第1章 捕虜
コウマが生まれた国はバーム国と呼ばれていた。この国を治めるのはクーヘン・バームと呼ばれる王である。コウマが生まれた時から他国とバーム国の関係は悪化していた。正直...いつ戦いが起きてもおかしくない程度には。
コウマが生まれて5年が経った時にそれは起きた。隣国のレン国と戦争が起こってしまったのだ。戦争自体はすぐに終わったがコウマの父は戦死してしまった。マオの母はと言うと...
敵にいた吸血鬼になすすべなく血を全部吸われて殺された。
コウマはと言うと、血を吸われ、気を失ったがどうにか一命を取り留めた。
そのあとコウマは捕虜としてレン国に連れて行かれた。この時のコウマはまだ記憶が戻ってきておらずただただ母を殺した吸血鬼に対して復讐の念を抱いていた。レン国での暮らしは最悪なものだった。朝昼晩ご飯なんて最低限生きていけるかもわからない量しかなく周りにいるコウマと同じ境遇にあった人と食料の奪い合いがあるのは日常茶飯事だった。風呂なんてもってのほかで入れられるのなんて月に1回あるかないかであった。そんな生活が何年続いただろうか...正直考えたくもない。
どれだけ時間が経ったかも分からず生きているのがやっとな環境でもコウマは“母を殺した吸血鬼を殺す”という復讐の念を持って生きてきた。そんなある日、コウマの元にとある1人の黒いフードを被った人間がやってきて、「行くよ」と行ってコウマだけを抱えて去っていった。コウマはこの人間に何故か既視感を覚えていた。




