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7.”カラオケ”らしい

 こんにちは。堺 三春です。


 中学時代は友達も居らず部活も無所属。行事にも特別積極的に参加する訳でもない。そんな学生でした。


 しかし、高校生になった私は今…カラオケで最初にマイクを持ってしまいました。しかし、ここはカラオケであり、カラオケではありません。実際、私たちは第一準備室から一歩も動いておりません。


 ではなぜ?…そうです。異能の仕業です。



——


 瑞波先輩の異能、空間を作り出す異能。


 この世にあるあらゆる物をできる限り再現できるという、かなりバランスブレイカーな性能をここまで見るとしている。しかし、それは瑞波先輩の賢さによるもの。頭の中で設計図を作成して、それを忠実に再現し、構築しているのだ。それは、常人では現実的ではない精神力と集中力を要する。

 しかし、どこでもできる、と言うわけではないらしい。第一準備室にある謎の仏壇。これが発動するためのトリガーとなっているらしい。


——



 そんなカラオケに断り切れなかった私は「はい」か「yes」しか選択肢が無かったのです。


 そして部活をほったらかして今に至る。椿さんは用事のため来ませんでした。


 しっかし…これ凄いですね。ふっかふかのソファに、テーブル…その上にあるタンバリンに清涼飲料水。そして曲を予約するためのタブレット…まるで本当に来ているみたいです。



 ちなみに、実を言うとわたくし、歌が全くと言っていいほど下手なのです。そもそも、友人はおろか知り合いもいなかったため、カラオケに行った事が無いのです。音楽の授業も合唱祭もあまりまともに歌っていなかったため、どうなるか、と言いますと…



「50点…は、初めてだからねっ。しょうがないよねっ」

「そ、そうだな。誰だって初めはそんな感じだ。き、気にするな」

「そうです三春ちゃん…この採点機能、次回からもっとしっかりと作るから。ね?」



 葵先輩に付けてもらった採点機能の結果を見て絶望している私に先輩から励ましの言葉をいただいてしまう、と言う事になります。


 しかし、私知っています。カラオケはいくら下手でも60,70点は行くって、知っています。

 一応、自分が好きな曲を歌ったのですが…音程を外すやらそもそも歌詞のリズムが違うやら…はっきり言って人に見せられない歌声でした。先輩に見られている。と言うプレッシャーもあったのでしょうが、この有様を見ると…それだけ私って、ダメだったのですか…AIの忖度すら通り越した結果に、私は悲しくなってきました。



「私のことは別に良いので次歌って下さい…」シクシク

「あーこりゃダメだわ。再起動まで動かなそう」



 ソファに寄っかかってグデ〜としている私を見て、仕方がなく葵先輩はマイクを持った。



「ちょっと待って俺に先歌わせろ」

「だーめ。早い者勝ち〜!」



 そう言って葵先輩はマイクを勝ち取り、タブレットに曲を予約して歌い始める。一昔前の名曲だった。


 その歌声は、とても「素敵」だけでは形容し難い、美しい声だった。歌を歌っている時に、葵先輩の周りに白いパーティクルが漂っているように見える。コウ先輩から「これだからコイツの後に歌いたくないんだよ…」と、聞こえてきた。



ふと、さっきの葵先輩とは違う『何か』を感じた。椿さんに似た『何か』が…




 その歌声に見惚れていたら、曲はもう終わっていた。採点機能は95点だった。あっちから見ても恐ろしいほどの歌唱力なのだろう。



「さて、私の異能なんだと思う?」

「えっと…歌が上手くなる異能とかですか?」

「違うんだなーそれが」



 葵先輩がそう言った。



「私の異能はね———

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