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68A列車 役者が歴史になる・・・

 16時11分の発車から約8分。500TYPE(タイプ)EVA(エヴァ)は高架橋の線路から左へと逸れる。だんだんと分かれた九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)の本線を上にのぞむようになり、同じタイミングで高架橋から離れた線路が本線下をくぐり抜ける。JR西日本が保有する車両基地、博多(はかた)総合車両所が近づいた証拠である。

 500TYPE(タイプ)EVA(エヴァ)は車体をくねらせながら、複雑な博多(はかた)総合車両所のポイントを超え、端に設置されているホームに入った。博多南(はかたみなみ)に到着したのだ。

 博多南(はかたみなみ)駅は先ほど行ったとおり車両基地に設置された駅である。当然ホームの反対側にはたくさんの新幹線車両が停車している。その中でも多いのはN700系系列の車両である。16両編成のX、G、K、Fの各編成と九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)用のS、R編成がよく見える。その中にスパイスのようにサニーイエローのラインカラーが目立つE編成こと「ひかりRail(レール) Star(スター)」も止まっている。

(思いつきでここまで来たけどどうしようかな・・・。)

そういえば、何も考えていなかったなぁ・・・。時間を見てみると次に博多(はかた)方面に折り返す列車は17時17分発の博多(はかた)行き特急。ただいまの時間は16時23分。1時間程度の滞在時間がある。20分前ぐらいに列車内に行けるとしても40分の時間がある計算である。

(うーん・・・。あっ、そうだ。)

あることを思いついた。ここにはアレが止まっているんだ。

 僕は改札口を出た。そして、博多南(はかたみなみ)駅の入り口から左側へと歩いて行った。アレがおいてあるのはたぶんこの場所の反対側ぐらいになるだろう。最長往復切符の動画の映像には新幹線の高架橋が映っていなかったから、それで間違いないだろう。それを頼りに僕は博多(はかた)総合車両所の下をくぐり抜けられる場所か、反対側に向かえる道を探した。その道はあっさりと見つかり、反対側へと抜ける。

(えっと・・・。あっ、あった、あった。)

あったのは100系新幹線の中央部に連結されていた2階建て車両だ。おかれているのは「グランドひかり」の中間車両。車両側面にある種別幕や行き先表示が全てLEDになっているのがJR東海の持っていた100系新幹線と違う特徴だ。

 時速200キロ以上で走行する2階建て新幹線は今やE4系(イーフォーけい)Maxぐらいしかないが、それもJR東日本がE7系(イーセブンけい)ベースの新型車両E8系(イーハッけい)(現実ではE7系(イーセブンけい))の投入を公式発表したため新幹線車両の2階建ての歴史はまもなく完全に終了することが約束されている。

「乗りたかったなぁ・・・。100系・・・。」

僕の500系に次いで好きな新幹線だからなぁ・・・。乗れなかったことは今でも悔やんでいる。

 近くを見てみると700系新幹線も止まっている。しかも、よく見ると種別はJR西日本の700系3000番台には見られない幕だ。と言うことはJR東海の700系だと言うことになる。

「何でここに東海の・・・。」

と言いかけた。

「あっ、そういえば東海がすう編成J西に譲渡してたっけ。」

と言う事実を思い出した。先頭車両のほうを見てみるとエアロストリームと呼ばれる先頭形状の上に筒みたいな鼻が上がっている。連結部が開いた状態になっているようだ。

(・・・珍しい・・・。)

そう思いながら、先頭車両に近づいた。

 だが、よくよく見てみるといろんなことに気付く。最初に気付いたのは1号車から8号車が無いことだ。編成が半分ごっそりと無くなっている。これは博多(はかた)総合車両所の広い敷地のどこかに止まっているのかもしれない。次に気付いたのは12号車と13号車の間に設置された特高圧線用ケーブルヘッドの間にケーブルが走っていないことだった。あの状態では13号車から16号車の間に電気を供給することができないのではないだろうか。15号車と16号車の間には本来設置されているはずの車体間ダンパがない。乗り心地向上のために設置されたものを外したり、電車の心臓であるモーターに電気が行かない状態になっているのはどう考えても普通じゃない。この状態である700系新幹線が意味するものはたった一つだろう。

(んっ、何か紙が貼ってある。)

その紙に書いてあることを読もうとする。

「C11の14。用途廃止。」

決定的だった。C11編成の消えた1号車から8号車はすでに重機の餌になっているのかもしれない。そして、今ここに止まっている9号車から16号車はそうなる時をただ車庫の隅で待っているだけに過ぎないのだ。

「・・・。」

なんだろう。出てきた時「なんだ、この変な新幹線は」と僕に思わせ、新幹線へのカッコよさ全てを奪っていった迷車であり、その後の新幹線のスタンダードを最初に完成させた名車の廃車・・・。700系の廃車はすでに始まっていることだし、C11編成の廃車は時間の問題となっていたことは火を見るよりも明らかだったはずだ。なのに・・・この寂しさはなんなのだろうか。

「・・・鉄道ファンの無形文化遺産かぁ・・・。」

13年という短い新幹線の寿命。僕はそれとその残酷さを初めて実感せざるを得なかった。

 17時17分。700系7000番台で僕は博多南(はかたみなみ)を発った。

 そういえば夏の臨時列車の中に「ひぞみ」ダイヤの「ひかりRail(レール) Star(スター)576号」が設定されていたな。日付が合えばそれに乗っておこうかな・・・。これも今年で17歳になるからな・・・。


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