3.【SF部】
私は、第一準備室に着いた。
第一準備室は、いわば物置だ。
体育祭で使用される大玉小玉、また各団を象徴する団旗や文化祭で使われる段ボールや文房具が置いてある。
そして、それ以外にも”とある部活”をここでやっている。
それは---ん?何かが扉の奥から聞こえてくる。
「だーかーらー……だって…」
「いーや…だから…」
ところどころしか聞こえないが、陽気な声と落ち着いた声が聞こえた。
声質的に椿さんではないが、きっと部として活動しているのだろう。
…。
私は扉の前で(詳しく言うと扉の中央の窓から少し離れて)立ち止まっていた。
そう。わたくし、堺 三春は長年まともにこの様な事をした事がないがために、「どの様に入室すれば良いか」と悩んでいるのだ。
その長さは、某プロ棋士の次の一手に匹敵すると言っても過言ではない。(過言である)
その時、
「何をしているのですか?」
と、背後から穏やかな声が聞こえた。振り向くと、そこには椿さんがいた。今度はしっかりと笑っている。
「え、あ、え〜と…」
私は急に彼女が来た驚きで言葉が出なかった。そんな私のことをスルーして、「入りますよ」と言い、ドアを開けた。
中には二人いた。一人は金髪の見るからに明るそうな女性。一人は赤色が入っている髪が特徴的な、チャラそうな男性。
そして、教室の中心には、ビーカーの中から太い木の枝のような、結晶のような物が出てきていて、それが天井にまで張り付いていた。こちらもキラキラしている。不思議だ。
「あ、ツキちゃんやっときた!」
すると、金髪の人がこちらに来た。
「みてよー、コウくんが勝手に化学反応起こしてこんなのになっちゃったよ!」
「うっせーな!お前もその傘下に入っていただろ!」
「お、お、落ち着いて下さい!」
そこにもう一人の声がした。
声の方向を見ると、少女がいた。さっきは見えていなかったが、もう一人いたらしい。眼鏡をかけている背の小さい黒髪の少女だった。どうやら段ボールの後ろにいたらしい。
「先輩さん。今日ぐらい言い争いはやめてください。本日は新人さんを連れてきたのですから。」
椿さんがそう言い、この場にいる人の視線は彼女…の隣にいる私に向かった。
私は困惑した。ここが一体何なのか、何故ここに招待されたのか…
「…もしかしてツキちゃん。ここが何なのか言っていない…?」
「………」
椿さんは目線を泳がせた
「…そうなんだ?じゃぁ〜新人さん!」
そう言って金髪の女の子がこちらを改めて向いて、満面の笑みで、
「ようこそ!【SF部】へ!」




