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第45話 まぁ、気楽にいきましょう

ブックマーク増、ありがとうございます!

 

「えぇ皆さん、とりあえず、こんにちは、今日からしばらく魔術を教える教官となった、

 サラモンド・ゴルゴンドーラです。これより羊皮紙を配るので、ひとりずつ取っていってください」


 のそのそ蠢く数百人の訓練兵をまえに、俺は土属性式魔術で高くした足場から指示をだしていった。


 今回、俺の担当となった訓練兵という名の生徒数はざっと400名ちかくなる。


 この数は初期の段階でだ。


 これから徴兵される兵は増えて、志願兵もどんとんどんどん増える。


 それらはある程度の練度にたっした、訓練兵たちの中へ放り込まれて、周りからさまざまなノウハウを吸収して皆と同じ練度まで成長することを期待される。


 つまり、人手が足りないので、どんどん追加される新兵たちにわざわざ人員をさけないので、訓練兵どうして教えあってくれという打算的な計画なのだ。


 俺はいいと思う。

 訓練兵たちにちゃんとした意欲があるなら、まわりに追いつこうと躍起になってくれるだろうから。


 ただ、それは十分な士気があってはじめて成立する理論だ。


 こと強大な大国にわけの分からない難癖で宣戦布告され、2週間前まで年末にこやかムードだった魔法王国の民には、いきなり死ぬ気で訓練してくれなんて言っても仕方がない。


 ただの兵士ならば、恐ろしい上官の恐喝的な指導は統率のとれた軍隊と効率を生むかもしれない。


 だが、魔術師の本懐は学問の追求にある。


 やる気のない生徒に、物を教えるほど骨の折れる作業はない。


 魔法史に興味のないレティスに、歴史を教えることを諦めた俺の経験が、目の前の士気薄すぎる兵士へ、どう接するのかを考えさせる。


 訓練兵たちへ、ノルマとなる魔法がいくつか書かれた羊皮紙がまわりきったことを確認して、ひとつ咳払いをする。


「えぇ、肩の力をぬいて聞いてください。ああ、座ってくれてもまったく構いません。どうぞご自由にお座りください」


 俺は腰から中杖(ちゅうじょう)をぬいて、土属性の魔力を意識、≪土操(どそう)≫と呼ばれる魔法を使って、芝生の下の土に魔力をもって話しかけた。


 途端に、芝たちを頭に地面はせりあがる。


「な、なんと、これほど広範囲の土をわずか一度の魔法で精密操作してしまうとは……っ!」


 一瞬で完成した、約500個分の簡易的なイス。


 足りなくならないよう、やや多めに作ったイスたちを人間が座っても壊れないよう強度をあげて、形をオシャレに整えていく。


 すぐとなりの顔に傷のある魔術教官の怒声が響くなか、こちらのゴルゴンドーラブースでは皆がイスに座りリラックスしはじめる。


「このサラモンド・ゴルゴンドーラがついてます。しっかり魔術を覚えて、

 前線に放り込まれるようなことがなければ、皆さんが戦死する可能性は極めて低いです。

 なんせ防衛ポイントとなるトールメイズ砦から、魔法を撃ってれば帝国は勝手に自滅していくんでね」


 俺は「よっこらしょ」と、わざとらしく言いながら、一段高くなった壇上に腰掛けた。


「まぁ、気楽にいきましょう。今回は魔術大学に通わなくても、魔法を覚えられて、ただ飯が食べられるいい機会くらいに考えてくださいね」


 俺はそう言って、羊皮紙に視線をおとし、そこに書かれたノルマとなる魔法について説明しはじめた。



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