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第62話 次から次へと



 突然消えたり、かと言ったらまた突然現れたり、どうにもやることの予告がまったくない。


 そんな気持ちを抱きながら、俺は久しぶりの師匠へと歩み寄った。


 背後の騎士団長アルガスへひとつうなづいて皇帝は託しておいた。


「師匠、えっとどこから話せばいいか……というか、今は忙しいので後で話しませんか? これから俺は戦場にいかないといけないんですよ」


「あーらら、そっちも忙しかったか。悪い悪い。帝国軍はトールメイズ砦のあたりにまだいたから、あとで送り届けてやるよ」


「いや、敵地にこんな少数で行っても仕方ないんでいいです」


 人質交渉するにも、相手は軍隊だ。

 こちらも背後に万軍を控えさせておかないと、対等な交渉とはなり得ないだろう。


 師匠は歳の割に生えそろった白髪を撫でて、思い出したように、近くのエルダートレントに遺跡の入り口を隠さすよう指示をだした。


「急ぎのところ悪いが。こっちも急ぎだ。だから、とりあえず、どうして旅先での死亡なんて虚偽の情報を流したかとかは一旦置いておけ。

 少なくとも、幼い女の子をさらって好き勝手やりだした17歳の頃の、おまえの育成が面倒になったわけじゃない事だけは、確かだとはっきりさせておこう」


 それ言わなくていいってのに、相変わらず無駄口の多いひとだ。

 

 師匠は腕を組み、背筋をぐっと伸ばして、腰掛けていた切り株から立ちあがった。

 

 彼は大杖(だいじょう)で地面を突きながらゆっくりと近づいてきて、こっそりと背後のアルガスたちに聞こえないように、小さい声で喋りだした。


「サラモンド、おまえに頼みたいことがあってきた」


「わざわざ俺に? 大抵のことはひとりで出来るでしょうに」


「出来ないことができたから、戦争に参戦するために通るだろう魔法陣で張り込んでたんだ」


 師匠は大きくため息をつくと、横をむいて咳払いしてから喋りだす。


「サラモンド、お前にやってほしいこと、それはだなーー」


 師匠がやや口ごもりながら言葉をつむぐ。


 しかし、核心に触れるよりも師匠が大杖を握りしめ、苔むしる地面を突いて魔法を発動させるほうがはやかった。

 そして、俺が背後の気配のみだれに気づくのはもっとはやかった。


 師匠の魔力が素早く展開して、地中の木の根に殺意を持たせて勢いよく突出させる……背後で行われる刹那のやりとりが手にてるようにわかる。


「ッ」


 ローブをはためかせ、振りかえり様に短杖を抜き構える……だが、そこでほ俺が想像していた光景とは幾分もわけがちがった。


 流動的な地面の黒色のなかから伸びる無数の槍。


 それは狙い違わず、兵士のメタルプレートに大きな穴をいくつも穿ちあけていた。



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