Sheet6:エピローグ
日曜日。
猫のオムを迎え入れてから、以前のように昼近くまで惰眠を貪る生活は出来なくなったアキラとエル。それでも世間並みというか、まあまあ自堕落な朝を過ごしていた。
先週の謎解きクイズの一件から、様々なクイズにハマっているエル。特にアナグラムやクロスワードといった言葉遊びが日本語の勉強になるといって、今朝(といっても9時を過ぎていたが)も起きがけからネットで色々拾ってきては楽しんでいる。
「ねぇアキラ、『絵と額、安いわ』」唐突に問いかけるエル。
「ん?何?」
「『えとがくやすいわ』ヒントは戦国武将です」こう言うエルは戦国武将のことはよく分かっていない。
アキラは寝起きの頭をフル回転させる。
「うー、えとがく、えとがく…分かった!『徳川家康』だ」
「正解!凄いねアキラ。私、この世界の歴史とかあんまり分かっていないからなぁ」エルは残念そうに呟く。
「まぁ、家康はメジャー中のメジャーだからな。俺だって戦国武将の名前なんて、十人言えるか怪しいもんだぜ」
「でも分からない問題でも一つやれば一つ知識が身に付く。だから楽しいよ"アナルグラム"」
「だから"アナグラム"な。"ル"は要らないの」
「あぁ、ごめん。でもこないだもそうだけど、やたら必死に訂正しない?」エルは不思議そうに言う。
「…『アナル』を調べてみな」アキラがぼそっと言う。
言われるままにネット検索するエル。
「えーと…」検索結果に二の句が継げなくなり、固まるエル。
「な、分かったか…ちょっ、画像のセーフサーチをオフにすんな!」焦るアキラ。
「いや、俺だって中高生じゃあるまいし、そんなもんで動揺する歳じゃねぇんだが…」アキラが弁明する。
「他の世界から来た人に、こっちの世界の恥ずかしいところ見られてるようで何かそわそわすんだよな」
「『キョーカンセーシューチ』ってやつかな」エルが言う。
「おま、何で徳川家康知らないで共感性羞恥知ってんだよ。ホント分かんねぇなw」
「ナ〜ゴ」そろそろご飯をくださいと言わんばかりにオムが鳴く。
「オムちゃん、ご飯食べたいの?」エルがキャットフードを取りに行く。
「俺たちもメシにするか」アキラは大きく伸びをすると、階下の厨房へコーヒーを淹れに行った。
〈完〉




