第7話 襲撃!サメ男〜その2〜
彼の名前は山田くん。山田海斗くん。○小学校5年2組の黒板係の男の子で、現在サメ男の目の前にいる。
時はさかのぼって5分前。
「1階に大きな荷物が届きました。」
荷物が届いた割には切羽詰まった声で、福校長先生の放送が鳴り響く。年に1回の不審者訓練でのみ流れる放送が朝学活でのアナウンス無しに流れ出し、教室内は一時ざわめいたがさすがは小学校教諭。児童をすぐに落ち着かせ静かに次の指示を待つことが大事だと伝えた。がしかし次の指示より先に5年2組にもたらされたのはわけのわからない見た目をした怪人との遭遇であった。
教室はすぐに先程のざわめきを取り戻した。戸惑う者。悲鳴を上げる者。
「流石にきぐるみだよね…。」
と誰かが呟いた。直後、何故か先生の上半身が無い。静まり返った教室。あまりの非日常にパニック以前にみな理解が追いつかないのである。
「一番元気な、ヤツを、二人、出せ。」
サメ男が言った。
「げ、元気なやつから食べるのか…?」
今呟いた彼こそ山田くんである。
「いや、基地に、連れて、帰る。」
「二人差し出せば帰ってくれるってことか?」
「他は」
山田くんとサメ男の会話だけが教室に響く。
「全員食べる。」
そう。二人は誘拐残りは死であった。廊下側の席の女の子が静かに涙を流し始めた。教室の真ん中に座っていた男の子はキョロキョロしはじめた。窓側に座っていた誰かを犠牲に自分が生き残ることを考えていた自分勝手なやつの顔は青ざめた。
教室は大パニック直前。その時、山田くんは急に立ち上がりサメ男の前に立った。
「お前が、一番、元気な、子なのか?」
サメ男がゆっくりとした謎の喋り方で聞いている。そして山田くんは言った。
「鬼ごっこなら、得意だよ。」
そう言って彼はサメ男の肩のビデオカメラを奪い取り教室の外へ走って行った。博士がわざわざ付けた物だからたぶん大事なんだろうと、サメ男は山田くんを追いかけ始めた。
サメ男と山田くんが出ていき、33人と担任の下半身が残った教室は段々と状況が頭に染み渡ってきた子どもたちによって、すぐに大パニック状態に陥った。
一方そのころUMBRELLAの3人は屋上から校庭に降りたところだった。
「まだそんなに派手なことは起きてないみたいね。」
とラソル。しかし、すぐに校舎におかしな穴が空いていることに気がついた。
「どうやらあそこから入ったみてえだな。」
とロクロ。一行はその穴から学校に入っていった。
校舎内に入るとまず目に入ったのが血と、なにかの残骸である。
「これ相当まずいことになってるんじゃない?」
シャフトが言う。なにはともあれ、状況確認のためにも大騒ぎになっている一番近くの教室に入ることにした。
教室の後ろのドアを開け中に入るとものすごい悲鳴が教室に上がった。
「落ち着いて。私達に敵意は無いわ。」
そう言ってラソルは手を上げて敵意の無いことを示す。辺りを見渡すと異様な光景であった。黒板が、赤いのである。
「何があったのか教えてくれる?」
一番近くの比較的落ち着いている女の子に話しかけた。
「き、急に怖い怪獣が現れて、先生も食べられちゃって、…うぅ。」
「大変だったね。教えてくれてありがとう。」
泣き出してしまった女の子を慰めつつ、周り見渡し確認をする。確かに黒板の前にたくさんの血が飛んでいる。
「今その怖い怪獣がどこに行ったか教えてもらってもいい?」
「山田くんが、なんか、怪獣の持ち物を盗って走って逃げたのを追っかけて外に、出ていったの。」
ラソルの問いかけに泣きながらも答えてくれた。どうやら山田くんと言う子が怪人を引きつけながら逃げているらしい。
「手分けして山田くんを探そう!」
そうシャフトが言い、3人は教室から出ていった。
めちゃめちゃ間空いてごめんなさい。