表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/100

戦艦ダンジョン・コスモアイリーン2

「ななな、なんと! このように巨大な戦艦はスパロウ帝国でさえ珍しい。艦星の見た目とは違い完全なる戦艦。よぉし、我らの運命をコスモアイリーンに懸けるとしよう! 皆の者つづけぇぇぇ!」

「「「おおっ!」」」


 付近に着陸したアイカ――もといコスモアイリーンに、オットーたちが意気揚々と乗り込んでいく。

 そういえば内装はどうなってるんだろ? 衣食住の方も調整してないだろうし、テキトーに提供する? その辺はアイカに任せよう。


「そんじゃあたしらも行くか」

「――の前にね、()()()から情報を引き出したいのよ」


 オットーたちに続こうとしたマリアを止め、足元に転がるエドガルへと視線を落とした。

 目が覚めるまで待つつもりはないわ。ちょっと()()を与えて――



 コツン。


「んんぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


 神経が10倍過敏になる魔法をかけ、軽く顔を蹴ってやった。今エドガルは、おもいっきり蹴りあげられた痛みを味わってるのよ。


「ひぃ……ひぃ……ゆ、夢を見たぞぃ、無表情なオーガに顔面を蹴られる夢じゃった!」


 ムカッ!


「誰がオーガよ!」


 ゲシッ!


「ほんげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! か、顔が割れるぅぅぅぅぅぅ!」

「ふざけんじゃないわよクソ爺ぃ! こ~~~んな美少女に対してよくオーガとか抜かせたわね!? 今度言ったら両手両足を斬り落としてやる!」


 ったく、礼儀のなってない爺ぃは嫌ね。


「でも腕力だけならオーガ並……」ボソボソ

「シッ! 聴こえるよカズト!」ボソボソ

「そこの2人、聴こえてるわよ?」

「「ヒェッ!?」」

「私がオーガより弱いとでも思ってるの?」

「「思いません!」」キッパリ

「でしょ?」


 ――って、こんなところで漫才やってても意味ないし、さっさと情報を吐かせよう。


「さてエドガル、アンタに聞きたいことがあるわ。話さなくてもいいけど、答えないなら痛みを味わうから」

「……よかろう。知ってることなら話してやるわぃ」

「賢明ね。ならズバリ聞くけど、異世界から召喚した者を送り返すことは可能?」

「異世界召喚を知っておるのか。フン、ならば分かるじゃろ? 送り返せるのなら無能を召喚した時点ですぐに返しておるわぃ」

「んだとぉ!?」

「はいはい、落ち着いて」


 掴みかかろうとしたカズトを押さえ、続きを促す。


「召喚と言ってもな、何度も繰り返した内の1%すら満たない確率での成功じゃ。次にいつ成功するかが分からない以上、簡単には捨てられん。後を考え様々な可能性を考慮した育成プログラムを組んだが、それでもその少年は開花せんかった」


 そりゃね、カズトの場合は強者が使っていた剣を持つとステータスにバフがかかるっていうスキルだもの、この世界じゃ何の役にも立たないわ。


「しかしじゃ、半ば諦めかけた時、新たな生命体の召喚に成功したのじゃ! 同時に装置が壊れてしまい以降の召喚が困難に陥ったが、それでも此度のは本物! その生命体さえ確保できれば帝国は安泰。最近ジェイラーに送られてきた1人がその生命体である可能性が高く、ワシが来たのもそれのため――」

