も変わってくる。

 俺が今どこにいて、何が起きたのかも知りたいが、今はそんなことより……


「レイナ……、レイナ!」


 ーー視界から消えた、パートナーの安否を知りたい。


 俺が最後に見た時には、口の中に納まっていた。

 普通に考えると、もう助からない状況でーーいや、考えるな。


 ここは異世界だ。

 身代わりの術みたいなのがきっとあるだろう。

 それに、彼女はかなりの実力者だ。

 どうにかする方法ぐらい……。


 そこまで考えた時、前に感じた違和感に思い至ってしまう。

 あの口喧嘩の後、彼女の歩き方は乱れていた。

 じゃあ、やはり警戒心もーー


 考えるな。

 ーー考えるな!


 彼女なら、きっと生きている。

 死ぬはずがない。

 俺とは違うんだ。


 レイナは、俺との言い合い程度のことを気にしたりなんかしない。

 

 ーーだから、信じろ。


 考えないようにするためにも痛みに打ちひしがれている体を、歯を食いしばって耐えながら起こす。

 相変わらず、視界は曇ったままで、何も見えない。


 だが、少なくとも転がるのを止めてくれた壁ならある。


 次は、前か後ろか。

 どっちだ?


 すぐ前の記憶を掘り起こしてみるが、さすがに通ってきた岩肌の凹凸までは覚えていない。

 ーーなら、もうイチかバチかで……


 その時だ。

 

