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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この世界は“神”の手の上

作者: ラララキヲ

※ちょっと『ざまぁ』頑張ってみ、ようと思ったけど基準が分からないのでヤバそうなとこ滅茶苦茶削ってみた(;^^)

これくらいならどうかなぁ……(;° ∀° )

※書きたかつたのは“最後”です(笑)

※誤字(誤用)報告、心から感謝します!!





 その日、一人の聖女が秘密裏に処刑された。



 表向きは国外追放。

 美しく優秀な義妹に嫉妬し彼女を殺そうとして、彼女と一緒に居たこの国の王太子を巻き込んだ。義妹が直ぐに気付き二人は無事だったが、王太子の命を危険に晒したとして裁かれた。


 聖女と王太子は婚約者だったが、聖女は身勝手な(・・・・)独占欲から(・・・・・)一方的に(・・・・)義妹に嫉妬していたのだ。王太子はその事に心を痛めており、自分の婚約者の愚行(・・)を義妹に謝罪する為に会っていた(・・・・・)だけ(・・)だったのだが、それすらも聖女は許さなかった。

 それを聖女が否定しても誰も信じることはない。

 当然、聖女と王太子の婚約は破棄された。


 処刑された聖女・ハンナは聖女として抜きん出た聖魔法が使えたが、逆に言えばそれだけしかなかった。

 そのせいでハンナは性格の悪い無能女と常に噂されていた。


─聖魔法しか使えない女

─家の権力を使って第一王子の婚約者を買った女

─心優しい義妹を虐める女

─良い人面して人を騙す裏の顔は醜い女

─人にやらせてその成果を自分の物にしている女

─影で動物を殺しメイドを拷問する女


 何故か皆がその根も葉もない噂(・・・・・・・)を信じた。彼女が何をしても『嘘つき』だと罵られた。それでも彼女は笑って、求める人達に回復魔法を使い続けた。

 彼女とちゃんと会って話をした人達は“本当の彼女”を知り、噂は噂だと訂正して回ったが、それすらも『悪女に騙された可哀想な人』として認知された。彼女を庇う声すらも彼女への攻撃へと変わった。


