2/3
忘れない夜
この世界の片隅で、あなたは私を愛してくれたけど。
私はあなたをどれだけ愛することができただろう。
小さな世界に二人きり、あなたに貰った指輪を光にかざしてみる。
生まれたての姿で汗と息に混ざり合って。
〝愛してる〟なんて囁いてみる。
耳元で小さく声をあげるあなたが愛おしい。
こんな時間をすごせるのはあなたしかいない。
あなたが世界の中心で、あなたの世界で生きていたいわ。
私が望んでいるのは、ただそれだけ。
だから、どうか。
私よりも沢山生きてほしいのよ。
私と一緒じゃ、女遊びも何も経験できないでしょう?
あなたの世界が広くなるのは少しだけ怖いから。
臆病な私じゃ、あなたを自由にはさせてあげられない。
約束してほしいことならひとつだけあるわ。
私を忘れないでほしいっていうこと。
こんなに幸せだと思えるのはあなただけ。
私をあなたの中においてほしいわ、欠片ほどでいいから。