 いきなり、曇っていた視界の中に、穴が開いた。

 風が通り抜けたように、土煙の中央が晴れていく。

 そしてーー


 消えていたパートナーが、その穴から走って出てきた。


「レイナ!!」

「いいからっ、早く来い!」


 彼女の姿を見て安心する暇もなく、曇った土煙の中に穴をあけていきながら走り抜けていく。


 見たところ、頭と腕から流血しているがーーともかく彼女は生きていた。


 そんな彼女が、俺の前を駆け抜けていった。

 俺には目もくれずに。

 ただ、それが彼女だ。


 彼女は、俺に来いと言ったのだ。

 ーーなら、俺のする行動は1つしかない。


 煙が再び立ち込めてこない内に、彼女に続いて駆け出す。

 左腕が方から上手く動いてくれないが、かろうじて足はどちらとも動いてくれた。


 痛みを我慢しながら、彼女が作ってくれた穴という目印に従って進んでいく。

 走る振動で撃ちつけた場所がジンジン痛むせいで、全力こそ出せていないが、それでもどうにか彼女に追いつこうと懸命に足を動かす。

 途中、足元が不安定なせいでバランスを崩すことも少なくなかったが、それでも止まるわけにはいかない。


 この洞窟内が歪んで視界が悪いというのもあるが、彼女と距離が開いできたせいで、視界から消えかけていた。


 今のところは灯りは途絶えていないのでどうにかなっているが、もう少しスピードを上げないとやばいかもしれない。

 だんだんと、レイナが開けてくれた空気の穴も狭くなってきた気がする。


 だが、そこからさらに走ると、ようやく続いている壁が広がっているところまで来た。

 戻ってきたのだ。

 この洞窟の入り口ーーあの広場へと。


 だが、そこを抜けても、彼女の姿が無かった。

 右を見ても、左を見ても、正面にも見当たらない。

 暗闇の中、不自然に俺の周辺にだけ光が当たっている。


 だが、光があるのだということは……


 そこで、地面に映る影を見て、ようやく気づいて、真上に顔を向ける。


「掴まれ!」


それと、彼女が言いながら腕を伸ばしてくるのはほとんど同時だった。 

 頭上で、下にいる俺に向けて手を差し伸べてくる。

 そのもう片方の腕は、壁に刺さった杭のようなものを掴んでおり、さらにその上には硬い岩肌に槍が横向きに刺さっていた。


 掴まるーーというのは、彼女の腕だろうか。

 彼女だって杭からぶら下がった状態のはずだ。


 だが、それ何かを考える前に、俺は彼女の腕を掴んだ。


 今の状況は一刻を争う。

 悠長に考えてる暇なんてない。


 だから、そんな彼女の行動を信じてーー


「壁に刺さってる杭を足場にして槍のとこまで上がられるか?」

「いけ……た!」

「うっ……」


 よくみてみると、彼女が掴んでいる杭が他のところにも刺さっていた。

 まるで、ボルダリングのようだ。


 ボルダリングは人生で1度しかやったかことがなかったが、彼女が手を掴んでリードしてくれたこともあり、どうにか上の方に刺さった槍まで手が届いた。


「槍の上に乗れ。そしたら私も行く」

「……この槍、折れたりしない?」

「大丈夫だ」

「……本当に?」

「死にたくないなら早く乗れ」


 彼女に急かされ、どうにか両手で槍を掴む。

 そこから、鉄棒の前回りをする時のように体を持ち上げ、槍の上に足を掛けていく。

 意外に、槍はビクともしない。


 俺が槍の上に乗った直後、俺が乗っていない左半分の方に、白くて細い手が掛けられた。

 そこから、俺と同じように体が乗り上げられ、足を掛けていく。


 ようやく、2人とも槍の上で座るような姿勢になれた。


 必死だったためあまり実感がなかったが、意外と地面からは距離がある。

 下を向くとまあまあ怖い。


 まるで、不便な空中ベンチだ。

 ただ、ベンチのように背もたれがないため、うまくバランスを取らないといけない。

 彼女は手慣れているのか、当然のようにバランスをとって座っているが、俺は壁に手を付けて安定してないと安心できない。


 ひとまず、この槍が長いのとグラつかないのに助かった。


「とりあえずはここで待機だ。デカい音を出しすぎた」


 壁に槍を刺してその上で休憩するというのは、彼女が編み出した方法なのだろうか?

 だが、そういう面も考えるなら確かに、剣よりも槍の方が優れているのかもしれない。


 ともかく、また助けられてしまった。


「ありが……」


 だが、その言葉を最後まで言うことができず、途切れさせてしまった。

 何故なら……彼女の左腕ーー肩の少し下辺りから、かなりの量の血が流れていたのだ。

 よくみて見ると……そこには小さいが牙のようなものが刺さっている。


「その傷……」

 

 見ているだけでも痛々しいその傷に触れると、彼女はすぐにそれを抜いてしまった。


「ぐっ……」

「だ、大丈夫?」


 今思い出してみれば彼女はその傷の具合で、俺を引き上げてくれたのだ。

 傷口が開いてしまったに違いない。

 その証拠に、牙が抜けた所からは血が溢れ出してきている。

 見るからに痛そうだ。


 すると、その傷口にもう片方の手を強く当てた。

 それと同時に、手の中から光が漏れ、流れていた血が止まっていく。

 

 1度ミルナさんに見せてもらったのですぐにわかった。

 治癒魔法だ。


 それが数秒間続きようやく手が離れると、傷口は完全に塞がっていた。

 行き場を失った血が傷のあった場所を濡らしているだけだ。

 そして、次に彼女は自身の頭に手を当て、傷を負った箇所を癒していく。


「傷があるなら見せてみろ。よほどの酷いものじゃなかったら治してやる」

「あ、ありがとう」


 とりあえずお礼を言い、痛む箇所を探していく。

 まず、最初に衝撃が加わった右肩辺りーーはここからだと角度的にどうなってるか見えないが、かなり痛む。

 そして、次に早くもボロボロになってきたジーンズの裾を捲り、痛むところを片っ端から確認していく。

 すると、そのほとんどに打撲をした時のような青いアザが現れていた。


「あれで骨折もしなかったのは、運が良かったな」


 そう言いながら、自身の治療をあらかた終えた彼女は、俺のアザになったところに手を当て、次々に傷を治していく。


「……ちなみに、あの時何が起こったんだ?」


 そうだ。

 俺があの時見た光景では、レイナは口の中にいたはずだ。

 ーーそこから、突然爆発のような風が吹いて……


「あれは流石にヤバかった、だから最終手段を取った。……使いたくなかったけどな」

「最終手段って?」

「事前に魔力を溜め込んでおいて、いざとなったら発動できる魔道具だ。今回のものだと、爆風が出るようになってる」


 なるほど……。

 確かに、それだと説明がつく。

 

「でもさ、それってこういう状況でしか役に立たないけど、他にもっといい感じのやつはなかったのか?」

「いや、私に最適なのはこれだ。さっきの非常時では吹き飛ばされる使い方をしたが、こういった狭い空間では囲まれた時とかに一気に相手を吹き飛ばせる。……もちろん、いざとなれば自分を吹き飛ばせるしな」

