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破壊されていくクローン製造装置

 俺を抱えていた男たちも立ち止まり、背後を振り返った。

 指示を出したのは俺だけに、何が起きたのか、おおよその事は想像がついていたが、俺も体をよじり背後を振り返ってみた。


 廊下の左側に広がるガラスの一部が砕け散り、廊下にその破片が散乱し、きらきらと輝いている。

 とは言え、その量は少なく、廊下側から外側に向かって力が加わった事が見て取れる。


 佳織に蹴り飛ばされた東原がガラスを突き破った。そう言う事だろう。

 そして、その場に佳織の姿はない。

 佳織も東原を追って、B2に飛び降りたに違いない。 


 大久保とすみれ子、そして廊下にいた男たちが階下を覗き込もうと、ガラスに走り寄った。


 「うわぁ。何て事をしてくれるんだ」

 「設備がむちゃくちゃじゃないか」


 大久保のまわりにいる男たちから、そんな声が聞こえてきた。

 そんな言葉に混じって、階下からガラスが割れる音や、何かがぶつかるような鈍い音が聞こえてくる。

 いや、それだけではない。

 階下にいるここの職員なんだろうか、聞き取れないが、何かわめき散らしているようでもある。


 俺の位置からは階下の様子は見えないが、かなり二人は暴れているらしい。

 きっと、俺の期待通り、ここのクローン製造設備を当分の間稼働できないくらいの損傷を与えてくれるはずだ。


 俺の佳織への指示の一つは、これが罠であり、東原と戦う事となった場合、どさくさに紛れて、クローン製造装置を破壊してしまえと言う事だった。


 俺を抱えた二人の男たちも階下の騒動に気をとられている。

 エレベーターの階表示がB1に近づいてきている事に気付いていない。


 俺は佳織のさっきの言葉から、その中に乗っている人物を予想していた。

 この扉が開いた瞬間が、大久保の最後である。

 俺を追い落とそうとして、下手な芝居を組んだ結果が、もうじき出る。


 エレベーターの階表示がB1に到達し、短い電子音がエレベーターの到着を告げた。

 その音で、俺を抱え込んでいた男たちが、エレベーターに目を向けた。


 ゆっくりと開くエレベーターのドア。


 そこから現れたのは、大きな体格をほぼ黒と言っていい色のスーツで包みこみ、黒いサングラスでその表情を隠した男たち。

 二人。

 そう思っていた俺の予想はよい方に裏切られた。

 エレベーターにいかつい男たちの壁ができている。

 その人数は6人。

 もちろん、ヒューマノイドだ。

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