 国外追放を抵抗もせずに受け入れた彼女に周りは更に激怒した。

 反論しない事が『肯定』だと彼女が乗る馬車に石が投げられた。


 彼女が乗せられた馬車は5人の騎士に見張られながら人里離れた森の中へと入って行った。その馬車を追いかける者は誰も居ない。

 彼女を守るものは何も無い。


 人気のない森の中で馬車を降ろされたハンナは5人の騎士達に犯された。

 5人がかりで途切れる事なく力任せに暴力を受けたハンナは身も心もボロボロになり、自分に回復魔法をかける事も出来なかった。

 そんな彼女に唾を吐いた騎士は嘲笑いながら、まだ微かに動いている彼女の胸に迷いもなく剣を落とした。

 ハンナは土と汚い体液にまみれ、ゴミの様に亡くなった。

 5人の騎士たちは彼女の死体を埋めることなくその場に放置し、やがて彼女の亡骸は魔物の餌になった。


 騎士たちは王城に戻ると全てを王太子であるアイザックに報告した。

 その話を聞いたアイザックは心の底から笑い、その横でアイザックにしなだれかかりながら話を聞いていたハンナの義妹のシャーロットも心底幸せそうに笑った。

 騎士たちも誇らしげに笑った。


 アイザックとシャーロットは邪魔なハンナを排除出来た事に心から喜んで、これから訪れる二人の幸せな未来に話の花を咲かせた。

 アイザックが国王となり、シャーロットが王妃となる。権力と財力の全てを手に入れて誰よりも幸せになる。最高の気分だった。

 二人は盛り上がり、甘い雰囲気の中、体を重ねた。

 二人が最高潮に上り詰めた、その時


 世界が揺れた。


 大地震というレベルでは無い揺れは国中の大地を割り、土をひっくり返した。

 抵抗できずに人々は土の中に呑み込まれ、王城は湧き上がった溶岩に呑み込まれた。


 城にいたアイザックやシャーロット、国王たちは地下から湧き上がってきた溶岩に逃げ場を塞がれ、生きながら足先から焼かれ溶かされていった。

 何故か全員が、頭が溶ける直前まで意識が残ったまま激痛を味わって死んだ。


 しかしその中で不思議な事が起きていた。

 聖女ハンナを殺した騎士たちは、溶岩に体を全て溶かされ頭が溶岩の中に呑み込まれても、何故か頭だけで生きていた。

 途切れる事なく続く激痛に、既に意識が飛んでいてもおかしくはないはずなのに気絶する事はなかった。ただただ無くなった筈の体から激痛が押し寄せる。意識だけはしっかりしていて、だからこそ苦しかった。しかし騎士たち5人はそのまま溶岩の中を頭部1つになった状態で流され続けた。当然誰の助けも望めない。5人はそれぞれバラバラに流され、ただ孤独に、いつ終わるともしれない激痛と絶望の中で生きていた。

 何が起こったのか分からない。

 何でこんな事になったのか分からない。

 何でこんな目に遭っているのか分からない。

 5人の騎士たちは、ただただ死ぬ事だけを切望しながらその後数百年激痛の中で生きる事となる。



 一日で更地のようになった国には運良く生き残った人々が呆然と座り込んでいた。

 全員が自分達がどうやって生き残ったのか分からなかった。

 ただ助かった人々は誰かを恨む事も誰かを責める事もせず、亡くした人たちの事を思い涙しながら、それでも手を取り合って助け合った。


 そこに更に助けの手が伸びる。

 周りの国から聖職者たちが集まったのだ。その集まり方は異常だった。早い者では災害が起きたその日には駆けつけて救助を始めていた。本来ならば数カ月掛かる距離の国から来た聖職者も居た。

 彼らは口々に言った。


『神託が降り、“近い内に国が無くなる、残った者を助けよ”、と神が言われた。私達はその命を受けてここに来た』


 神罰が下ったのだと世界中の人が理解した。


 国が1つ無くなったが、誰一人、その国がどんな罪を犯したのか知る由もなかった。










  〜〜〜〜〜〜〜〜







 ハンナはパチリと目を覚ました。


 目に映る光景にハンナは理解が追いつかずに瞬きを何度か繰り返した。

 自分は馬車に乗っていた。

 国外追放を言い渡されて馬車に乗せられていたはずなのに……、今見えるものは“自分の昔の部屋”だった。

 まだ義妹が来る前の、何も取られていない自分の部屋。大好きだった、大切だった物が飾られたハンナの部屋。

 嬉しさと混乱でハンナはその場を動けないでいた。


「お嬢様」


 コンコンと部屋の扉が鳴らされ、扉の外から声が掛かる。家令の声にハンナは体をビクリとさせて直ぐに返事をした。


「は、はい!?」


 聞き慣れた自分の声よりも高く幼い声にまた驚く。


「お嬢様、申し訳ありません。直ぐに来ていただけますか?」


 家令の少し焦った様な声にハンナは不思議に思う。

 急いで向かった応接間でハンナは久しぶりに叔父夫婦と再会した。叔父夫婦はハンナを見た途端に駆け寄りハンナを両側から抱き締めた。


「大丈夫……大丈夫だからね……」


 優しくて大好きだった叔母様がハンナに囁きながら涙を流すのを見て、ハンナは更に混乱していた。



 ─()にはこんな事なかった!?─



 心の中でハンナは叫んだ。

 混乱して呆然とするハンナに叔父は静かな声で教えてくれた。


「ハンナ、落ち着いて聞いて欲しい……。

 君のお父さんが行方不明になったようだ……どうやら盗賊に襲われたらしい……。


 こんな事まで言っていいのか分からないが……ハンナには知る権利があるだろう……。


 ハンナのお父さんは、再婚する予定だったようだ。

 女性とその娘を連れてこちらに来る途中に襲われて……3人とも行方知れずだ……」


「え……?」


 叔父の言葉にハンナの頭はもう爆発寸前だった。何もかもが()と違う。

 どうやら今日、義母と義妹が家に来る日だったようだが、その全員が居なくなってしまった。

 あれだけハンナを苦しめた存在が居なくなった。それをどんな感情で受け入れればいいのかハンナには分からなかった。


 呆然とするハンナを叔母が抱きしめる。久しぶりに感じたその他人の温もりにハンナの心は少しだけフワッとする。


「わたくしたちが居るわ……

 大丈夫よ……大丈夫だからね……」


 ハンナを抱き締め、髪を優しく撫でてくれる叔母の温もりに、……なんだかハンナはそれ以外の事がどうでもよくなっていた。



 数日後に分かった事は、ハンナの父親たちの乗った馬車が盗賊に襲われて、父親は暴行を受け気絶させられ連れて行かれ、義母と義妹になる予定だった人達も抵抗虚しく連れていかれたらしい。

