閑話:ある日のコスモアイリーン・後半
『つまりですね、この機動超人コスモジェネラルはですね、子供たちの夢を背負い敵と戦っているのですよ。もうね、努力なしでは乗り越えられない数々の壁をですね――』
『……オ、オーケー、分かったぜトオル。時間が来ちまったから、残念だが交代だ』
このトオルという人物は、この世界に来て間もない頃に知り合ったクルーの1人。何をするのかと思えば、自分の好きなアニメを語りだすというマイワールドを展開したのよ。
同僚のダニエルは腹芸とかやってたし、もう何でもありね。
『う~ん、それは残念。じゃあ最後に紹介しとくけど、ボクを含めてセキレイのクルーたちの大半は冒険者ギルドという組織に所属することになったんだ。この組織はダンジョンという未知の場所を探索するのをサポートするもので、もし興味があったらいつでも歓迎するよ』
『ありがと~トオル! じゃあ次は――』
トオルが話した通り、アイカが軍備を担当するようになってからは仕事がなくなったのよ。じゃあどうしよって考えた末に、冒険者ギルドを立ち上げることにしたわ。今後はギルド職員として頑張ってもらう予定よ。
『おっと、ここで本日最初の目玉――コスモエリートの登場だぁ! 左から紹介するぜぇ、ショートカットの蒼い髪、小柄で活発なムードメーカー、リズィ!』
『はいは~い、みんなリズィだよ、よっろしく~ぅ! これからは気軽に声かけてね~。あ、ちなみに彼氏募集中だよ~♪』
『『『うおおぉ!!』』』
こんな堂々と募集するとか、殺到しても知らないわよ。
『次にいくぜぇ、金髪ツインテールのお嬢様、コスモエリートの流星こと、フレディア!』
『フレディアよ、よろしくね。リズィと違って彼氏は募集してないわ。理由は――フフ、聞かないでいただけると助かるわ』
『『『おおぅ……』』』
そうよね、RUに夢中だもんね。
『続いていくぜぇ、銀髪セミロングの虎獣人、彼女の胸には希望が詰まってるに違いない、アムール!』
『……よろしく』
『ちなみに何カップだ~い?』
『え!? えっと……Fカップ……です』
『聞いたかみんな! Fカップだぁ!』
『『『おおおっ!!』』』
なんなのよこのノリは……。後であの司会もシメておこう。
『さぁどんどんいくぜぇ、赤い髪をツインテールにしたお嬢様、妹のGAちゃんとペットのネコちゃんを連れての登場だぁ!』
『マシェリーですわ。これからは気安く名前を呼んでもよくってよ』
『我不可解。ここにいる理由が不明』
『にゃ~~お(右に同じ)』
アイツ、GAとネ子ちゃんを勝手に。後で返してもらうからね!
『そんでもってぇ、黒髪ロングな眼鏡っ娘、コスモエリートのまとめ役なフロッソ!』
『フロッソです。よろしくお願いします』メガネクイッ!
『エメラルドブルーなショートヘアー、一部で猛烈な人気を誇るコスプレイヤーでもあるレイア!』
『やっほ~、今日は楽しんでってね~! 暇な時は新しい衣装を披露しちゃうよ!』
『クールな銀髪ツインテール、そのミステリアスな雰囲気が虜になりそうジェレミー!』
『我に視線を向ける無礼を許そう』
『まだまだいるぜぇ、お次は――』
総勢27人もいるコスモエリートの紹介が終わった。これから歌い出すのかと思いきや不自然に中央が空けられ、超ド級のサプライズが告げられる。
『さぁみんなぁ、お待ちかねの最後のコスモエリートだ。その名もアイリ。なんと彼女、このコスモアイリーンのトップでもあるんだぁ!』
『『『おお!?』』
まさかの私だった!
『お姉様、お急ぎください。トリが居なくてはしらけてしまいます』
「分かってるわよ!」
まさか私まで参加させられるとはね。
でも考えてみれば当たり前か。ここに君臨してる人物が気になるのは当然のことだし。
『さぁみんなぁ、心の準備はいいかぁ? 俺も内心ドキドキしているぞ。なぜならコスモエリートは美少女が多いからだぁ! ……コホン、そんじゃあいくぜぇ、アイリ――――カモーーーン!』
コアルームから舞台袖に転移するとステージ中央にてスモークが噴出され、その隙に舞台へと上がった。やがてスモークが収まるとスポットライトが私を照らし、会場全体に怒号のような歓声が沸き上がる。
「キターーー(≧∀≦)ーーー!! みんなぁ、目に焼き付けろ! このキュートな女の子こそ、コスモアイリーンのトップにして最高責任者でもある美少女、その名もアイリだぁぁぁぁぁぁ!」
「「「うおおおおっ!!!」」」
悪い気はしない。でもちょっと照れるわね……。
「さぁアイリ、みんなに力強~いメッセージを頼むぜぇ!」
「え……う、うん……」
司会のチャラ男から強引にマイクを押し付けられた。みんなの視線が集中する中、何を話そうかと必死に台詞を手繰り寄せる。
「え、え~と……コホン。私がアイリーンのトップに座るアイリよ。スパロウ帝国が内戦で大変なことになってる中、少しでも多くの人たちを助けたいと思い、セキレイのみんなを移住させたわ。なるべく普段通りの生活ができるように施すけれど、要望があれば遠慮なく言ってちょうだい。叶えるかどうかは別だけどね」
ふぅ……。緊張で息切れしそうになるも、何とか伝えたいことは言えた。
他に言えることは……あ、そうだ!