「その話はもういい。代わりの質問に答えなさい」


 現時点では元の世界に戻れない。これは理解した。となれば、今後送り返す装置を作れるかが重要になってくる。


「召喚した生命体を元の世界に返す装置。それをアンタに作ってもらうわ」

「フン、簡単に言うでない。召喚できたのは事故みたいなものじゃ。異世界が幾つあるかも知らんし場所も分からん。不可能じゃな」


 だろうとは思った。期待してなかったけど自力でどうにかするしかないか。


「じゃあ別の質問。この写真の女を召喚したのはアンタね?」

「これは……サオリくんではないか」


 見せたのはサオリ・アカツキの写真よ。どうせエドガルが召喚したんだと思ってね。

 ところが……


「何を勘違いしとるのか知らんが、サオリくんは生まれも育ちもスパロウ本星じゃぞ?」

「……へ?」

「実戦での功績は目を見張るものがあるが、それでも常識の範囲内じゃろ。そもそも召喚1つとっても――」


 エドガルの自慢話が始まったところで思考の海に身を落とす。

 この反応を見るに嘘は言ってない。つまり本当にこの世界に転生した人間ってこと?

 私の鑑定スキルが弾かれたのは神の加護(ギフト)を持ってる証拠。どうせスパロウ帝国に喧嘩売っちゃったんだし、堂々と捕まえて自白させよう。


「なぁ、ちょっといいか? サオリってやつの事なんだが……」


 思考の海から呼び戻された。


「マリアの知り合い?」

「いや、違う。むしろ仲間の仇だ。アイリの知ってるやつがサオリ・アカツキならな。前に話したろ? あたしに罪をおっ被せたやつさ」


 あの女、過去にとんでもない事を仕出かしてるのね。

 同僚であるコスモエリートを皆殺しにしてマリアに罪を擦り付けてたって事よ。


「そのサオリで間違いないわ」

「やっぱりか……」


 写真を見せたら怒りを再燃させ、グシャリと握り潰した。同名同名の別人じゃなかったみたいね。


 ガバッ!


「アイリ、1つ頼まれてくれ!」

「土下座しなくても分かってるわよ。サオリ・アカツキに復讐したいんでしょ? ちゃんと()()()()()()あげる」

「ホントか!?」

「もちろん」


 私としてもサオリ・アカツキを放置する気はない。危険な人物は排除しなきゃね。


「けどその前にスパロウ本星に向かうわ。いろいろと回収しなきゃならないから」

「構わねぇさ。チャンスをくれるってんなら何年でも待てる。例えババァになってもな」


 何年も放置はしないけどね。早ければ数週間以内には何とかしたい。

 今頃はワーテール共和国に攻め込んでるだろうし、背後から襲うのもありかな?


「じゃあ全員乗り込んで。すぐに出発するから」


 マリア、カズト、レミオールが乗り込む。これでジェイラーともお別れね~って感じに私も続こうとしたら、転がっていたエドガルが暴れだした。


「ままま、待ちんしゃい! スパロウ帝国の財産とも言えるワシはどうなるんじゃ! まさかジェイラーに残す気か!?」

「そうだけど?」

「バカを申すでない! そうなればスパロウ帝国にとっての多大な損失となるのだぞ!」

「知らないわよそんなの。帝国がどうなろうと知ったこっちゃないし」

「……ほへ?」

「帝国なんかどうでもいいってこと。じゃあね」


 ポカーンとするエドガルを残し、ジェイラーを後にした。次の目的地はスパロウ帝国で、スパロウ本星が目の前に…………あら? 防衛軍が見当たらない。


『アイカ、帝国の守備隊が居ないみたいだけど』

『恐らくですが、()()()が原因かと』

『あの件?』

『戦況がスパロウ帝国側に傾いたのを受け、現皇帝が前線へと向かったのですよ。降伏勧告でもするつもりだったのでしょう』


 戦況は聞いてたけど、そこまで傾いてるとは思わなかった。


『持てる全戦力を前線に注ぎ込んだため、守備隊もいなかったと』

『違います。皇帝が出向いた先で()()()()()のが主な原因かと』


 あ~なるほど。皇帝が暗殺されたらそりゃもう――




『ちょっと待った。誰が暗殺されたって?』

『現皇帝のベイグルーニですよ。今頃スパロウ本星では大混乱でしょうね』

『……初耳だけど?』

『今日の出来事ですからね。先ほどお姉様は後で聞くと仰いましたので』


 これもうスパロウ帝国終わるんじゃ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