1、すずお君の回想
僕は、ある白魔女様の使い魔でふ。
主である白魔女様は名前をサンショー様と言いまふ。サンショー様は師であるブランカ様から、大魔女の名前と魔力を受け継がれまひた。何故かというと、ブランカ様が主の旦那さんであるソルトさんの友人、グリーンさんと結婚したからでふね。人間と婚姻すると、大魔女は魔力を粗方失うらしいでふ。だから、サンショー様が後を継いだのでひた。
使い魔だったクレアさんは今は行方知れずでふ。僕も彼女の魔力を何度か、探ってみたけど。分からずじまいでひた。ブランカ様は「あの子なら大丈夫よ」と言っていまひたが。僕は心配でふね。元気にしていたら、いいんだけど。そんなこんなで今日も忙しいのでありまひた。
そういえば、サンショー様についてでふが。何故、人間と結婚しているのに大魔女になれたのか?
これは、僕にも最初はよくわからなかったんでふね。けど、ブランカ様やグリーンさんに訊いたら、教えてくれまひた。
『……サンショーちゃんはね、特別なの。あの子は私の弟子の中でも魔力がダントツに強くてね。しかも、サンショーちゃんのお父さんは有名な魔術師だったし。まあ、旦那さんのソルトさんもただの人間じゃないわよ』
『そうなんでふか?』
『ああ、ソルトは半分精霊の血が入っていてな。サンショーさんの魔力を封印するに当たって、協力してもらった事がある。だから、大魔女にもなれたんだ』
僕は目からウロコでひた。まさか、ソルトさんが精霊の血を引いていたとは。その後もブランカさんはいろんな事を教えてくれまひたね。
確か、ソルトさんのお父さんが精霊で。お母さんは人間だったとか。サンショー様はお父さんが人間で、お母さんは魔女だったそうでふ。だからなのかと納得できまひた。
そんな事を回想しながら、小さなベッドでウトウトしていまふ。僕はポカポカ陽気の中、主の寝室にて昼寝を満喫していまひた。
「……すずお、こんな所にいたの。ちょっと、来なさい」
『どうかしまひたか?』
「また、新しい薬を作ったの。今度はあんたをイケおじに変える力作よ!」
『い、嫌でふ!!若いお兄さんで十分でふよ!!』
全力で嫌がると主は仕方ないと諦めたのか、寝室を出て行きまひた。ふう、危なかったでふ。僕は胸を撫で下ろひまひた。
翌日、僕は珍しくソルトさんと庭にて日向ぼっこをしまひた。ソルトさんは僕を膝の上に乗っけてくれてまふ。
「うん、今日も天気が良いな」
『そうでふね』
「すずお、今からちょっと散歩に行こうか?」
『いいでふよ、人型になりまふ』
「……ならなくてもいいよ、俺が抱えていくから」
『わかりまひた』
仕方ないのでソルトさんに抱っこされながら、散歩をしまひた。
ゆっくりとソルトさんは歩きまふ。ゆらゆらと揺られながら、空を見上げまひた。ああ、綺麗な澄んだ青空でふ。サンショー様、変なお薬ばかり作っていないで。たまには景色とかを眺めてくだはい。でないと、僕が生きた心地がしないでふね。そっとモルモットの姿でため息をつきまひた。