「今までとは違い街中に敵が現れることは殆どないわ。これはコスモアイリーンがダンジョンだからなんだけど、詳しく説明すると長くなるから詳細は冒険者ギルドで聞いてちょうだい。それじゃみんな、準備はいい?」
「「「おおおおおっ!!」」」
凄い声援。じゃあ覚悟を決めて歌いますか。
「ミュージック――――スタート!」
直後に流れる可愛らしくポップな曲。歌は最初から決まってて、この世界に来てから何度か聞いたことのある歌なのよ。うん、つまりは私のリクエストってこと。
それを各自で決めた振り付けで歌うものだから、動きがてんでバラバラ。ま、それも一興よね。
ところが、そのまま歌が終わるかと思われたその時、忘れかけていたアレが発生することに。
フィキーーーーーーン!
「くっ、この感じまさか!?」
【宇宙魔力の検出を確認。眷族を解放できます】
「こ、これはいったい……」
「どうなってるの? 私たち以外の全員が止まっちゃってるよ~!?」
「神秘の遭遇……」
私以外で動いてるのはフロッソにレイア、それにジェレミーね。
今回は三人同時の解放か。パニックを起こす前に説明してあげよう。
「条件を満たすと私の眷族を召喚できるようになるのよ。話し好きのリズィから聞いてるでしょ?」
「じゃあじゃあ、あたしたちもGAちゃんみたいなお友達が~?」
「それは選んでみてのお楽しみね」
【召喚したい眷族を一体のみ選んでください。選択権は貴女たちです】
「ほら、眷族リストが空中に出てるでしょ? そこから選んで」
「みゃ~~す」
「うん。ネ子ちゃんも選んで――」
「ってネ子ちゃんもなの!?」
驚いた。一緒ににゃ~にゃ~歌ってたのは知ってるけれど、まさか猫にまで適用されるとはね。
「よし、我輩は決まったぞ」
「じゃあ召喚場所は控え室にして。一般客に見られたら面倒だから」
「うむ、承知した」
「おっけ~」
「今こそ降臨し、我が下僕とならん」
三人は決まったらしい。後はネ子ちゃんなんだけど……
「ふみゅ~~~~。んん~~みゅ! みゃ~~す!」
ネ子ちゃんも決まったようで、前足で丸を作って見せた。
【眷族の選択、及びに召喚座標も決定承認。召喚に移ります】
さぁてと、今回は誰がチョイスされたやら。
【DO、ミリー、レイク、ザードの召喚に成功しました】
召喚成功のメッセージの直後、再び時は動き出した。
「あ~りがと~、コスモエリートのみんなぁ! さぁ、素晴らしい歌声を披露してくれた彼女たちに拍手を送ろう!」
「「「ヒューヒュー♪」」」
歌が終わると4人は――いや、3人と1匹は、控え室へと直行する。
先にバラしちゃうとこんな感じよ。
名前:DO
性別:女
年齢:レディに聞いちゃ、ダ・メ♪
種族:ギアヒューマン
階級:Sランク
備考:GAやRUと同じく硬い装甲で身を包んだ機械人間。紫を基調とし、黒のラインが入ってるのが特徴。顔は20代に見え、ややSっ気を感じさせる雰囲気を持っている。
名前:ミリー
性別:女
年齢:見た目は10歳未満
種族:ミスリルゴーレム
階級:Sランク
備考:普段は銀髪幼女の姿をしているが、人化を解くと物理能力の高いミスリルゴーレムとなる。いたずら好きでお菓子が大好き。隙あらばアイカのスイーツを奪ったりしている。
名前:レイク
性別:男
年齢:見た目は20代前半
種族:ファイアドレイク
階級:Aランク
備考:普段は冴えない農民にしか見えないほどに農具がピッタリな男で、いつも昼寝ばかりしている。人化を解くと巨体のファイアドレイクになるのだが、ドラゴンが昼寝してばかりではイメージダウンになるとのアイリの意見により、昼寝するなら人化しとけと厳命された。
名前:ザード
性別:男
年齢:???
種族:リザードマンキング
階級:Bランク
備考:心身を鍛えるのが大好きな男で、人化した姿は蒼い鎧兜を身につけたサムライに見える。修行の末、ついに念願の燕返しを修得したらしい。
上から順番にフロッソ、レイア、ジェレミー、ネ子ちゃんが召喚したわ。
【緊急通達。宇宙魔力のオーバーフローを確認。眷族のモフモフが惑星レイブンに召喚されました】
「えっ!?」
【座標はいつでも確認できますので、合流するのを忘れないよう注意しましょう】
また面倒事が増えちゃったわね……。
ジェレミー「……この田舎くさい男は何?」
アイリ「アンタが召喚したのよ」
ジェレミー「そ、そんな……」
アイリ「(台詞が普通になってる。よほどショックだったらしい)」




