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完全犯罪少年倶楽部  作者: nono
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完全犯罪クラブ入部

「おい、彩乃。こっちだよ。早く‼︎」

「ちょっと待ってよ‼︎あと…これで…良いわよ‼︎」

「辰哉‼︎全部撒き散らせ‼︎」

「おう‼︎雄一‼︎そっち平気か⁉︎」

「え、えと⁉︎13秒前だと…思う⁉︎」

「よし‼︎一気にいくぞ‼︎」

「「「「OK‼︎」」」」

「さぁ、授業を始めるぞ。」


よし、先生は全く気付いてないな。

今回の完全犯罪は成功だ‼︎


〜プロローグ 僕の師匠はクソジジイ〜


ここは八幡小学校。

どこを見てもただの普通の小学校だ。

僕だってそう。何の変哲も無いただの小学4年生だ。


相田 涼太 10歳 意外と成績優秀な割に素行が悪い。

2年前に両親が離婚をしたのが原因のようだ。

先週だけでも、周りの生徒との殴り合いの喧嘩が14件、校内破壊4件、授業のボイコット30件と、荒れに荒れている。


そんな調書が担任の山田あかり先生の持つ帳簿に書かれているのが僕、相田 涼太なのだ。


「全く相田君には参っちゃいますよ。ついさっきだって教室で水鉄砲なんか始めちゃって…。

私担任やっていける自信ないです…。」


職員室の話題といえば、僕の陰口と相場が決まっている。

そんな陰口を僕は生徒指導室に潜り込んで聞いている…否、生徒指導担当の小林のクソジジイに捕まって聞かされているんだ。


このクソジジイは、特に僕を叱りつけるわけでもなくただ黙って聞いていろという。

そんなことで僕が反省するとでも思ってるのか?

尋ねてみても答えはくれず、捕まってしまったら1〜2時間ほど黙って、ただただ黙って教師達の僕への陰口を聞かせ続けられるのだ。


特に苦痛でもない。

寝そうになるとデコピンされて起こされるのは情けなくなるが、泣くほど痛いわけでもないしそこは我慢できる範囲だ。


「あいつも2年前まではそんな子供じゃなかったんですけどねぇ。

やっぱり離婚が子供に与える影響は大きいんでしょうね。」


そんな他人の勝手な哀れみや悪口を聞かせ続けられて、正直飽き飽きしてるのは確かなんだが…。

おっ?そろそろ時間かな?


「さて…と、なぁ相田。お前もこんな大人達の話題に上がっててムカついてこないか?」


いつもとパターンが違う。

いつものクソジジイなら、時間がくれば一人で部屋を出て行って終わりなのだ。

なのに話しだしやがった。


「別に。先公なんかに興味ないし。」

「お前が興味がないんじゃなく、周りが勝手に好き勝手言って蔑んで哀れんで可哀想なやつと思われててムカつかんのかと聞いてるんだ。」


あ、確かにそれはムカつくかも。


「悪さをするなとは私は言わん。それがお前さんの自己主張の仕方なんだろう。

だがな、バレれば怒られる。

本来なら叱らなけりゃいかんのだが、他の先生達もまだ若い。

子供を持ってる先生の方が少ないからな。叱るのではなく、頭ごなしに怒って終わりにしてしまっているのは私も悩みの種なんだ。」


そんなこと知らねえよ。

何が言いたいんだ?


「いいか?何か事を起こそうと思うのであれば、確実に誰にもバレないようなやり方をしろ。

私もお前さんとこの部屋に缶詰になってるのはいい加減飽きてきた。

学年主任からは転校してくれないかという声さえ上がっているくらいだ。

でもな、私はお前さんのことを煙たいと思ったことはないんだ。

だから、お前さんに悪さの仕方ってのを教えてやろうと思うんだが。」


は?このクソジジイ何言ってるか分かってんのか?


「小林先生さあ、先生が俺の悪さの後見人になってくれるって言ってんの?」

「そりゃ違う。悪さを働くための師匠になってやると言っとるんだ。」

「同じことだろ?悪さをすることを推奨してるんだから。」

「まだまだお前さんも分かってないな。

他の先生達は、お前さんが悪さをすると言って邪魔者扱いしているんだ。

それの対応をすることで、他の子供達の授業は遅れてしまうし、親御さんからはクレームが来るしでな。

さて、お前さんは私の教えを聞く耳があるかな?」


さて、どうしたものか。

なんだかクソジジイも勘違いしてるんだよなぁ。


「あのさ、僕別に悪さがしたいわけじゃないんだよね?」

「そんなの当たり前じゃないか。

悪さをしたくてしてるような人間は、私の生きてきた中でも一人としていないぞ。」

「じ、じゃあなんでそんなこと言い出したんだよ?」


クソジジイが妙に優しく笑って僕の頭に手を置いた。


「イライラして、その発散が悪さとなって表に出てしまうのは仕方がないんだ。

誰にだってある。勿論私もたまにはそんな日がある。

だがな、他の人間に自分が今イライラしてるんだぞって知らせる必要はないんだ。

そのイライラが目に見えてしまうと、大人というのは力で押さえつけようとするものなんだ。

だから、私がお前さんに誰にも文句を言われないやり方を教えてやろうって思ったんだよ。」


クソジジイはそう言って生徒指導室のドアを開けた。


「なあ、どうだ?