「そういうことはもう少し早く言って欲しかったんだけど……」

「お前は自分の心配をしてろ、こっちの心配はいらない。あの程度で死ぬようだったら、1人で遺跡に潜ったりするわけない」

「いや、まぁそうかもしれないけどさぁ……」


 俺がそう言い終わると同時に、話の途中にも関わらず、レイナが地面へと手を向けた。

 そして、その手が再び光り始めーー石のようなものがそこから高速で発射された。

 その直後、柔らかいものと当たったような鈍い音が響く。


 気になって下を見てみると、毛むくじゃらの謎の生物が血を流して横たわっていた。

 よく見ると、石が当たったであろう場所が凹んでいる。


「来たな」

「これってーー」

「ああ、あの時音を立てすぎた。しばらく地面には降りれないと思えよ」

「もし落ちたら……?」

「落ちるな」


 治癒魔法でアザが治ると、不思議と痛みも消えていく。

 ただ、急に消えたのでズキズキする感覚が少し残っているというか……変な感じだ。


 俺の所々にあった青いアザも、流血していた彼女の傷も魔法ですっかり治ってしまった。

 その合間にも、彼女の言った通り毛むくじゃらな生き物からうるさいグイムレーターまでもがそれなりに音を聞きつけてやってきた。

 それを、魔法で1匹ずつ倒していくのは、ゲームにあるハメ技のまんまだ。


 それを全て倒し切り、足音と鳴き声が聞こえない静かな空間が戻ったことで、地面には多くの死体が散らばっている状況になったころ、ようやく会話が再開された。


「来る前に言っただろ? 私のことは気にしなくていい。こんなとこで死んだりしない。だからそっちは自分の身を守ってればいいんだよ」

「いや、確かに言われたけどさ、絶対じゃないし」

「借りに来たとしても、そっちじゃどうしようもないだろ。それにーー」


 そこで、彼女は一度不自然に声を途切れさせた。

 少し待ってみても、彼女の口は開く気配がない。


「それに?」


 そこで切られるのはかなり気持ち悪いので、とりあえずオウム返しに聞き返してみる。

 すると、彼女は少しその表情を曇らせたかと思えば、小さくため息を履いてつぶやいた。


「それに、どうせ私が死んだところで悲しむ奴なんているわけない」


 ……え?


 一瞬、彼女の口から出た言葉に耳を疑った。


 だが、その言葉はまぎれもなく事実であり、それは彼女の本音であることもわかってしまった。

 どうして、彼女はこうもーー


「……そんなことーー」

「あるんだよ。それが現実だ」

「ミルナさんとかだってーー」

「お前はあいつのことを誤解してる」

「少なくとも、俺はーー」


 そこで、言葉に詰まってしまった。

 恥ずかしくなったからではない。……いや、それも無くはないが。


 ここでそんなことを言うということは、何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。

 

 ーーだが、俺がその結論を考え出す前に、


「だからお前は甘すぎる。はっきし言って、この職業には向いてない。……はぁ、そんなバカなことを言いだしかねないから、言いたくなかったんだよ」


 そう強めに吐き捨てて、強制的に会話を終わらせてしまった。

 ーー俺は伝えられてなかったのに。


「ともかく、もう誰かを救おうなんてするな。まずは自分の身を守れ」


 最後に言い切り、再び地面の方を見つめた。

 俺の方を向いていない時点で、もうこの話を続け気はないのだろう。

 

 1度深呼吸をし、どうにか気持ちを落ち着かせた。

 後は何か、せめて話題を……


「そういえばさ、どうやって降りるんだ?」

「そうだな、洞窟には遠距離攻撃してくるのもいないし、時間的にももう降りても何も寄ってこないだろ。壁に刺した短剣に足を掛けてーー」


 その時、この洞窟の中に声が響いた。

 獰猛な、それもさっきまで来ていたあのグイムリーターすらも量がするほどの声が、広い空間をこだましていく。

 それが響いた反響なのか、未だに発せられている声なのかすらも判断がつかない。


 うるさいどころの話じゃない。

 耳がーー壊れる。


 耳鳴りがし、さらには頭が痛くなるほどの鳴き声だ。

 さすがに、レイナすらも両手で耳を強くふさいでいる。


 視界が回り、それでもどうにかここから落ちないように、壁に体重を預ける。

 耳か、頭が、限界の悲鳴を上げていた。


 考えることができくなるほどのその声が、数秒間響き渡った後にーーようやく止んでくれた。


 けれど、頭は痛い。

 耳も、キーンという音を立てている。

 そのせいで、音が聞こえずらい。

 しかも、視界が歪んで、地面がーー


 あれ? 地面が……

 

 目の前にあった。

 ーー落ちている。

 それがわかったところで、何もできない。


 頭が痛い。音が聞こえない。

 地面が近い。

 ーー死……!


