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第102話 到着

 

 ローレシア魔法王国を出発して早いもので2週間と2日ほど経過した。


「見えてきましたよ、お嬢様」


 窓から顔をだすレティスもアヤノ。

 ことにレティスに関しては、体をエゴスに支えられながら、これでもかと顔を突きだしている。


「見てたわー! あれがヨルプウィストの首都エールデンフォートなのねー! 到着したわー!」


「お嬢様、危ないのではやく戻ってください!」


「うわぁ!」


 引き込まれる可愛い生物を片目に、俺もまた窓から正面に見える、巨大な壁を見つめる。


 あれがエールデンフォート、人類最後の街か。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



 エールデンフォートへ到着してから、例にならって宿屋探しをし、最高級の宿屋をおさえた俺たちは、さっそく自由時間を与えられることになった。


 レティスとペルシャの画作により、夜も馬車を動かすというリスクを負ってきたので、時間的な余裕はかなりあるのだ。


 予定より、何日も早く着いたので、しばらくはそれぞれ好きに時間を使って良いことになったのである。


「紹介状です。そして、こちらはこれがエゴスの古い友人のいる場所です。気難しい人物ですが、帝国侵略を押し返した大英雄としての格を持つゴルゴンドーラ殿ならば、彼もこころよく迎えてくれるでしょう」


 エゴスから封蝋(ふうろう)で印された手紙と、紙切れを渡される。


 これらはエゴスが人脈をつたって見つけてくれた、「死の悪魔」の手がかりへと導いてくれる案内人だ。


「何からなにまで、ありがとうございます。しばらく、レティスお嬢様をお願いします」


「承知いたしました、ゴルゴンドーラ殿」


 深くお辞儀をして、俺は宿屋のエントランスをあとした。



 ⌛︎⌛︎⌛︎



 紙に書かれていた住所を辿り、怪しげな路地裏を、暗いほうへ暗いほうへと進んでいく。


 しばらくして、扉上に掲げられた看板が、黒いペンキで塗りつぶされた店を、路地裏の突き当たりに発見した。


 紙をポケットにしまい、かわりに紹介状を懐から取りだして、怪しげな建物へとちかづいていく。


 ーードンドンっ


 おおきく2回、扉をノック。


 反応はない。


 ーードンドンっ


 もう一度、同じリズムで扉をたたく。


 すると、ゴソゴソとなかで物音がした。


 人の気配がだんだん近づいてくると、扉に設置されたのぞき穴から()()()がギョロリとのぞいた。


「何のようだ…」


「エゴスさんの名前を出すように言われました」


「なに…? エゴス…エゴス・ビル・クライムヒッツのことか? だとしたらお前があの……」


 穴から覗く紅瞳は、続きを言って欲しいのか、まばたきを何度もして、言葉をまっている。


「あぁ、俺が舌戦で帝国の皇帝まかし、帝国軍を罠にはめて10万人焼き殺した『智略(ちりゃく)魔術師(まじゅつし)』だよ」


「おぉ…! そうかそうか…!」


 紅瞳は嬉しそうに、その瞳を歪ませるとのぞき穴を閉じて、ガチャリ、と重厚な錠のかかった玄関扉を開けてくれた。


 中から出てきた者の姿に、一瞬、息を呑む。


「俺は強い英雄が大好きだ。さぁ、入ってくれ、サラモンド・ゴルゴンドーラ」


 真っ赤な瞳に、黒く尖った爪。

 ニコリと笑う口には、鋭い犬歯が挨拶している。


 情報屋、エンディング・デスプルネット。


 話に聞くように、どうやら本物の吸血鬼(きゅうけつき)らしい。



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