 何故そんな事が分かるかと問えば、馭者(ぎょしゃ)や護衛騎士数名がその現場を見ていたからだった。盗賊たちは貴族と分かる者だけを連れて行ったようだ。

 ハンナの家は侯爵家だ。

 その侯爵家の護衛騎士であれば貴族出の者も居るはずなのだが、なんとハンナの父は給金の安いあまり腕の良くない平民出の騎士を護衛に選んでいたようだった。

 そのせいで自分の身が危険に晒されたのだから呆れてしまう。

 3人の行方は分からないそうだ。

 顔を潰され誰か分からなくした後で強制労働所に送られるだとか、娼館に送られるだとか、頭のおかしい悪趣味な貴族に売られるだとか……色々言われているらしいが、どれも確証が無いらしい。


 ハンナは前の時(・・・)にあんなに苦しめられた義妹がまた直ぐに戻ってくるんじゃないかと怯えていたが、その不安も直ぐに解消される事になった。


 ハンナの家、ギブソル侯爵家を叔父夫婦が継ぐ事になったからだ。

 侯爵家を放置する訳にもいかず、父の代理で叔父が父の仕事を引き継ぐとそこでとんでもない不正が見つかった。その事を叔父が直ぐに上に報告した事により、父はその身が不明であるにも関わらず罪に問われ、当主の座を下ろされた。そこに父の実弟である叔父が収まり、ハンナは叔父夫婦の養女となった。

 叔父夫婦には息子が居り、ハンナには義兄も出来た。

 前の時(・・・)にはなかった出来事にハンナずっと驚き通しだった。

 そんなハンナを叔父夫婦……義父と義母、それに義兄は優しく温かく接してくれた。ハンナが欲しくても貰えなかったものをたくさんたくさんくれた。ハンナの中に柔らかく温かな物がどんどんと集まって積み重なってハンナの心を温める。

 新しい家族に囲まれて、ハンナは前の時(・・・)には浮かべることのなかった心からの笑顔をその顔に浮かべて笑っていた。

 嬉しかった。

 楽しかった。

 そんなハンナがふと思い出した。

 

 そういえば、前の時(・・・)には婚約者だった第一王子のアイザック様はどうしたのかしら?


 ()のハンナに婚約者はいなかった。義父に直接聞いたから間違いない。

 前の時(・・・)にはハンナが2歳の時にアイザックと婚約者になっていた筈なのにどうしたんだろう?とハンナは不思議に思った。

 不思議に思っただけで、また婚約者になりたいなどとは絶対に思わない。会わないでいいのなら二度とあの顔を見たくないとハンナは思っていた。



 アイザックはちゃんと居た。

 ちゃんと第一王子として生まれていた。ただその体に“問題を持って”生まれていた為に生まれを公表される事はなかった。

 生まれた時からベッドから動けない運命にあった王子を国王は表に出す事はなかった。しかし折角生まれた我が子だ。簡単に殺す事など出来なかった。

 アイザックは生まれを隠され最奥の後宮へと送られた。面倒を見る人たちはちゃんと居たが、母親である王妃は最初こそちゃんとアイザックの元へ通っていたがその足はどんどんと遠ざかり、第二子の王子が生まれると二度と近づく事はなかった。

 国王は最初から近づかなかった。自分が息子を生かす事を選んだのに……。

 

 アイザックには死んだ原因以外の()の記憶があった。その事が更にアイザックを苦しめた。生まれながらに何も知らなければ自分の現状が当たり前(・・・・)になっていただろう。しかしアイザックには自分の足で駆け回った記憶も、好きに遊んだ記憶も、女性と楽しんだ記憶も、臣下を引き連れて威張りちらした記憶も、人々が自分に頭を下げた光景も、自分が国王になると決まった時の高揚感も、全て残っていた。そんなアイザックが今は自分では何一つ出来ずにベッドの上で、誰からもまともに話しかけてももらえない。

