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第63話 黒い魔物

 

 地面から染み出すように溢れでてくる黒い液体、そのなかから伸びる無数の黒い槍たちは、

 悲鳴すらあげさせず金属プレートに身を包んだ兵士たちの命を奪っていた。


「アルガスさん、無事ですか!」


 地面に転がる騎士団長へ声をかける。


 部下たちが声なく死にいくなか、横っ飛びに回避して、黒の液体の敵意から逃れたのは騎士団長ととっさに抱えられた皇帝バルマストだけ。


 地面に広がる黒液から伸びる黒槍たちが、ぐずぐずと崩れて液体の一部に戻っていく。


 兵士たちの遺体は、その粘性の液のなかへと沈んでいく。


 すぐに黒液の敵意は再燃する。


 流動する液体はその体積の多くを使って、太い丸太のような太槍を目にも留まらぬ速さで、地面から打ちだしたのだ。


 騎士団長は皇帝を背後にかばいながら、長剣をすばやく抜きはち、せまる黒の致命を受け流し、直線軌道をわずかにズラすことで攻撃をしのいだ。


「サラモンド、あれには物理攻撃は通用しない」


 師匠は大杖から魔法を発動し、地面から伸びていた木の根をグイッと、さらなる長さに変えて鋭利な先端で黒の液体を地面に縫いつけていく。


 しかし、同時に液体は貫かれても止まることなく流動しつづけ、するりと木の根の縫いつけ拘束から逃れてしまう。


「魔法も効かない」


 黒槍をしのいで踏ん張るアルガスへ、師匠から火炎弾の援護射撃。


 大火の熱は黒い液体をおおきく吹き飛ばして、遠くの巨木にその流体を打ちつけさせた。


「無意味では?」


 いまだ元気にうごめく黒い魔物を見てつぶやく。


「効果はある」


 師匠から短い返答がかえってくると、黒い液体はアルガスを追うことをやめてこちらへと向かってきた。


 なるほど、先にこっちを殺しにくるか。


「サラモンド、燃やせ」

「魔法はきかないのでは?」

「お前の火力ならば対抗できるかもしれない。こちらはもう歳なんだ。お前の成長を見せてみろ」


 師匠はそういって歳を感じさせないかるいステップで後退すると、黒い液体のターゲットを俺に押しつけた。


 仕方ない。


 どれほどの魔力が必要になるかわからないが、やれるだけやってみよう。


 杖をふり、速攻の黒槍を伸ばしてくる黒の液体へ魔力の爆弾をぶつける。


 火属性二式魔術≪火炎弾(かえんだん)≫。


 短杖によって集められた火炎の魔法が、本来こめられる許容量をおおきく上回った魔力をもって黒の液体にせまる。


 空中に紅く光る眩い軌跡をのこし、魔法が黒の液体の伸ばす黒い槍に真正面からぶつかる。


 途端に黒い液体をふくめた地面は真っ赤に火照って、ぐつぐつと溶解、息つく間もなく蒸発という現象をもってエレアラント森林ごと劫火につつみこんだ。



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