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第33話 代理決闘 中編

 

「わたくしのダビデくんが白金貨(はっきんか)を投じますから、地面に落ちたら決闘開始ですわ」


「いいよ、ペルシャちゃん。あ、そうそう、怖がって杖をはやく抜きすぎないでよねっ!」


 レティスはポニーテールを揺らし、指をたて、いーっと歯を見せて獰猛(どうもう)な笑顔をつくって見せた。


 魔術師の決闘では、杖は決闘開始と同時に抜かれなければならない。


 その前までは腰のホルダーなり、どこかにしまっておくのがルールだ。


 だいたい腰のホルダーが速く抜けるのだが。


 指で口を横にっひっぱったり、舌を出したり。

 レティスはあれでいて煽ってるつもりらしい。


 どこからどう見ても、ただ可愛いだけなのに。


「では、いかせていただきます」


 ダビデのは右手の白手袋をはずし、指先でかくじつに白金貨を弾いた。


 小気味良い清廉な金属音。


 高くあがった輝く硬貨は空中をくるくるまわり、タビデが白手袋をはめなおし、魔法陣から退陣したあとに、地上へともどってきた。


 ーーチャリンッ


 決闘開始だ。


「先制はいただきますわ! ≪風打(ふうだ)≫!」


 ペルシャが放つ風の魔力。


「≪火壁(かへき)≫!」


 一拍遅れて杖ぬくレティスは、スモールシールド並みの小さな火炎で風の球をうけとめる。  


 風の属性魔力は火を吸い込み、いっしゅん大きくなった……が、すぐに術師の違う魔力は反発しあい、お互いを打ち消しあってしまった。


 これでイーブン。


「っ、いいこと思いついたわー!」


 レティスはニコリと笑顔になった。


 そして魔法抵抗(レジスト)した直後、手首をかえしてすぐに反撃にではじめた。


「≪()≫!」

「っ」


 魔術師がいちばん初めに覚える魔法。


 初等も初級、超低難度の魔法の発動に、ペルシャは眉をひそめた。


「馬鹿にしてますの!?」


 視界の中心をおおう火炎の幕に、ペルシャはイラだったようすで、反対魔法≪(みず)≫を詠唱して、火の幕を打ち消そうとする。


「レティスお嬢様の勝ちだ」


 俺がつぶやくと同時。


 レティスの火炎と、ペルシャの水鉄砲の打ち消しあうその境界線は、水のカーテンが撃ち破られることで崩壊した。


「そんなっ!?」

「ペルシャちゃんの風魔法が教えてくれたんだー!」


 水のカーテンを突きぬける炎の球、それはレティスが間髪いれずにはなった≪風打(ふうだ)≫だ。


 術師の同じ、風属性魔力と火属性魔力はたがいを高めあい、水属性だけで構築された魔法との均衡を、

 相乗効果でおおきくなった火の力となってうち破ったのだ。


 迫る膨張した火炎に息を呑み、ペルシャはとっさに≪水壁(すいへき)≫をつかって魔法抵抗(レジスト)にはいる。


「だが、無駄だ。レティスお嬢様の火炎は、魔法2つ分の魔力がかけ合わさり大きくなってる。

 2人の実力はほぼ互角、そして一度に魔法にこめられる魔力量にも大きな差はない」


 俺は勝利を確信し、レティスが胸に飛びこんでこれるように、もろてをあげてしゃがんでおく事にした。

 

 さぁ、いつでもオーケーだ、レティス。


「それはどうかな、パールトンの執事」

「……なに?」


 隣あって魔法陣を観戦していたダビデの、涼しげな声。


 決闘相手へ視線を飛ばせば、そこには綺麗なままのペルシャが不思議な顔をして立ちすくんでいた。


「あれ、いま、わたくしダメかと思いましたわ……いや、これがわたくしの力!?」

「レティス勝ったと思ったのに……」


 本人たちに自覚のない魔力の打ち消しあい。


 魔感覚で直感的に、数秒先の結末がわかる魔術師の決闘ではめったに起こらないことだ。


 つまり、これは……誰かが魔法陣のうちがわでやり取りされる魔力の量に手を加えたことになる。


「ダビデ……お前、()()()()?」

「なんのことだ」


 俺の言葉に澄まし顔のひと言かえってくる。


 ダビデの手にしっかりと短杖が握られていることが、何よりの証拠だというのにーー。



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