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強引な男たち

 彼女は宮島やよい5号改め、上杉里保。


 俺が頼んで作り上げた人物。

 住民票はもちろん戸籍もある。

 当然、生徒手帳も完備している。

 もはや、彼女は戸籍上存在しないクローンではなく、戸籍を持った人間である。

 一瞬、男たちは戸惑った表情をした後、少し怒りを露わにした。


 「嘘を言うんじゃない。

 乗るんだ」


 威嚇気味の強い口調。それも焦っているのか早口だ。


 「里保、どうしたの?」


 佳織が声をかけた。

 「あっ」的な表情で、里保が佳織に目を向けた。


 「里保?どう言うことなんだ?」そんな怪訝な顔つきで、男たちは戸惑っている。


 「分かんないのよ。この人たち、私の事を宮島やよいだって言うんだよね」

 「はい?

 何で、お前が宮島やよいなんだよ。生徒手帳、見せてやれよ」


 まずはこれだ。俺がそう言って、男たちの出方を探る。


 「あ、そうか」


 里保がそう言って、ポケットをまさぐって、生徒手帳を取り出すと、さっと男たちの顔の前に突き出した。

 男たちはその生徒手帳に目を点にしている。

 顔写真入り、正真正銘のこの学園の生徒手帳だ。


 「どう言う事だ?」

 「どうもうこうもないわよ。私は上杉里保。分かる?」


 そう言って、里保が男たちの手から生徒手帳を奪い去るかのようにして、取り返した。


 「分からんが、連れて行くしかないだろう。お金は払っているんだ」


 お金をもらって、引き取るのではなく、払っている。

 俺はそこに少しひっかかった。

 こいつらが所属している組織は、お金を払ってでもクローンが欲しいのだ。

 いや、若い女の子目的か?

 俺の思考が男たちの目的の分析に集中している内に、男たちが再び里保の腕をつかんだ。

 諦めの悪い奴らである。


 「嫌よ。何するの?」


 里保が体をよじって必死に抵抗した。

 その里保を掴んでいる男の腕を佳織が掴んだ。

 にこりと微笑みを男に向けたかと思うと、その腕を締め上げた。

 実力行使は不本意だが、場合によってはそれも選択肢の中にある。


 「痛て、て、て、て」


 悲鳴のような声を上げて、里保を掴んでいた手を離した。

 そんな時、近づいて来る車の気配を背後に感じた。

 「来たか?」そう思った俺が振り返る。


 対向車線上を近づいてやって来るのは白色の高級車ポールスポイス。

 男たちも動きを止めて、その車に目を向けている。

 その目つきは険しく、動物的に嫌な予感を感じ取っているようだ。


 やがて、その車は減速し、俺たちの場所に停車した。

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