 その瞬間から、せめて最後だけでも現実から逃げるため、目を閉じる。

 だが、いくら待ってもその最後の主撃破やってこず、その代わりにふわりと浮くような感覚が体を包んだ。


 そこで、ようやく目を開く。

 地面が近くにあって、そして槍を握ったレイナが俺の前に立っていた。


 そこで、ようやく倒れていることに気づいて、急いで体を起こす。


 そこで、レイナが何か言っていた。

 彼女の口元が動いている。

 けれど、聞こえない。


 何が起きたのかわからなくてもいい。

 せめて、今の状況だけでもーー


 そう思い、辺りを見回す。

 ランタンの光の中には、何かがいるようには見えない。


 ーーつまり、この広い暗闇のどこかだ。

 

 今回も、助けられた。

 だあが、お礼を言うのは今じゃなくてもできる。

 生きているなら、戦わなければ。


 そうして、剣を前に構えた。

 

 壁があるのは後ろだけ。

 つまり、3方向も来る可能性のアルバ支署がある。

 だが、目に立つレイナは、右斜め前を向いていた。

 なら、きっとそこだ。

 もしかすると、彼女は耳が見超えているのかもしれない。


 視線を凝らし、周りの注意もしながら剣を構える。


 その直後、彼女が何かを前方へと投げた。

 あれはーー俺にも渡してくれた光る赤い石だ。

 それが、地面に当たり、少し転がる音を出してから、まぶしいぐらいに輝いた。

 

 石が出す光とは思えないぐらいーーそれこそ、太陽があるのではないかと錯覚してしまうぐらいに明るい光が、この空間を包んだ。

 それは洞窟の中なのに、昼間の外とほとんど変わりないほどだった。


 途端、暗闇が一部を残して消え去る。


 ーーいや、あれは闇なんかじゃない!

 シルエットだ。黒い体毛で包まれた、何かの生物の……。


 いつかに見た、オオカミモドキを思い出させるような獣だ。

 しかも、先ほど倒していた奴とは違い、もっと大きく、もっと怖い……


 剣を握っている手が……次第に体全体が震えてくる。

 戦いは、それなりに経験したはずなのに……この感覚が慣れることはない。

 目の前に立つ敵は、いつも俺より強く、恐ろしい。

 今回も、それは例外ではない。



 1つの事柄が、あの爆発というきっかけが、次の事柄を連鎖的に引き起こしている。

 すべての物事がつながって、同時に不幸が連鎖的に起こっていく。


「ひかーーーが、ここーーーいがーーーーを攻めーーーくぞ!」


 聴力が戻ってきたのか、彼女の言葉が断片的に聞こえるようになってきた。

 ……何かを必死に訴えている。


 それと同時に、獣の方も動き出すーーが、どこか様子がおかしい。

 目を閉じ、何かを振り払うように暴れてーー悶絶している。


 何が起こってーー


 いるんだ、と、頭の中で浮かべた疑問が途中で散っていく。

 ーーだが、そこに上書きされた言葉は、さらなる疑問だった。


 ーー何故?

 

 何故……獣がーー


 死ん、だ……?


 目の前には、斜め上から頭部を吹き飛ばされ、血をあたりにぶちまけながら倒れている『獣だったもの』も姿があった。

 その様子を、俺もレイナも、茫然と見つめていた。

 驚きのあまり、ことの顛末を見守ることしかできなかった。


 だが、その硬直をレイナが解いて、何かを叫ぶ。


「ーーーーーー上だ!!」


 それが聞こえた時、獣の死骸の奥に、誰かが落ちてきた。

 自由落下で速度を付けながらも、地面との接触の瞬間に風を発生させ、威力を落として綺麗に着地してきた。

 


 やはり、1つの事が起これば、それに連鎖して物事は続いていく。

 たった1つのきっかけで、物語は変わってゆく。



 ーーもう何回目かもわからない、本当の沈黙が広がったのち、ようやく前に立つ男が口を開いた。

 幸か不幸か、聞こえなくなっていた俺の耳にも、その言葉ははっきりと入ってきた。


「さて、と……戦いたくはないんだ。だから、俺達から取ったものーー返してくれないか?」

 

※補足

 書くタイミングがなかったので補足です。

 レイナが硬い壁に槍を刺してたのは、土魔法で岩を一瞬液状化したからです。

 

 ちなみに、岩などの自然にある土系の物質は全て液状化できてしまうので、この世界の建築は基本自然の石は使われません。


 また、範囲が狭いのでよほど脆い物質じゃない限りは崩れたりしません。

 液状化斗言いつつ、スライムみたいなジェル状になる感じです。

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