Sheet3:VTuberアイドル
イベンターの山藤へクイズの作問協力を申し出てから二日後、感謝の返信とともにイベントの骨子とサンプルクイズが届いた。
金曜日ということもあり、薔薇筆と育美も早々に店に駆けつけた。
川口はさらに早く、開店と同時に到着し、即座に猫のオムがいる二階へ向かった。
メンバーがそろったので、川口には降りてきてもらったが、オムとの別れが名残惜しそうだった。
アキラはカラオケモニターに映し出されたメールを見ながら言った。「アイドル失踪事件という設定で始まるみたいだね」
イベント概要
タイトル:『消えたNIJI嬢を探せ!』
プロローグ:
七人組VTuberアイドル『NIJI嬢』のリーダー、"赤井ほのか"がある日突如として姿を消した。自室のPCはスリープ状態で、解除すると不可解なエクセルファイルが残されていた。このファイルには、メッセージが隠されているのではないかと推測された。
「みんな同じ顔じゃねぇか」川口は添付された画像を見て言った。
アキラは、いつものように川口をからかおうと「グッさん、アイドルグループの顔が区別できないのは老化の始まり...」と言いかけたが、自分も同じように見えることに気づいた。「って、本当だ」
CGで作られているのだから、ベースの素体が同じなのだろう。
育美がサブカル好きらしい分析を始めた。「グループ名は虹色と二次元をかけているみたいですね。虹かける二次、つまりニジ二乗で、NIJIJOUってところでしょうか」
その説明は説得力があった。
薔薇筆は待ちきれない様子で続けた。「"筑紫そのか"、"黄前このみ"、"緑川りょう"...メンバーカラーが名前になっているのか。分かりやすいね」そして、アキラに尋ねた。「ところで、クイズになっているエクセルは開いてみました?」
「ペンちゃんより先に見ちゃ悪いかなと思って、まだ開いてないんだ」アキラはそう言いながら、件のファイルを開いた。
「えっ、これだけですか?」薔薇筆は拍子抜けしたような口調で、誰に言うともなく呟いた。
画面に映し出されたのは、七色に塗られたセルと、その中に記された五桁の数字。ただそれだけのシートだった。




