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第26話:新たな日常

街は静かに息を吹き返していた。

瓦の破片は掃かれ、井戸の水は清らかに澄み、街灯は昼の光に負けない穏やかな輝きを放つ。

人々の足取りは軽く、笑顔が戻り、子供たちは広場で元気に駆け回る。

親たちも微笑みながら、安心して子供たちを見守った。


城内のカインは、深く息をつきながら窓の外の景色を眺める。

「……すべて、聖女のおかげだ……」

怒りや苛立ちは消え、後悔も静かに受け入れに変わる。

己の力だけでは守れなかった世界を、リリエルが守り抜いた事実を、ようやく噛み締めていた。


レオンハルトもまた、街を見下ろし、静かに頷く。

「これからは……彼女と共に歩むべきだな」

潜在的な理解が確信に変わり、二人の勇者は静かな決意を胸に刻んだ。


街角でリリエルは立ち止まり、微かに空を見上げる。

微笑むことはないが、目には確かな安堵と、次なる歩みへの覚悟が宿っていた。

「世界は守った。でも、これで終わりではない……」

静かに、しかし揺るがぬ意志を胸に、彼女は歩き出す。


広場では子供たちが笑い、老人は杖を支えながら微笑む。

瓦の修復作業が進み、商店は活気を取り戻し、人々の声が街全体に満ちる。

誰も気づかない――しかし、この平穏こそ、リリエルがもたらした奇跡だった。


夜になり、街灯が温かく灯る頃、カインとレオンハルトは街の中心で立ち止まる。

「聖女……本当に、ありがとう」

互いに無言で頷く。言葉は不要だった。

すべては目の前の聖女が、静かに、確実に守ってくれた。


リリエルは街の静寂を見渡し、次なる旅路を考える。

この世界にはまだ救うべき人々がいる。

この手で、未来を繋ぐ――その決意だけを胸に、聖女は今日も静かに歩き出す。

その背中に、世界は深い感謝と希望を抱き、静かに息を吹き返していた。


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