お前さんの小学校生活はまだ2年と少し残っている。

その時間を、誰にも邪魔されない面白い時間にしたくはないか?」


クソジジイのこの言葉は、いつもモヤモヤして誰彼構わず当たり散らしていたような僕の気持ちに、一筋の光が差し込んだかのような気持ちになった。


「じゃあ聞くだけは聞くよ。

どうしたら怒られないんだよ。」

「それが知りたいなら、私とクラブ活動をしてみようか。」


は?クラブ活動?

僕は確かにどこにも所属していない帰宅部なんだけど、今からクソジジイと一緒にクラブ活動なんかしたくないぞ。


「やだよ。それに先生が顧問のクラブなんてないじゃん。」

「なぁに。今日から始めたって構わないんだ。

生徒指導担当というのはな、担任を持っているわけではいないスーパーサブ的な立場なもんでな。

放課後といえば親御さんのクレーム対応係しかしていないんだよ。」


なんだクソジジイ。暇な時間に僕を使って遊ぼうとしてるだけじゃないか。

でも、確かにクソジジイと話してる時は僕のイライラはあまり気になったことがないんだよな。


「じゃあ、参考までに教えてよ。

どんなことをするクラブなの?」


クソジジイが物凄く悪そうな悪代官的な笑顔を作った。


「完全犯罪クラブだ。」


犯罪⁉︎勘弁してくれ‼︎

僕は犯罪者になりたいんじゃない‼︎


「まぁ完全犯罪と言っても、警察のご厄介になるような重大なことをするわけじゃない。

例えば、教室の中でメチャクチャに大暴れをしてお前さんが遊ぶ。

そのままであれば机は薙ぎ倒されて、道具箱の中身は撒き散らかされて、次の日の朝には担任が血相変えて犯人探しを始める。」


まぁいつもの感じだな。


「しかしな、それを元あった形に100%戻してしまっていたら、担任はそこでお前さんが大暴れしていたことなんか微塵も想像することもないよな?」


うん。そうだな。

とりあえず僕は頷いた。


「落書きだって同じだ。

描いたものを残してあれば器物破損で大問題になるが、直ってさえいれば誰にも気付かれやしない。

そんな悪さをする。誰にもバレないように完璧に悪さをする。

それが完全犯罪クラブだ。」


な、なんだか面白そうだ。

確かに誰にも文句が言われないなら、一度思い切り破壊の限りを尽くしてみたりしたいとは考えないこともなかった。

その後弁償しろだとか言われると困るけど、それすらないならやってみたい。


「ああ、それとな…」


クソジジイが部屋を出ながら最後に言い残した。


「お前さん一人が悪さをしていたって楽しくないだろ?

何人連れてきたって構わんからな。

帰りの会の後ここに集合だ。」


なんだか分からない高揚感が僕を包んでいた。



放課後になって、僕は悪さをする仲間を集めて生徒指導室に向かった。


背が高くて喧嘩の強い小池 辰哉。

足の速さは校内1の戸村 雄一。

6年生に兄を持つ超美少女茅原 彩乃。

よく分からないが優等生のくせに僕に付き纏ってくる林田 照。

そして僕の総勢5名が生徒指導室に集まった。


クソジジイは既に部屋で待っていた。


「なるほど。お前さんの仲間達か。

しかし、林田君を連れてくるとは思わなかったな。」

「先生‼︎それは僕に対する偏見です‼︎

確かに成績優秀な僕に悪事を働くような印象はないでしょうが、涼太がやることはいつだって僕が一緒にやるんです‼︎」

「お前は何でそんなに僕に纏わりつくんだよ。」

「涼太は僕のライバルだ。ライバルに負けるのは嫌だからね。」


理由もよく分からないが、とりあえずこいつは役に立つ奴だ。


「私は涼太と一緒なら何でもやるわよ。」


彩乃とは幼馴染で、お兄さんの春樹さんはサッカー部のキャプテンでモテ男だ。


「ぼ、僕は涼太君しか友達がいないから…。」


そんなことを言いつつ、この5人では良く動いている雄一は万引きの常習犯。

とは言うものの、雄一の家は駄菓子屋でそこから持ってくるだけなのだが。


「もしもの時は俺がお前らを守ってやらなきゃいけないからな。」


辰哉は地元の中学生ですら近寄らないほどの喧嘩王。

ヤンキーかぶれとかではなく、男子たるもの強くあれという家庭方針から来る強さだそうだ。

僕は一度も勝てた試しがない。


「ふむ。まぁ何人いても同じことだしな。

それと小池君、喧嘩をするような場面にはならないし、普段からできるだけ喧嘩はしない方が良いな。」

「いや、俺は内輪揉めであってもしっかりと裁く。

自分から手を出すこともしないし、クラブ活動で帰りが遅くなれば素行の悪い奴らもその辺を歩き回ってるし、まぁ皆の傭兵ですよ。」

「まぁその辺はお前さん達に任せるとしよう。

私は送っていくことはできないしな。

じゃあ、今日から完全犯罪クラブを発足するぞ。」


そう言うと、クソジジイは僕達にプリントを渡した。

何?教室で水風船合戦⁉︎

初めてのクラブ活動の内容は、何と教室の中で水風船合戦をするという内容だった。

しかし、そんなことをすれば…否、そんなことをしたのがバレてしまえば大変な騒ぎになるのは明白。

涼太達完全犯罪クラブはどのように一切の証拠を消し去るのだろうか。

小林先生の作戦とは如何に。

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