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いーすぽっ!  作者: ともP
♠ 現代転生(高校生編❷)
96/151

084. STAGE:0(7)


接敵した瞬間に「あー、アイツか」というのがすぐに分かった。結弦はマウスに力が入りそうになるのを抑えるのに必死だった。


ARCADIAと龍馬ゲーミングの三度目のぶつかり合いは互いに警戒する静かな勝負になった。遮蔽物から顔を出しながら撃ち合い。


 誰もダウンしない、停滞。お互いに一歩も譲らない状況が続いた。そんな互角の状況が続く中、結弦は痺れを切らして突撃しようとする。


(こんなチマチマした戦い方は俺の性分じゃねぇんだよ……)


 結弦はそんなことを思いながら、遮蔽物から身を乗り出して撃ち合いに挑もうとした。その瞬間、ARCADIAのメンバーの一人である舘脇翔也がボイスチャットで「まだだ!」という怒号に近い声で叫ぶ。結弦は一瞬動きを止めて、ボイスチャットで「なんでだよ!」と聞き返すと、「また負けたいのか?」という返事が返ってくる。


 その返事に結弦は苛立ちを覚える。


(あぁ、クソがッ!)


 結弦は心の中でそう吐き捨てると、一旦気持ちを落ち着かせる。この撃ち合いをどうにか打開しようと考えた時に、俺が思いついたのが『顔を出す』という行動だ。


 だが、正面からやり合えば必ず負ける。翔也はそれを一から説明しないと分からないのかと言わんばかりに「また負けたいのか?」と言ってきた。


 二度挑んで二度負けた。三度目もありそうなんだからもっと頭を捻れ。


 自分が弱かったことに苛立ちを覚えるのと同時に、なぜ負けたのかを客観的に考えた。悔しいが相手のが撃ち合いの実力は上、正面からやり合えば当然負ける可能性の方が高い。


「突っ込みすぎるな、俺にいい考えがある。この中距離での撃ち合いもあんまり長く持たないから作戦伝えたらすぐに反応してくれ」


 結弦と翔也の会話はボイスチャットだから春風涼太ももちろん聞き取れる。向かい側のチームはトップを走ってるチームのはずだ。戦況が停滞してるのはこっちにとってみれば都合がいい。


「分かった。作戦は聞くから手短に話してくれ」


 作戦を聞いて唖然としたが、悩んでる暇はなかった。


「5、4、3」


 翔也がカウントダウンを始めると春風涼太もそれに合わせて遮蔽物から身を乗り出し、敵チームを迎え撃つ準備をする。


「2、1、結弦、飛び出せ!!」


 翔也はボイスチャットで合図を送ってきたと同時に遮蔽物から飛び出した。遮蔽物を飛び出してすぐにグレネードをセーフティエリアに投げる。


 その瞬間、会場内が歓声に包まれた。結弦に相対するのは絶対に相手のエース。


 翔也の思惑通り、正面から出てきたのは見覚えのある攻めのキャラ「セラフィム」だ。相手のエースのエイムは化物というのがこの二回の接敵で分かった。


 それは結弦もよく分かってるはずだ。


 だからこそ、グレネードを投げた。流石にこれには反応できないだろう。グレネードは味方である結弦に向けて投げられたものだ。


 その爆風によって結弦のキャラは奥の岩場に吹っ飛ばされる。爆風によって超高速に吹っ飛ばされた結弦に対してエイムを合わせていた彼の動きが一瞬だけ止まった。


 その隙を翔也は逃がさなかった。翔也は相手に少しだけダメージを与えるが、直ぐに得意の『ヘッドショット』でダウン状態にさせられる。


(だけど、これでいいんだ。気を紛らわせればそれでいい)


 吹っ飛ばされた岩場から復帰した結弦の銃口が相手のエースを捉えてダウンにする。そして、持ちこたえていた涼太と合流し、龍馬ゲーミングを壊滅に持ち込んだ。


 一進一退の攻防に決着がつき会場は大いに盛り上がる。鳴りやまぬ歓声と共に『ARCADIA』は一気にゲームを終わらせる。安全地帯の中心に集まってきたチームを高台から一気に蹂躙し、試合に勝利した。『ARCADIA』が試合を終えて、ポイントの差は僅差に近づいていた。


「よくあんな作戦思いついたな……。グレネード味方に投げるとか正気の沙汰じゃねぇ」

「でも、上手くいったからいいだろ?」


 春風涼太は翔也が考えた作戦に驚きを隠せなかった。あんな危ない戦い方をするようなタイプじゃないと思ってたし、何よりチームメイトの中で一番の慎重派でそんな作戦を立てるようなことしない。それなのに今回はそれをやった。


 それでも機転を利かせた作戦は大成功だった。結果的に、あの試合で一番の功労者は翔也であることは間違いない。


「普通に撃ち合いしてても負けてたしな。いい作戦だった!」


 珍しく結弦が他人を褒めているのがちょっと意外だった。凌平先生が見たらなんていうかな……。


「会場はすごい盛り上がってるけど、まだここで満足はできないぞ」


 涼太は次の試合も見越してそう呟いた。


「さっきみたいな奇策は一回きりしかできない。相手も対策するだろうしな」


 結弦もそう同意する。あの奇策が上手いことハマるのは最初のマッチアップくらいだろう。次も同じ手を使おうとすれば、逆にこっちがやられる可能性だってある。


「今日の試合はあとひとつか……」

「絶対に勝つ。泣いても笑っても最後だからな。後悔はしたくない」

「そうだな、俺も悔いは残したくない」


 そうこう話しているうちに会場が一段と盛り上がっている。次の試合の準備ができたようだ。さぁ、最終決戦だ。


「絶対に勝つぞ!」

「「おう!!」」

【コラム】

さて、次話がSTAGE:0編のラストとなります。今回の視点は『ARCADIA』ですね。せっかちなキャラである結弦とクレバーな戦い方をする翔也とそれに合わせる涼太。僅差での最終マッチの行方と守月裕樹が最終戦どういうプレイを見せるのか…。お楽しみに♪

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