048. ブロック代表決定戦(1)
中間試験が終わり、テスト結果返却日を迎えていた。俺は成績が載っている紙をジッと眺めている。
(高校最初の試験で赤点取ってたら流石にヤバいからな……)
そんなことを考えながら自分の席に戻ると、芽依がこちらに駆け寄ってきた。
「守月君、どうだった?」
「まあ、悪くはなかったな……。少なくとも赤点は無いぞ」
俺がそう言うと芽依は「そっか」と頷きながら微笑んだ。まあ、中学生の時のような学年一位に躍り出るような快挙はなかったものの……、前世での知識と芽依との勉強会のおかげでクラスで10位以内の好成績ではあった。
高校の勉強も意外とやっていけそうではあるか……。
「芽依はどうだった?」
俺がそう聞くと、芽依は自分の順位が書かれた紙を見せながらこちらに見せてくる。その結果を見ても俺は特に驚きはしなかった。
(総合7位……、流石は優等生だな)
「やっぱり、芽依は頭がいいな」
「そんなことないよ。守月君だって成績悪くなかったし勉強会やってよかったね」
そう言うと、芽依はまたニコッと笑う。この笑顔を見ているとこっちまで穏やかな気持ちになるような気がした。
さて、中間試験も終わり、日本一を争う、高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」の予選がいよいよ始まる。
STAGE:0ブロック代表決定戦は「オンライン」で開催される。
ロースターに登録しているのは、俺、芽依、菜希の三名だ。コーチも登録できるので牧野の名前をチームメンバーに入れておいた。チーム名は「龍馬ゲーミング」である。
ちなみに、全国出場したら、必然的に高知県代表になるんだから高知はいらないでしょと牧野に言われたので高知はつけないでチーム名は登録してある。
また、チーム代表者は芽依にしようと言ったのだが……、なぜか俺にした方がいいという牧野の一声でよく分からんが俺になった。
大会ルールは従来のバトロワゲームとほとんど大差がない。順位ポイント、キルポイントの二種類があり、最終的に獲得した順位ポイントとキルポイントで順位が決まる。
予選は全五回戦あり、合計ポイントが一番高いチームが本戦出場となる。
「さて、じゃあブロック代表決定戦に向けて練習だね」
「あぁ、そうだな」
今日からeスポーツ同好会は試験休みが解除され、通常通り活動できるようになる。牧野がコーチに就任したことにより、彼の提案で多くの実践機会を得られているのは非常にありがたいことだ。
部室に向かうと既に牧野が来ていた。
「来たね、練習始めようか!」
俺も芽依もいつも通り、自身のいつも座っている席に腰掛けて自作パソコンの電源を入れる。暫くして、菜希も部室にやってきた。
「さて、今日の練習は試験期間もあったし、練習量も少なかったから、チーム連携を中心にした練習をしていこう!」
牧野が用意してくれるカスタムがある日はその試合をひたすら繰り返す。メンバーが揃わない日はランクマッチで連携等を意識した練習をするのが最近のルーティンだ。
「予選のレベルがどんな感じなのか正直分からないし、STAGE:0も初の大会運営だからね。どの程度のレベルで行われるのか全く未知数だ」
牧野の言う通り、STAGE:0は初の大会運営で、スポンサーがちゃんとついた大会だ。全国大会になったら生配信される可能性もある。
スタバト部門は全国から900校が参加表明し、参加団体は1200名、人数に起こすと3600名が出場する。
そこから全国への切符を手に入れられるのは僅か20チームだけだ。
「でも、やれることだけはやってまずは直近の代表決定戦で勝ちたいね」
牧野の言葉にみんな頷く。大会まであと1週間と期間は短いがやれることはやっておきたいと思った。練習が終わり、部室を出ると外は暗くなり始めていた。芽依がスマホで時間を確認しながら呟く。
「もうこんな時間かぁ……」
菜希もスマホの時計を見て頷く。学校の部活動と大きく異なるのはeスポーツは家でもチームメンバーと揃って練習ができるという点だ。
「何時からならできそう?」
芽依がそう言うと、俺は顎に手を当てて少し考えた後、答えた。
「うーん……、19時以降なら家に入れるかな……」
「じゃあ、20時からとかでどう?」
芽依がそう聞くと菜希もすぐに頷いた。本番も近いしなチームの連携も取れつつある。予選までにもっと連携に磨きを掛けていきたいところだ。
【専門用語集】
1. ロースター
eスポーツ競技におけるロースターとはeスポーツチームの登録メンバー、首脳陣など、すべてを含む布陣のことである。




