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第38話 高まる緊張

 

「なるほど、この魔導書め、本自体に特別な力を宿すタイプのものだったか」


 ゲオニエス帝国からそっと持ち出した本を片手に、パールトン邸の居間へとおもむく。


 薪がバチバチと小気味よい音を立てて燃える暖炉のまえにたち、魔導書をじっと見つめる。


「ふむ、構成魔力に攻撃的なものはないな」


 安全を確認して、魔導書を暖炉のなかに放りこんだ」


「さてと、次は……≪術式解読(じゅつしきげどく)≫」


 暖炉のからふんわりと漂う魔法が残した軌跡を視認。


 おおかた、追跡魔法のたぐいが掛かっていたと考えられるので、今のうちに証拠はけしておこうじゃないか。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



 夜のパールトン邸。


「でねー、ゲニウスってばこのわたしをパーティに招待したいとか言いだしたのよー! 4歳も歳上なのにレティスは罪なおんなの子だわー!」


 一流シェフの作ったステーキをもぐもぐ。

 夕食の席で、レティスは楽しそうに学校でできた友達のことを話してくれた。


「それはよかったです、レティスお嬢様が冒険者をなさるなら、俺も付き合いますよ。身辺警護もエゴスさんに頼まれていますので」


 まぁ頼まれてなくても行くんだけど。


「サラモンド殿、お嬢様のこと、よろしくお願いします。奥様からあずかる大事なお命ですので」


「ええ、わかっていますとも。それにしてもプラクティカ様は、これまでレティスお嬢様が学校で受けてきたあつかいに関与してこなかった。

 大学校長の立場なら、助けることもできたのではないかと」


「お母さんはたすけてくれないもん! たまーに顔見せるだけで、いっつもどこかへいってるんだから! きっとレティスの事なんてどうでもいいんだわー!」


「お嬢様、奥様は考えがあってのこと。お嬢様のことをだれよりも奥様は思ってくださっています」


 エゴスはレティスのグラスに、オレンジの果実水を注ぎながら、寂しそうに眉尻をさげて言った。


 プラクティカは一体なにを考えているのだろうか。


 いまとなっては、レティスは七光りの魔術師から、その才能を受け継いだ天才魔術師に格上げされているからいいものの、

 それまでの境遇を考えれば、自分が忙しいからといっても、娘を助けるために何かしてあげてもよかったはずだ。


 自分の娘に「優しさ」をわけるのなら、助けてあげることこそ母親のやさしさだろうに。


 

 ⌛︎⌛︎⌛︎



 ーー数日後


 王都ローレシアの民たちに号外がくばられた。


 街中の掲示板に張りだされた貼り紙。


 そこには、帝国が魔法王国へ、盗まれた魔導書の返還を正式に要求したのと記されてあった。



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