 メイドたちは必要な事を終わらせると直ぐに部屋を出て行ってしまう。定期的にアイザックの様子をつまらなそうに確認しに来ては居なくなる。自尊心の塊だったアイザックには堪らなかった。でも逃げ出す事さえ出来ずにアイザックは生きるしかない。


 ─何故こんな俺を生かしたんだ!?─


 生まれてすぐに殺してくれたら良かったのに!!!と、アイザックは一度もその顔を見せない国王を恨み続けた。



 アイザックに恨まれている事を知らない国王は、自分の長男に一度も会いに行かないくせに『問題のある子供でもちゃんと生かす心優しい国王』だと自分に酔っていた。

 跡継ぎ……正式には次男も生まれて国王は幸せだった。

 そろそろ若い側妃でも娶ろうかと思っていた矢先に、他国からの暗殺者に毒を盛られて倒れた。

 一命は取り留めたものの植物状態になり、自分の息子と同じ様にベッドの上の人になった。

 国王の意識だけはハッキリとしていたがその事を周りに伝える術も無く、ただ生かされ長い寿命を全うする。


 倒れた国王の代理として公爵になっていた王弟が執政を務めた。

 王弟は王子の頃から優秀で、密かに第一王子より国王に相応しいのではないかと噂されていたが、本人がその事に心を痛め早い段階で王位争いから退いていた。

 倒れた国王も国民にとっては悪い国王ではなかったが……執政となった王弟が動き出すと国はどんどん豊かになった。

 国民は感謝と共に王弟を国王にと望んだ。現国王である兄が倒れ、回復の見込みが無い事から王弟は流石に逃げる事を止め、王位を継いだ。

 国は更に繁栄した。




 ハンナは15歳……学園に行く歳になっていた。

 前の時(・・・)とは全然違い、ハンナは王太子の婚約者では無いし、ハンナに義妹は居ない。全く違う学園生活が待っていると分かる。

 楽しいだけの学園生活かもしれない。今回は友達がたくさんできるかも知れない。そんな期待を持ちながらもハンナの心はどこか戸惑いがあった。


 前の時(・・・)にはこの時点でハンナは聖女に認定されていた。

 『婚約者だったアイザックが怪我をして、それをハンナが回復させた事でハンナの聖魔法の力が知れ渡り、教会にて鑑定を受けたから』だった。しかし今回(・・)はハンナが回復魔法を使う機会は訪れず、ハンナも誰にも教えなかった事もあり、誰にも知られずに来ていた。

 聖女になれば前の時(・・・)のように根も葉もない噂が立ち、悪意に晒されてしまうかもしれないとハンナは怖かった。“何もしなければ”誰かに攻撃されることはない……。他の人たちと同じ“ただの令嬢”であれば知らない人が自分を知っている事もない……。

