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全てが俺にやれと言っているようじゃないか

 自らその技術に目をつけ、出資して作り上げた。

 となると、ありすは山城のお父様にとっては、自分の子供のように大切なものかも知れない。

 そんなありすを機能しなくしてしまうと言う事は、つまり山城のお父様への明確な反逆と受け取られてしまう可能性が高い。

 俺の未来の姿が大久保と重なった。明日は我が身だ。


 だが、ここで「ごめんなさい」なんて言って、ありすや有栖川の前から消え去るなんて、男としてできやしない。

 その想いに続いて、変なプライドを持つと人生棒に振るぞ! と言う言葉が頭によぎった。


 「ふぅー」と大きく息を吐き出して、心を落ち着かせてみた。


 「なので、山城家のICカードランク2以上なら可能だけど、そんなもの持っているの?」


 俺の思考などおかまいなしに、ありすは言葉を続けていた。

 つまり、俺ならできる。そう言うことだ。


 それを聞かされた瞬間、こんな言葉が俺の頭の中に甦ってきた。

 決められた未来。

 まるで、俺がありすからクローン少女たちを救い出すことは、運命によって決められていたみたいじゃないか。


 宮島やよい5号の願いで訪れた寺下産業で見たクローンの惨状。そして、そこで手に入れた幼い有栖川のクローン。

 彼女がいなければ、有栖川とこんな風にかかわる事は無かったはずだ。


 大久保のばかな行動で、手に入れた有栖川のクローン。

 彼女がいなければ、彼女を身代りにして、有栖川をここに連れて来る事もできなかったはずだ。


 俺の身分なら、セキュリティフリーと言ってもいいこの研究所のセキュリティシステム。


 全てが俺にやれと言っているようじゃないか。

 どれか一つがかみ合わなければ、俺はここに立ってはいないのに。これが、1年の時を遡ってきた俺の運命なのかも知れない。


 「ランク2のカード。それが持ってたりするんだな」


 そう言って、俺はありすが言った部屋を目指して歩き始めた。そんな俺の後を有栖川と佳織が付いてくる。


 「警備員は?」

 「全員、眠ってもらってるけど」


 つまんなさそうに佳織が言った。どうやら、佳織を満足させるほど強くはなかったようだ。


 「有栖川。で、それでどうやるんだ?」

 「その装置を動かせるのなら、私に任せておいて」

 「金槌の代わりになるのか?」

 「そ、そ、それはあんたがそんなカード持った奴だって、知らなかったからでしょ」


 俺の半分からかい気分の質問に、有栖川は真っ赤な顔で答えた。

 有栖川はランク2の意味を知っていないはずだ。知っていれば、すみれ子を見る時のような敵意を俺に向けてきてもおかしくない。

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