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第94話 立派な錬金術師

 

 ーー翌日


 レトレシア魔術大学の禁書庫が何者かに荒らされたという事件が世間を騒がせるなか、俺はポパイに会いに錬金術ショップへやってきている。


 昨晩、タビデと手分けして探し、目的のブツを無事に回収することができた。くわえて、お互いにめぼしい魔導書を10冊ほど抱えて出てこれたので、ハイリスクのリターンはしっかりと獲得したと言える。


 どうせあんな倉庫の本、誰も読まないのだ。

 俺たちが活用してやるのだから、本の著者も喜ぶだろう。


「ねぇ、おふたりさん、うちの店を闇の取引現場にするのやめてほしいのだけれど」


「うっひび、いいやぁ〜悪いねぇ。まさか本当に取ってこれるとは思ってもいなかったよぉ〜」


「ほら、これが金貨500枚だ、数えるか?」


「いいや、別にいいよぉ〜お金にさしたる興味はないからぁあ〜。まさか本当に払ってくれるとは思わなかったけど、貰えるものはもらっておかないとぉ〜」


 金貨袋を複数と木箱に詰めた、ずっしりと重たいケースを床におく。

 ポパイは木箱よ蓋を開けて、うんうん、とうなづくと立ちあがった。


「これが解毒霊薬」


 ローブの内側から赤色と、透明な色の液体が、複数個収められた小さな木箱を取り出して見せてくる。


「処方にはややコツがいるねぇ〜。よかったら僕がやってやってもいいよぉお〜」


「お前……まさかレティスお嬢様にもいっぱつお見舞いするつもりじゃないだろうな……?」


 ニヒルに笑うポパイは、「さぁ?」と肩をすくめて、魔導書を片手にそそくさと店を出た。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



「ここはぁ?」


 パールトン邸の廊下、異様な空気を放つ部屋のまえで、ふと、ポパイは足をとめた。


「そこへレティスお嬢様の魔術工房だ」


「ほう、あのちびっこ令嬢の工房、ねぇえ〜」


 そう言いながら、ポパイは部屋のなかへ入っていく。

 中に散乱しているフラスコを眺めながら、ポパイは興味なさげに適当に魔力触媒などを手にとっては、作業机のうえへほうり投げていく。


「おい、時間がないんだ。はやく、レティスお嬢様へ解毒霊薬をーー」


「うん、ちょうどいい。この工房を使わせてもらおう。解毒霊薬はこのままでは使えない。

 かと言って、いつでも使用可能な状態にしておくと、すぐに腐化してしまいとても人が飲めるものではなくなってしまう」


 黒腕がこなれた手つきでフラスコと、魔力触媒のいくつかを調合していく。


 俺は、しばらく傍で見守ることにした。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



 調合が完了し、青い蒸気を放つ赤い霊薬が完成した。


「サラモンド・ゴルゴンドーラ」


「どうした。霊薬は完成したんだろう。はやく行くぞ」


 一刻もはやく、レティスを救わなくてはいけない。


 のんびりと部屋のなかを見渡すポパイへ、苛立ちを抱かずにはいられなかった。


「ここの器材は、すべてあのお嬢ちゃんが揃えたのかぁい?」


 不思議なことを聞いてくるモヒカンへ、眉をひそめる。


「あぁ、そうだが……? ほとんどはレティスお嬢様自身が、独自で必要と判断して集めたものだ」


「そうか……立派な錬金術師になったんだねぇえ……」


 そう言って、ひとり楽しそうにポパイは微笑んだ。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



「ぅ、うぅ……こ、ここは……どこ、ぉ?」


 使用人たちに見守れるなか、レティスはゆっくりと体を起こす。


 涙を堪えながら執事は腰を折り、レティスの小さな手をとった。

 そんな彼の隣で、俺は優しく、諭すようになにがあったのかをレティスへと話すことにした。



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