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男たちの正体と佳織の悪だくみ

 俺たちの頭の上の空はかなり赤くなってきていた。空の端の方では闇も近づいてきている。

 元々人通りの少ない公園の中はますます人気は無さそうだ。


 宮島の家の遺産を継ぐ事はなくなったが、正式な人間となり、ある意味自由を手に入れた里保はただ並んで歩いているだけだと言うのに、何だか嬉しそうだ。

 そんな里保を見ていると俺もうれしくなってくる。気が緩んでしまった俺は、さっきから気になっていた言葉を口に出してしまった。


 「しかしだ。奴らは宮島やよいをさらって、どうする気だったんだろう」

 「気になるんだぁ」


 佳織が嬉しそうだ。

 何か分かったんだ。

 それはきっと、あの車のナンバーから何かを割り出したに違いない。


 「私も気になります。私より先にいなくなった私の姉妹はどうなったんでしょうか?

 どこかで、こき使われているんでしょうか?

 助けてあげられるのなら、助けてあげたいです」


 里保が力を込めている。

 姉妹。

 正直、違和感があるが、まあ人間の関係で言えば、そうなるかも知れない。


 「何か分かったんだろ?」


 佳織に率直にたずねてみた。

 一体、どんな言葉が飛び出してくるのか?

 俺は佳織の返事を待った。


 「里保のためなんだからね」

 「分かったよ。で、何が分かったんだ?」

 「あの車の所有者は法人 寺下産業。つまりあれは社有車。

 でね、近々に東海化学精製所から、裏の物をサンプルとして、一つ納入することになっているのよね」


 東海化学精製所。

 とんでもない会社が出てきた。

 この会社は山城財閥に属する会社で、裏ではクローンを製造している。

 敵に回すと、とんでもない事になりかねない。


 佳織はその東海化学精製所がクローン一体を近々寺下産業に、納入すると言っているのだ。


 「うーん」


 俺がどうすべきかと悩んでいると、佳織が俺の前に回り込んできた。

 その表情はにこにこ状態だ。

 何かとんでもない悪だくみをしているらしい。


 「西野さんって、どうしてそんな事が分かったんですか?」


 佳織が悪だくみを話す前に、里保が聞いてきた。

 こいつの力を知っていなければ、当然の質問だ。


 「あ、こいつ、スマホ操るのうまいんだ。ささっと、ネットにアクセスして調べたって訳」


 俺は結構真面目な顔つきを作って、そう答えてみた。

 次に出てくる質問とすれば、いつスマホを操作したんですか? とか、それだけでは分からないのでは? つまり、ハッキング? と言う問いかけか、裏の物って何? ってところだ。


 だが、里保はそれだけで納得したのか、聞いてはいけないと感じたのかは知らないが、「ふーん」と言ったきり、次の質問はしてこなかった。

 まずは何よりだ。俺は再び佳織に視線を戻した。


 「で、どうしようって?」


 佳織は一度、にへらとしたかと思うと、目を輝かせ、うれしそうにとんでもない話を始めた。

 俺は佳織のその話にあんぐり状態だ。里保も驚いた顔で、呆然としている。


 「犯罪すれすれなんじゃね?」

 「そっかぁ。かもね」


 そっかぁじゃねぇだろ。

 そう思っている時、人の気配を感じた。

 何人もの人が走って近づいてきている。

 昨日の今日だ。これは危険だ。

 そう思った俺は里保を背後に回して、植栽の前に立ち止まった。


 「どうしたんですか?」


 突然の出来事に里保の声に、少し怯えが混じっていた。


 「大丈夫だから、安心して」


 それだけ言って、俺は道の左右の様子をうかがった。

 佳織は気づいているはずだが、道の真ん中に立っていて、俺ににこりとした。


 両側から俺たちを挟み撃ちにしようと、何人もの男たちがやって来た。

 その中の三人は昨日の男たちだった。

 昨日やられた仕返しか、それとも田島か誰かの再度の命令なのかは知らないが、手にはナイフを持っている。


 あっという間に、俺たちは総勢10名もの男たちに取り囲まれた。


 「よう。昨日はよくもやってくれたな」


 そう言って、にやついているのは昨日の男の一人だ。

 その言葉と同時に、一人の男が佳織の背後からナイフを持つ手を回して、佳織の頬にナイフをぴたぴたと当てながら言った。


 「大人しくしていないと、こいつのきれいな顔が傷物になるぜ」


 そう言って、けたけたと笑い出した。


 「終わった」


 俺はそう呟いて、肩を落とし、視線を地面に落とした。

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