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UMBRELLA&UNBREAKER  作者: 日走月歩
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第1話「非合法秘密組織」

 雲ひとつない満月の下、逃げる青年と人間離れした毛深さと巨体を持つ男だけが静かな夜に足音を響かせていた。走り回って逃げ続けた青年だったがその路地裏は非情にも塞がれていてとうとう追い詰められた。横も後ろも壁しかなく前には自分を追ってくる毛深い大男。


「恨みはねえが見られたからには生かしておくわけにはいかねえからな。」


先程、青年の撃った銃弾を弾いた固い爪を青年に振り下ろさんと構えている。逃げ場も有効な攻撃方法も持っていない青年に残された選択は、諦めるか祈ることしか無かった。神や仏への信仰が特に無かった青年が諦めつつ放った


「この世界にも夢満載、ロマン全開のヒーローみてえなのが居て欲しかったなあ」


という言葉がその時その場に奇跡的なタイミングでその三人を出迎えた。


「遅くなってすまなかった。まあ遅すぎてない分許してくれ。」


開いた傘をパラシュートのようにして空から降りてくるマントの様なもので全身を包んだ男が軽めの口調でそう言った。


「まあでもこのギリギリのタイミング、いかにもヒーローの登場って感じで良いんじゃないの」


マント男と並んで傘で降りてくる、今度はフリルの沢山ついたドレス姿のツインテールの女だ。そしてひとりだけ開いた傘を下に向けて速いスピードで流星のように降りてくるロングコートの中年が


「演出としては最高でもギリギリのタイミングで後がねえんだ。目の前の怪人に集中しろ。」


と低い声で言った。


「今回は改造人間か。んー虎か?でも白いなあ」


「ホワイトタイガーってやつじゃない?」


「どっちでもいい。」


「どうせ赤く染まるから?」


「「・・・」」


そんなことを言いながら三人は虎男に空から襲いかかった。まさかの上からの敵に驚く様子を見せた虎男だったがすぐさま相手を睨みつけ戦う構えをした。

ロングコートの男は傘を畳むとその傘で思い切り突きを放ち虎男の大きな肩に空中から穴を開けるとそのまま青年の近くにヒラリと着地した。マントの男とドレスの女もその横にゆっくりと降りてきた。


「あんた達は一体…」


ひょうたんから駒が出たため鳩が豆鉄砲を食らったような顔になりながらも青年は自分の窮地に現れた三人に聞いた。


「敵じゃない人に見られるのはそういえば初めてだね。まあせっかくだし名乗ろうか。」


「俺たちは非合法秘密組織UMBRELLAの者だ。」


そうして三人はそれぞれ名乗り始める。


「私はラソル。そこのマントの男が…」


「シャフトだ。以後よろしく。」


「そしてそっちのロングコートのおじさんが…」


「おじさんって…まあいい、ロクロだ。」


三人が名乗りを終えるのを待っていたと言わんばかりに虎男は肩を押さえながら起き上がった。


「おめえらが最近俺らの邪魔をしてるって連中か。良いだろう四肢をもぎ、動けなくして徹底的にいたぶってやる。この肩の傷のお礼をしなきゃだからな。」


そう言って先ほどロクロが傘で開けた穴を押さえた。いや。すでに血は止まり肉で埋まり穴では無くなっていた。


「なるほど。今回のはまともに喋れるし自我もある。今までのよりも治癒力も高いようだ。」


そう言ったのはシャフトだ。


「四肢をもぎとは言うけども私すでに二本もげてるのよね。まああと半分せいぜい頑張ってもぎ取ってちょうだい。」


とラソル。確かに右手と右足は義手義足のようだ。


「下がってな。兄ちゃん。その様子だとあれを見るのは初めてなんだろう。」


そうロクロが言い、そして三人は一歩前へ出た。


 闘いが、始まる。

お読みくださりありがとうございます。不定期投稿です。書け次第続きを出します。

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