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第22話 紅いポルタ

 

 侵食樹海にはいって5分。


 複雑にからみあう木々とツタに手こずりながらも、俺たちは順調に獣道をすすんでいた。


「アヤノさん、レティスお嬢様……ここからは慎重に」

「どうしたの、サリィー?」

「お嬢様、お静かにお願いします」


 アヤノはレティスの口をやんわり抑えて、しゃがむと、地面を指差した。

 俺もしゃがみ込み地面のうえの、巨大な足跡に視線をおとす。


「これは……ポルタ?」

「俺は修行時代に何度か実物をみてますが……この個体はかなり大きいかもしれないです」


 足跡の大きさ、そしてその超大な体重で陥没した足跡のふかさ。

 俺がこれまで会ってきたポルタで、一番大きいかもしれない。


「サラモンド先生、この赤いのはなんでしょう?」

「っ、これはポルタの鱗? 本来は緑色をしているはず……」

「赤い、ポルタってことですかね」


 体調10メートル、四足歩行と二足歩行の可能な、知的な猿型の魔物ポルタ。

 古典文献でたびたび姿を見せている彼らは、ほとんどが緑色をしていないのだという。


「グロルゥウ……」

「っ」


 鳴き声が聞こえた。

 腹を空かせた魔物の声が。


 俺はかすれ声とジェスチャーで、冷や汗をかくレティスとアヤノへ合図をおくる。

 2人は黙ってぶんぶん頭を振ると、ゆっくり立ちあがり、声から遠ざかるように歩きはじめた。


 ーーパキッ


「あっ」

「んーっ!?」


 アヤノの足元から嫌な音。

 それは森の静寂のなかによく響いた。


 まさか木の枝を踏むなんて。

 アヤノがドジっ子だったとは……いや、そんなこと考えてる場合じゃないか。


「グロゥウ」


 声するほうへ振り向き、中杖を構える。

 さぁ、鮮やかに討伐して、レティスにいいところを見せてやらーー、


「おーっ! いたいたーっ! あれが色違いのポルタかっ!」

「アース待って! いきなり近づくは危険です!」

「構うもんかっ! 俺はポルタ級冒険者っ! やがて闇を切り開く英雄になる男だっ!」


 ワラワラと……なんか来たな。


 身をひるがえし、近くの木の影へ隠れる。


「グロゥウッ!」

「紅のポルタ……ハゲタカ、≪影縫(かげぬ)い≫いくんだぞ!」

「了解なのっ、姉さん!」


 ようこそと言わんばかりに、五指のついた前足をひろげ、歓迎するのは紅い巨大猿。


 そこへひるまずに突撃する、ポルタ級冒険者パーティ「千歳(ちとせ)(しずく)」。


 ローレシア魔法王国トップ冒険者と、かつて人間のおよばないとされた、畏怖の怪物の戦いがはじまる。



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