伍 続2日目午後
静かな空気が流れていた。
寝室ーーー。
改めて手を見つめる。
何もついてない白い手。
でもそこには死が染み付いている。
私が投票で殺した人、私の前で投票で死んだ人、そして…非常口...。
馬鹿で、情けなくて...結局何も変わらなくて...いや変わったか。
32人が...6人に減ったな…。
「月見里のバック...か...」
誰、なんだろう。
あと数週間。なんで数週間あけるのか。
「もう...わかんない…」
脳の回転スピードが呆れるくらい遅い。
「覇月」
「...ん?あ、結未」
「数週間、あける理由って...私なりに考えたんだけど」
「うん」
「まだ...その...殺し合い。...するんじゃないかな」
「あっ...たしかに」
納得がいく。さすが結未。
「すごく縁起が悪くて...あれだけど、私がそっちの人だったら…さっさとネタばらしするか、殺し合いさせる。...あ、なんかごめんね。今のは忘れて」
「ううん、全然大丈夫。むしろそれくらい考えておかないと...痛い目にあうしね」
殺し合い...か。次は誰かな。
知らない人の方がダメージは少ない。
だから知らない人...いや、こんな考えは多分...打ち砕かれるから、しない方がいい。
じゃないと…壊れる。
心が...崩壊する。
ばたん。
ドアが開いた。
生き残りはここに全員いる。てことは、あいつらか。
「へー全員ここにいてくれたんだ。...数日ぶりだね。どうかな。死には慣れた?」
「黙れこの野郎...ッ!」
月見里...奏一をキレさせた…。
と言いつつ私も相当キレてた。
「あんまり巫山戯たこと言うんじゃねぇぞ...」
咲矢も...ミルティも、玲奈も結未も。
ずっと溜めてた怒りの堤防が...こいつらがここに来たことで...。
「壊れた」
「 what?」
「あんた達のせいで...全部...みんな......壊れたッッ!!!!!!」
もう限界だった。
バックとか上とか、いたとしてもここにはこいつしかいない。
「上司が悪くても今私の前にいるのはお前だっ!!!!!」
「うるさい。あと、"あんた"か"おまえ"か統一して。気持ち悪い。できればお前の方が嬉しいね。お前って言うのは神仏、貴族を敬う大前が転じて御前になったものだから」
ガシッ。
「それと、胸倉を掴まないでほしいかな。少し話しにくいし、僕が手を出したら覇月も危ない」
「あんた達が死ぬか私達を解放して。じゃないと」「じゃないと実力行使する、かな。あーもう...うるさいな。どうしてこう単純思考なの?何回言わせれば分かる?...うるさい」
なにがうるさい、だよ。
なんでそんなに冷静なんだよ!
「で結局実力行使すればいい...かな?」
「結局...私達のことわかってないじゃない!だったら...あんたなんか殺してやる...!!お前達なんかっいなければよかったッッッ!!!!」
ミルティ!
次の瞬間、ミルティが月見里の部下の顎に蹴りを入れていた。
「がぁっ!!」
ばたん。
おそらく脳震盪を起こしたのだろう。
「いいよ。散々心を踏みにじった代償はきっちりいただくよ!!」
「チッ...これだから単純思考は困る。おい、おめーら、死なない程度に意識を奪っといて」
『うす!』
「死なない程度?それなら殺しなさいよ!そんなに甘い理由なんてどこにあるんだよ!」
ドスッ。
「ミルティ!」
2人目を転がしたミルティの手を思わず握る。
「覇月ッ...。離して」
「ミルティ、おちついて。おかしくなってる」
「くっ...だって...」
「おちついて...。これ以上死んでほしくないって言ったのはミルティでしょ。それなのに自暴自棄になってどうする」
「......」
「ここで生きないと死んだ人に面目がたたない。...だからここは我慢して」
「...そだね。ごめん」
ひとまず落ち着いたミルティの手を離す。
いつの間にか月見里の引き連れてた部下の数が増えていた。
月見里いれて6人。
1人づつか。
「本部棟に連れてくよ。...いいね?」
「...?」
私は5人を見る。みんな頷いた。
「どうぞ。さっさと本部棟に連れてって」
「うん」
それぞれに覆面の...おそらく...というかどう考えても男...が近づく。
私のところに月見里が来る。
「君については僕が決着をつける。...ていってもわかんないか。ちょっと我慢してね」
我慢も何も...どうせ腹パンか脳震盪かなんかするんだろうから、否応なしにすればいいのに。
「数週間だっけ…死んでも教えなさい」
「そのつもりで。じゃぁおやすみ」
熱いな。
腹部が...なんか…熱い…....。
*********
「...眩しい」
真っ先に目に入ったのは…。
「なに...何処ここ...」
白い壁と。
「ここ何処、だろ。語順間違えるな」
私達を見下ろす3人の実習生ーーー月見里、上田、小木曽ーーーだった。
やっと1章終わっったーー!!!
でもまだまだ行きますよ!
編集長の締切なんかガン無視で...みこと、痛い、ガン無視しないから叩かないでくれ...2章も頑張りマース☆