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第98話 執事の誘い


 深い森に囲まれた王都。


 巨大な山のふもとを切り開き、さらに山肌に沿って登るように開拓された垂直四断層の都市。


 根底に魔法の力がなければ、こんな不自然な都市の発展の仕方はしなそうである。


 一説には国土のおおくが森なため、魔物から逃れるために山に建造された都市だとか聞くが……まぁ、1000年前から同じ場所にあるらしいので、その起源については不確かである。


 常に大陸で最新の魔道具によって、この国の国民たちの生活は高い水準が保障されている。


 街中には魔力を動力源とした魔力灯が、通りに沿そって綺麗に設置されており、それらの明かりは冷える夜を越えて、王都に到着した俺たち研修隊を温かく迎え入れてくれた。


 アヤノとエゴスの指示に従い、荷物を立派な建物のなかへ運びいれる。


 予定より1日も早くついたアーケストレスで、俺たちは宿を取ることになったのは予定の範囲内だ。


 一応、スケジュールと宿屋は用意してあるらしいが、例にならって大学側からの奉仕を受けるなんて貴族として格好がつかないので、どこの家も自分たちの宿屋は自分たちで取ることになってしまった。


 ただ、予定外なのがひとつ。


 馬車の車輪、右後部のものが壊れたのだ。


 夜、強引に街道を駆け抜けたせいで、草むらから飛び出してきた魔物を轢いてしまったのだ。


 そもそもの原因である、危険な夜の森を抜けるハメになったのは、レティスのわがままを、

 隊の先頭を走る馬車、その主人でたるペルシャ・パリストンが聞いたせいだ。


 道中は御者する魔術大学の教師や、プロの業者たちのほかに、非常時に魔物を迎撃するための魔術師たちもが御者台に乗っかりすごく大変だった。


 俺も迎撃者として風のあたる御者台に配置されたので、正直もう勘弁してほしい気持ちでいっぱいだが、きっと明日からもこの調子で行くのだろう。


 ーーカチッ


 時刻は21時56分。


「それじゃ、エゴスさん、行きますか」

「そうですな。アヤノ、お嬢様のことをしっかりお願いしますよ」


 俺とエゴスは、ガタガタに揺れる馬車を引きながら、パールトン家の品格が失墜すること必須の馬車の故障をなおすため、夜の街へと繰り出していった。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



「それでは、よろしくお願いします」

「明日の昼までですね。あいあい、わかりやした……ぐぅうー今夜は眠れないぞぉー!」


 自身に気合を入れていいきかせ、快活に手を振る修理屋に頭を下げる。


「さて、それではサラモンド殿、わたくし達も夕食でも食べますすかな」


「ん、いいんですか、エゴスさん。レティスお嬢様が待っているのでは?」


「このエゴス、お嬢様のことなら何でも知り尽くしています。

 ゆえに、この修理屋へ来るまでの22分15秒が経過する間に、お嬢様が食事をおえ、

 修理屋へ修理依頼をしおえるまでの59分10秒の間に入浴をすませ、

 店前に出てきてわたくし達が話しだす30秒の間に、お嬢様がアヤノに子守唄を歌われながら眠りについたことは、もう把握しているのですよ」


 いや、意味がわからねぇくらいに気持ち悪りぃよ。


「そ、そうですか、凄いですね……」

「はは、エゴスですから」


 流石の俺でも引くくらいの主人愛に、やや気遅れしつつ夜のアーケストレスを歩きだす。


「こうしてわたくし達2人で話すことも滅多にありません。今夜は、貴重な時間となることでしょう」


 エゴスはモノクルと白手袋を外し、ニコリと笑った。



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