69A列車 シンカンセンスゴクカタイアイス
博多駅に戻ってくるといったん改札を出て、夕ご飯を食べた。夕ご飯を食べ終わると博多駅ビルの最上階にある鉄道神社に参拝。今回の旅のこの先、そしてこの遺構も実行するであろう全ての度の安全を願った。ちょっとがめつすぎたかな・・・。
さて、これから乗る列車はよいよ今回の旅の目的である「のぞみ64号」だ。時刻表で入線時間を調べてみると18時37分。そして、その時間に博多駅に到着する下り営業列車は「のぞみ37号」。「のぞみ64号」に使われる車両はたった今東京からやってきたのに約10時間後には再び東京に戻るのだ。
18時37分。東京方から白いライトが見え、博多駅12番線に入線する。奇数号車には大きなAをもしたロゴマークが描かれている。「のぞみ37号」に使われたN700系はJR西日本の純正アドバンスF編成のようだ。9編成のうちの1編成がこのように見えたのだから、言い偶然だ。
「博多、博多です。ご乗車ありがとうございます。」
12番線にはアナウンスが流れる。そして、着いた「のぞみ37号」からは多くの乗客が降車する。その乗客を出迎える車内清掃の皆さんはできうる限り利用してくれた乗客全員に対して敬意を払い、頭を下げる。乗客の降車を確認すると清掃員が車内に入り、短い時間で「のぞみ64号」を仕立て上げるのだ。
18時55分頃、車内整備が完了し、乗車が開始される。僕が乗る車両は9号車。編成中央部のグリーン車だ。と乗車前にちらっと車体番号を確認。777-4003・・・。F3編成のようだ。
自分の席に行き、荷物を下ろす。グリーン席に座るなり、リクライニング全開でシートを限界まで倒した。僕の後ろは壁だから、後ろの乗客に遠慮すること無くシートを倒すことのできる場所だ。今回の旅では新幹線は全て後ろが壁になるところの座席をとっている。普通車もフルリクライニングを楽しんできたが、やっぱりグリーン車は違う。ああ、やみつきになりそうだ・・・。
18時59分「のぞみ64号」は定時で博多駅を出発する。
発車後しばらくすると「いい日旅立ち」が流れる。
「今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は「のぞみ号」東京行きです。途中の停車駅は小倉、広島、岡山、新神戸、新大阪、京都、名古屋、新横浜、品川です。続いて車内のご案内をいたします。」
自動放送は淡々と「のぞみ64号」の停車駅をいっていく。東海道新幹線に直通する「のぞみ」の中で唯一選択停車するいずれの駅にも停車しない列車。これが本来の「のぞみ」の姿なんだといっているようだ。
車内放送を聞きながら、外の景色を眺める。夏至が近いこともあり、車窓はまだ楽しむことができるが、だんだんを夜の帳が降り始めている。
「んっ・・・。」
ちらっと通路を見ると車内販売のカートが進行方向後ろの扉からちょうど顔を出した時だった。
「車内販売でございます。」
僕はそれを見るとズボンの左ポケットに入っている財布を手にしようとする。その行動が車内販売のお姉さんの目にとまったのか、
「はい、お伺いします。」
と言い、一度は前に押していたカートを僕の座っている列にまで戻してくれた。
さて、車内販売で買ったのはまたしてもアイスである。僕はこのアイスであることをやりたかったのだ。食べ物で遊ぶようであんまりおすすめはしないが、ちょっとやってみたい。
「固ッ・・・。」
貰ったプラスチックのスプーンはアイスの中に入りすらしない。ほんの数ミリアイスの中に入るだけでそれ以上はアイスの壁に阻まれている。
(さすがはシンカンセンスゴクカタイアイス・・・。ここまで固いとは・・・。)
僕はそのアイスのあだ名を心の中でつぶやきながら、スプーンを突き刺し続ける。しかし、何度突き刺してもスプーンがアイスの中深く刺さることは無い。
「固すぎでしょ、シンカンセンスゴクカタイアイス・・・。」
そういえば、このシンカンセンスゴクカタイアイスって誰が最初に考えたんだろう・・・。
しばらくシンカンセンスゴクカタイアイスにスプーンを突き刺していたが、だんだんを手に持った熱で隅からアイスが溶け始める。そうなり始めてから、アイスを食べた。シンカンセンスゴクカタイアイスを食べ終わる頃、「のぞみ64号」は小倉に到着した。




