プロローグ2
今回は少なめ〜
私立佐竹台高校に編入して早3日が過ぎようとしていた。
千里丘は未だに鬼との遭遇に至っていない。
千里丘が久方ぶりに我が隊に顔を出すところから話を再開する。
チカチカと蛍光灯が鬱陶しく、そして薄暗い廊下を闊歩する。
千里丘は鉄格子を開け、その奥にあるドアノブに手をかけた。
ギギギと錆びた音を鳴らしてドアは開いた。
4つの視線がたいちょーに寄せられる。
「きゃー!たいちょーだぁ!」
少女のように叫んだのは池田だ。
「煩いぞバカ。」
島本は遮るように話を切った。
ここで、千里丘はパンパンと手を叩く。
「んじゃあ会議を始めようか。」
***
「で、たいちょーは何か収穫あったんすか?」律儀に手を挙げて質問をする。
「俺の収穫を資料にまとめようと思ったんだが、A4が2枚以上になりそうだからやめた。
ってな訳で、簡単に口頭で説明します。」
キリッとしたキメ顔で言う。
「それはいつもの事なので 次、お願いします。」
池田はメモ用紙を用意して続きを促す。
「今回の化け物は恐らく鬼じゃないな。」
千里丘の発言に首を傾ける。
「というと?」
「まず、鬼の性質上、単体行動はあり得ない。2つ目、人が殺されている。」
付け足すように池田が口を開く。
「鬼ならばただの一般人を殺しませんからね。」
「そうだ。」
鬼は過去、数多の文献に登場する。
鬼といえば高圧的な顔を持つ。そして残虐で人を殺すことにしか能が無い。
と、思われがちだが、実はそうではない。
実際、鬼は高い知能を有し、言葉を操り、酒を好み、組織を成し、計画的な略奪を行う、そして無意味な殺生を嫌う。
それが鬼。それがただの一般人を殺す筈がない。
「じゃあ何すか?鬼っぽい見た目で知能の低いヤツってことっすか?」
「ああ、大方、オーガとかそんなトコだろうな。」
「でも、オーガなら両方殺すのではないですか?」
的を射ている。
「では、自然発生ではなく、召喚されたモノだとしたら?」
「しかし、オーガの召喚術式なんてどの文献にもありません。」
目つき悪少女が食ってかかる。
ここで千里丘、解答を知る。目線の先には蛍光灯の光。
「おい、池田。」
「はい!」
「三日後の夜は・・・」
「空いてますよ!」
「違う、晴れか?」
アホの貝塚以外も答えを見出した。
***
「また会えなかったみたいだね、うん。」
千里丘は理事長室を見渡す。
ダンボールが開いている。
「人の目玉はそんなに良いモノなのか?」
触れてしまう、奴の趣味を。
「勿論だとも。そこにある目は全て、それぞれの人生を見てきたんだよ。
つまり、同じ球体でも質が大きく異なるんだよね、うん。それが僕にはわかる。」
「お前は世界が退屈だと言ったな、しかし、俺にはお前が退屈しているようには見えない。
お前にとっての退屈とはなんなんだ?」
「退屈なのは僕じゃないよ。」
「は?」
「それは君だ。そうだろ?」
「・・・」
「君はイかれている、」
「・・・もういい。」
「たかが雑魚1匹の為に《オーバー・10》を動かしたのはコレが理由さ。」
一瞬の静寂の後、千里丘は核心に迫る。
「では、エンターテイナー、次はどこに召喚するんだ?」
「はて、何のことやら」
白々しい笑みを作る。
「というか、僕が何かしなくても退屈は無くなっていたようだけどね。」
「なに?」
「まぁ、そのうち分かるさ」
***
傾陽に彩られた広い廊下を歩く。
取り付けられたステンドグラスの赤が射し込み、廊下全体が温かみを帯びる。
千里丘が廊下の曲がり角に到達する頃には陽は沈み、振り返ると寒色が廊下を彩る。
月光がステンドグラスを通り光の道を作った。
千里丘はステンドグラスを観察すると、確信したので曲がり角を曲がった。
***
ーーー千里丘隊の会議から三日後
「おはようございます!先輩!」
「・・・あぁ。」
相変わらず天王寺のペースには着いていけない。
「また聞かせてくださいよ、情報。」
コイツとの情報交換が毎日、朝の日課となっている。まぁ、一方的に嘘を話しているだけなんだがな。
「ーーーーという事で、南の林が怪しいから今日の0時に集合だ。」
「いやぁたよってくれて嬉しいです。では、また後ほど!」
屋上の扉を開け、天王寺が校内に戻っていく。姿が見えなくなったところで、携帯を取り出した。
「池田か?予定通り、0時にカタをつける。」
***
おわり
読破ありがとうございます!
次回、急展開!