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光あれ

作者: まきや
掲載日:2021/02/21



 メキメキと、自分の何かが引きちぎられる音がする。


 痛い! 体が痛い!


 僕は必死にあらがったが、どうしようもない。


 すごい力で揺すられて、体がひっくり返りそうになる。


 「あっ……」


 気づいた時にはもう遅かった。


 たったいま、僕からそれ(・・)が奪われようとしている。


 ああ、頼むから僕の光を奪わないでくれ!




 両親も分からない僕。


 この家に引き取られて、まだ二年しか経っていない。


 覚えているよ。


 たくさんの子供の中から、里親たちが僕を見つけてくれた時のこと。


 施設の人から里親へと、身柄が引き渡された時のこと。


 さらにその後に起こった現実についても、しっかりと見てしまった。


 里親の手から職員の手へ、僕の代金(・・)が渡されていたことを。


 現実は厳しい。でもそれで良いと思った。


 さらに言えば、僕は生まれた時から十年しか生きられないと宣言されていた。


 落ち込んでいる余裕はなかった。気にしていても仕方ない。そう、自分に言い聞かせた。


 僕には生まれた時から持っている才能がある。それはこの身に光を宿しているという事実。


 皆を明るくするための天性の光さ。だからそれを誇りに生きようと誓った。


 おかげで僕はこれまで、輝きを失わずに人生をやってこれた。



 なのに……なのに……。


 里親たちは僕の唯一の希望すら、奪おうというのか!


 バキッ……。


 酷い音と共に、あたりが真っ暗になった。


 失われた。ぼくのひとつしかない誇りが。


 僕は消えゆく意識の中で、悟った。


 もう、終わりなんだね。


 目を閉じて、ささやいた。


 その時だった。


 闇の中で何かが(またた)いた。


 ほんのわずかなオレンジ色の灯火。


 その小さな明かりを遮るように、大きな二つ影が近づいてくる。


 それは少しずつ大きくなって、大きくなって、やがて僕の体を優しくつかんだ。


 温かい……その感触に僕の心が震えた。


 誰かの声が聞こえる。


 優しい声。僕に何かを伝えようとしているみたいだ。


 そうか。


 光を失った僕は、神のもとへ召されたのかもしれない。


 だからこんなにも温かいんだ。


 僕はその二本の腕に抱かれながら、ゆっくりと目を閉じた。


 神は言った。


 「光あれ」


 僕の体に、再び光が宿る――。









「タケシ! 蛍光灯の交換、終わったのかい!」


「やってるって、言ってるだろ? う~るせいなぁ!」





(光あれ    終わり)



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