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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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2/6

2.初めて出会ったときから(アレクシス目線)

初めて彼女を見た瞬間、私は思った


――危ういな、と


王城の大広間

人間関係、恋愛模様、利害、裏切り

全てが行われているこの場所で、彼女はあまりにも浮いていた


壁際

人の流れから離れた位置

視線は低く、背を縮め、誰にも見つからないように息をしている

社交界に向かない人間だ

それは弱点であると同時に正しく扱えば何よりも高い価値になる


彼女がペンダントをしているのに気づく

控えめだが細工の凝らした美しいものだった

よく見るとペンダントの模様は家紋のようにも見える


(ヴァルグレイヴ家の令嬢か)


家格は中堅

敵にも味方にもなり得る、扱いやすい立場

だが、私の興味を引いたのは家名ではない


彼女自身だ


背が低く、飴色の髪でブラウンの瞳

丸みを帯びた輪郭

自信なさげな雰囲気


だが、あの瞳

怯えているが濁っていない


自己評価が低い人間を多くみてきたが、彼女は少し違う

自分に価値があるという可能性そのものを最初から考慮していない

だから他の貴族たちと関りを持っていないのだろう

純粋で穢れを知らない


故に危うい


私は自然な流れで彼女に近づいた

下心を感じさせない距離、理由のある接触

人を操るうえで最も重要なのは「安心」だ

案の定、彼女は素直に反応した

警戒しながらも、逃げない

礼を言い、視線を伏せ、しかし耳は私の言葉を逃さない


(……可愛いな)


ふと、そう思った

自分の中にこんな感情があったとはと驚く

そして、この感情を持った相手を放っておくのは厄介な事になると、すぐさに思考を巡らす


彼女が私の名を聞いて息を呑む

噂は知っている

恐れている

それでも、拒絶しない


「正直だ

好感が持てる」


それは半分本音だった

もう半分は、彼女の心の扉を一枚外すための言葉

案の定、彼女は赤くなり、戸惑い、嬉しさを隠しきれない


(……あぁ、この人は、褒められることに慣れてない)

ならば、彼女が自分の価値を


『私を通して』


知るように、少しづつ与えてやればいい


「もしよければ、少しだけお話ししませんか

あちらの、もう少し静かな場所で

貴女のような方はこの喧騒から離れた場所の方が合います」


そう提案したのは計算でもあり、少しの下心もあった


静けさは心を近づける

逃げ場を減らす

彼女は断らないだろう

案の定、小さく頷いた


――もう、逃がさない


これは一時の興味ではない

彼女は私の人生に必要だ


誰にも踏みにじられず

誰にも奪われず

私だけが正しく価値を与えられる

彼女のような人は、軽く扱われると壊れる

だから私は、重く、深く、逃げ場なく愛する


夜会の喧騒から離れる廊下で彼女が安心したように小さく息を吐いたのを見て胸の奥に、静かな満足が広がった


彼女は気づいていない

初めて出会ったこの瞬間から

貴方の未来はすでに私の掌の中にある

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