 それなのにハンナの気持ちは浮かなかった。ハンナ自身が心を痛めていた。



 聖女であれば人を助けられる……

 聖女になれば誰かを助けにいける……



 ハンナは前の時(・・・)に刻み込まれた恐怖に打ち勝てない自分の心の弱さに涙した。

 また同じ様になるとは限らないのに、また“前と同じ様に皆に嫌われたら”と思うとハンナの心は冷えて固まってしまう。

 それでもハンナの心は叫ぶ。



 ──でも助けたい!!──



 葛藤に泣くハンナを優しく包み込んでくれたのは叔母であった義母だった。


「泣かないで、ハンナ………

 貴女は貴女の好きに生きていいのよ……」


「お義母様……」


「もう貴女を縛るものは何も無いの……

 貴女がしたい事を、わたくしたちは全力で応援するわ。

 貴女の背中を押す手助けをさせて……


 愛しているわ、ハンナ


 わたくしの愛しい子……」


 ギュウッと抱きしめて優しい言葉をくれる義母にハンナはただただ泣いた。

 前の時(・・・)には許されなかった“声を上げて”泣いた。

 そんなハンナの声に気付いて義父や義兄が慌てて駆け付け、ハンナを優しくあやしてくれた。

 その温かさにまたハンナは泣いた。

 泣き続けるハンナに家族たちは誰一人嫌がる事はせず、優しく温かく包んでくれた……。



 ハンナは学園に行くのを止めて教会へと入った。

 聖職者となって人々を助けたいと願った。

 家族は誰も反対しなかったし、いつでも帰ってきていいよと送り出してくれた。


 また(・・)ハンナは聖女となった。


 聖女となったハンナは前回(・・)と違い、国中を回った。『一聖職者』となったハンナを権力で縛る事は出来ないし、今回(・・)は誰もハンナを縛る事はしなかった。


 精力的に飛び回り人々を助けるハンナを国民は愛した。悪意ある噂が上がる事も無く、全ての人がハンナを受け入れた。


 何故か『毒に倒れた前国王を助けよう』という声が上がる事はなく、何故か国王の世話をしている人達も聖女ハンナを呼ぶ事はなかった。

 ハンナはその存在に気付く事はなかった。


 聖女ハンナは自由に幸せに生きた。

 いつしか自分を支えてくれる聖職者仲間の男性の一人と恋仲になり、初々しくもどかしいやり取りの果てにやっと二人は結婚した。

 愛に溢れた一生を、ハンナは生きた。




 前回(・・)ハンナを殺した騎士たちはそもそもこの世界に存在しない。

 あの苦しみから抜け出す事は出来ない。


 さて、彼らに『()』はあるのかな?






















「“邪”神さま、また聖女の事見てんですか?」


「だってこの前ちょっと目を離した隙に俺の大切な大切な最推しの聖女ちゃんが馬鹿どもに殺されたんだもん。

 今度は最後までちゃんと見ないと心配で落ち着かない」


「他の神たちが飽きて放置したその“遊び”に、邪神さま全然飽きませんよね〜?」


「だって人間見てんの面白いんだもん。他の神は真面目過ぎんだよ。『全ての人々を正しい道に導いてあげないと〜』なんて、無理に決まってんじゃんな。

 つかなんで人々限定なんだよ?『他の生き物』はなんで除外されてんだ?って感じ」


「仕方ありませんよ。所詮『神』自体が『人が生み出したもの』なんですから」


「勝手に生み出されたんだからこっちも勝手にやっていいと思うんだよな〜? なに? 責任って? 義務って?? 誰が決めたの?

 俺が『神』なのに?」


「笑」


「『悪い事したら怒る』それだけよ」


「あんた邪神でしょ(笑)」


(じゃ)だから。“悪”神(あくしん)じゃないから。そこんとこ間違えないで」


「そこ気にするんだ(笑)

 まぁその怒る相手が“神”だって知ってたら、そこの人類ももうちょっと考えて行動したでしょうね〜」


「神罰下したから後何年かは保つんじゃね〜かな〜」


「何年かってどれくらいですか?」


「ん〜? 人ってすぐ忘れるから保って百年だろうね〜」


「うわっ、すぐじゃないですか」


「そうよ、だから目が離せないのよ。

 俺の推しちゃんは俺が守る!!」


「推し活もいいですけど、仕事はちゃんとしてくださいね」


「俺一応“邪”神なんだけど……」


“善”神(ぜんしん)が乗り込んで来ていいなら、どうぞご自由に」


「ヤダ。無理。あいつ俺の仕事が終わるまで付きっきりで面倒見ようとするんだもん……なんなのあの粘着質……」


「誰も見捨てない、誰も嫌わない、むしろ誰も彼もを愛する。それが善神(ぜんしん)なので諦めて愛されるしかないですよ」


「やだ〜! 邪神の事愛さないで〜! 気持ち悪い〜〜!!」


「だったらやる事やる。そうすれば善神(ぜんしん)もこっちを気にしたりしませんから」


「あぁ〜、仕事したくない〜……俺の聖女ちゃん〜〜」


「……、あ、善神(ぜんしん)がこっちを」


「すぐ終わらすからあいつこの部屋に入れないで!!」


「分かってます分かってますって(笑)」







<終わり>


※国民も死んだ理由←聖女ハンナに少しでも同情したり想いやった人は生きてる。本人を知りもしないのに噂だけを信じた人もアウト。石を投げたり罵声や暴言を吐いた事がある人は苦しんで亡くなっている。


※義妹シャーロットも“前回”の記憶を持って居ます。ヤバそうなとこ削ったら入れるところが無くなりました(;^^) まだ幼女だから……


※聖職者は『善い神』に祈るので邪神の推しであるハンナは“邪神の信徒”ではありません(笑)

 でもその『善い神』も悪神を更生させるのが大変なので助けてくれません(笑)

 善神の口癖は「可哀想に……君が自分でちゃんと出来るまで側にいるよ」です。実際は何もしてくれません側“には”居ます(笑)

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